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第74回 運送業とは物流サービス業
運送業とはトラックという製品を売っているのではなく、ドライバーがトラックを使ってお客様に応じたサービスを提供する商売です。
輸送に安全に徹して、予定どおりに到着することもサービス。
到着後には品質に徹して、接客に取り組むこともサービス。
サービス業とは、良いか悪いかは相手が決めるものです。
社外ならびに客先に出るドライバーは「誰から・いつ・どのように」評価されるのか分からないので、プロとして常に見られていることの自覚が必要です。
“仕事を魅せる”との感覚を養うためには、社員教育や社内訓練が必要です。
一番簡単な方法は、教育を担う指導者である管理者が、誰よりも社内ルールを正しく実践して範を示すこと。
社内ルールの「経緯・方法・効果」を、誰よりも正しく理解することや、誰かに説明して相手に納得してもらうことも管理者に期待されている役割です。
社内ルールの多くは、先人を含む過去の失敗の歴史から生まれた対策。
トラックドライバーとは「自ら失敗を経験して学ぶ」にはリスクが高過ぎる仕事ですから、過去の失敗の歴史から学ぶことで、現代の事故を未然に防止できます。
また、社内ルールとは「社内で決めたこだわり」とも言えます。
そのこだわりとはドライバーの価値であり、ドライバーの時給を上げる活動です。
新たな“取り決め”を行うばかりではなく。
時に既存の社内ルールを深ぼりして“取り組む”ことも重要な活動です。
頭で考える安全と。
心で考える品質を。
「教えて考える」や「考えて教える」機会として、ミーティングを含むグループディスカッションが効果的。
ドライバーは日ごろは一人で仕事をする場面が多いのが特徴。
多く人の意見を聞けることが運送会社で勤める良いところ。
ドライバー同士で教え合うことで、「自分でやる」以上の「誰かに伝える」ことの醍醐味を、全員が感じて頂けます。
「全員が指導できるレベル=全員が一人でも実践できるレベル」を目指しましょう。
ミーティングでは「ウチが選ばれている理由」を考えてご発表いただくことも良いでしょう。
大手の運送会社様にはできないサービスもあります。
その領域で勝負できるのが、中小規模の運送会社様の強み。
ちなみに、全ての業種を対象とした日本の企業数において、99%は中小規模の企業とのことです。
大手メーカー企業に支持される運送スタイルもあれば、中小規模のメーカー企業に喜ばれる運送スタイルだってあります。
個々のお客様のご要望に対応する「きめ細かいサービス」を開発して提供するのなら、創造性と機動力に勝る中小規模の運送会社が圧倒的に優位です。
中小規模のメーカー企業に喜ばれる運送スタイルは、同時に日本の99%の企業から支持されます。
事業規模を問わずコストを掛けずにできる「挨拶・伝達・報告」にこだわりましょう。
時間(距離)ではなく時給(価値)で稼げるプロドライバーになるために。
お客様から見れば、安全は当たり前。
お客様の構内で、見える品質で勝負。
構内で地に足を着けた状態で、お客様に他社との違いを見せつけるほどの品質を。
例えば挨拶は1秒でできる品質向上活動。
1秒のために全員が全力で挨拶訓練を。
大きな声と大きな笑顔に取り組みましょう。
「笑顔は全員でやれば恥ずかしくない」
「挨拶は全員が真剣にやれば格好いい」
ありがとうございました。
次回は6月10日(金)更新予定です。
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