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第73回 最高の輸送協力会社を目指して
最近の傾向として、荷主企業が輸送協力会社向けの研修を開催されることが多くなってきました。
安全や品質の取り決めを、荷主企業から協力輸送会社にお願いするだけでなく。
安全や品質の取り組みを、荷主企業から協力輸送会社が学ぶ場を提供されます。
そのような研修では、ライバル運送会社のドライバー同士が一堂に会する独特の雰囲気の中で受講されるだけでなく、各社での取り組みをドライバーが発表する機会や、他社ドライバーはもちろん荷主を前にしての挨拶訓練等も設けられています。
他社の良い事例は参考にして、真似をしましょう。
自社の悪い事例は反省をして、改善をしましょう。
たとえばドライバー研修を受講後の各社内の雰囲気には、下記の2パターンあるようです。
「研修内容がだんだん風化していく」
「研修内容がどんどん浸透していく」
上記の違いは「指導者=管理者」の取り組み方により発生します。
まずは管理者が率先垂範して「動くマニュアル」になりましょう。
正しいことを実践している人には、皆様の前で「ありがとう」の言葉を掛けましょう。
正しいことができていない人がいれば、個別に会って「なぜ?」と耳を傾けましょう。
「決めたことが早くできる運送会社」
「全員が同じことができる運送会社」
「全員が変われる運送会社」
「全員が教えられる運送会社」
上記の4点では大手運送会社よりも少数精鋭で運営されている中小規模の運送会社に優位性があり、運賃以外の比較項目の中で生き残るための生命線です。
その「全員に伝えて全員で取り組む風土」は交通事故の削減率やドライバーの定着率にも反映されます。
管理者からの身を持っての発信と、ドライバー同士の言葉での確認が効果を高めています。
研修時に見受けられる「連続無事故日数の長い運送会社の共通点」があります。
それは、前回の研修内容に関する質問に対しても、堂々と正解の回答を頂ける点。
研修を聞くだけでなく考えて、研修内容を現場で実践している証しです。
まさに“模範たる運送会社”の姿です。
研修内容に関しては、移りゆく季節ごとの楽しみがあるように。
安全には天候だけでなく、「居眠り運転の防止と高速道路上での危険」など、季節ごとの危険を確認する必要性があります。
しかしながら、マナーには季節は関係なく。
マナーを高めることに知識や経験は必要なく。
マナーを高めることは今からすぐにできること。
“正しい”挨拶はコストゼロで始められること。
挨拶は1秒でできる品質向上活動。
挨拶は1秒で第一印象を高めます。
“正しい”挨拶を全員で実践すれば、会社のキャッチフレーズにもなります。
学んだことを全員が実践すれば、社内の事故が減り社員の品質が向上します。
学生時代には勉強するために授業料が掛かりました。
社会人は就業時間内に勉強しながら給料がもらえます。
学生時代は勉強できなくても留年どまり。
社会人は成長できなければ降格もあります。
学ぶのは研修の受講時間で終わりではなく。
研修とは始まりの機会であり一生勉強です。
教育の範囲や機会とは、法律で定められていることや仕事に直接関係するものだけでなく。
ドライバーである前に、社員として、社会人として、人として。
周囲の人の役に立って、周囲の人に喜ばれることを実践することも指導すべき範囲です。
ありがとうございました。
次回は5月27日(金)更新予定です。
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