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第43回 褒める以上に感謝する
プロ野球界でもオープン戦がはじまるなど、春の足音が待ち遠しくなってきました。
先日、そのプロ野球界において、ある選手が投げるだけでなく今シーズンの初打席でホームランを打ったことに対する監督の談話が印象に残っています。
「小学生があんな球を打てば褒めますが、もともと能力を持っている選手ができることを普通にやっただけ。私は褒めません。」
選手の能力を最大限に引き出す方法として「三流は無視・二流は称賛・一流は非難」との、名監督による語録を思い出しました。
どうやら、相手の成熟度やこちらの期待度によっては、“褒めるより褒めないことが褒めること”になるようです。
相手が「あたりまえ」と思うことを提供しても、相手から「ありがとう」と言ってもらえないのと似ています。
それはプロ野球選手と小学生の違いに例えられたように。
プロとアマの仕事の違いなのでしょう。
舞台に上がることを仕事としている人の多くが、自らの職業を問われると“俳優”と答えるように。
営業ナンバーが付いたトラックに乗る人に対して、多くの人が“プロドライバー”と称します。
管理者の目が届かない出先であっても、正しい行動をひとりでできるのがプロです。
プロのドライバーは日々、経営に参加していると言えます。
私が思う経営参加とは「売上を増やす行為」か「利益を増やす行為」に携わること。
ドライバーは交通事故を削減したり、燃費を向上させたりすることで、会社の利益を増やすことに日々貢献しています。
経営者の重責のひとつに“決断”が挙げられますが、ドライバーは1日に何度も“決断”をしているのです。
それは交差点の右折開始のタイミングなどの状況“判断”と言われる行動。
状況の判断=決断を間違えば大きな事故になり、経営上の損失にもつながります。
刻一刻と変わる周囲の交通状況に対応すべく、誰にも相談することができない運転室内で、損失を抑えるための判断=決断を日常的に繰り返しているのです。
ドライバーの仕事とは、社外に出れば周囲からプロだから「あたりまえ」と思われることが多い職業です。
それでも誰も見ていないところで、決断という重責を何度も繰り返しているのです。
せめて社内では、「ありがとう」と労いや感謝の思いを伝えましょう。
褒めるのではなく感謝することで、さらに一流のプロになることでしょう。
ありがとうございました。
次回は3月6日(金)を予定しております。
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