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第75回 「話す・言う」以上に「伝える・確認する」
「一年間、毎日交通事故ゼロを達成すること」と「一年間、毎月安全研修を開催すること」では、どちらが簡単でしょうか?
言うまでもなく、交通事故ゼロの達成は目的であり、安全研修を開催することは目的を達成するための手段です。
「目的を達成すること」と「手段を実践すること」なら、手段を実践する方が容易です。
「目標を達成する」との決意だけでなく、「手段を実践し続ける」との熱意が必要です。
手段を実践し続けるために「研修=教育」をいつでも社内で実践できる“管理者以上の指導者である社内講師”の育成を目指しています。
社内講師の育成には、「研修を100回聞くよりも研修を1回担当すること」で、拍車が掛かります。
最近では、荷主様主催の輸送協力会社会議では「いきなり社内講師に挑戦」のコーナーを設け、管理者勉強会でドライバー研修での社内講師の実践ポイントを説明しています。
「話す・言う」以上に「伝える・確認する」ことにこだわりましょう。
聞くだけでなく相手に伝えること。
相手に伝えようとすると考えます。
誰かに聞いたことを自分が話すのではなく、自分で考えたことを相手に伝えるのです。
考えたことを相手に教えること。
教えることで、周囲の人とご自身が育ちます。
伝える人が変われば伝え方が変わり、聞く人の聞き方や質問の観点も変わるものです。
季節や地域が変われば、研修内容は変わります。
自分に相手を合わせようとせず、相手に自分を合わせることです。
管理者しか知らない“個々の情報”を駆使することにより、ドライバーに伝わる確率が高くなります。
その情報を用いることで、社内講師は外部講師を超えることができます。
各社の事故発生傾向も取り入れて、“間近で身近”な研修ができるのが社内講師の最大の特長です。
熱意を持って作成した研修資料は、社内の掲示物になり、ドライバーの“目の記憶”に残ります。
熱意を持って開催した研修内容は、会話のネタになり、ドライバーの“耳の記憶”に残ります。
慣れないうちは少人数で開催する研修の方が、社内講師を担当しやすいと思います。
最初はおそらく「もっと○○○を伝えれば良かった」と後悔することが多いでしょう。
その後悔が「話す以上に伝えたい!」への向上心につながり、研修資料の作成を含めて全力を出せる原動力になります。
たとえば日常生活においても、ニュース番組におけるキャスターの伝え方や、電車の中吊り広告のキャッチコピーにも関心が高まることでしょう。
全員が、自分ができる以上に誰かに伝えられる人になりましょう。
管理者は社内で教育ができる“社内講師”を目指しましょう。
ドライバーは車内で指導ができる“車内講師”を目指しましょう。
交通事故ゼロを達成することは、社員が幸せになるための手段です。
次回は6月24日(金)更新予定です。
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