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第194回 かもしれない報告
中間報告を使うことは「報告のプロ」の仕事の共通点です。中間報告をうまく使えば、お客様が丁寧かつ迅速な報告対応をしてもらえたと感じて、結果的に「ありがとうございます」と言われることもあります。
かもしれない報告
運送の仕事とは、お客様のご依頼により「出荷された商品を出荷された状態で指定された日時に指定された方法で納品」することが基本です。
言うまでもなく、お客様から受注した運送業務においては、運送会社のみの都合ならびに独断により、納期や納品場所を含めた仕事の仕様を変えることはできません。
運送の仕事とは、お預かりした商品を荷主様の代理として配送先様へお届けすることですから、少しでも「ご指定以外の状況になるかもしれない」ことが想定された時点で報告の義務が発生すると考えるべきです。
運送のプロとは代理のプロであり、代理のプロとしてプロの報告を提供しましょう。
運送会社のお客様である荷主様と配送先様の多くは、商品を売る側と商品を買う側のご関係にあり、その間に位置する運送会社からの報告ミスは荷主様が配送先様からの信頼を損なうことにもなりかねません。
そのような報告事故は人的要因が100%であるがゆえ、必ずゼロにできるはずです。
報告の量とは「少し多め」に設定するぐらいでちょうど良いものです。
一つの業務において報告の量を増やすことは報告の回数を増やすことであり、「どうなっていますか」との問い合わせが入る前に「こうなっています」との中間報告をすることにも通じます。
中間報告を使うことは「報告のプロ」の仕事の共通点であり、当方の過失を発端とした報告対応であったとしても中間報告をうまく使えば、お客様が丁寧かつ迅速な報告対応をしてもらえたと感じて、結果的に「ありがとうございます」と言われることもあります。
その上で報告の質とは「早くに・こまめに・正確に」であり、運送会社において早さを最優先とする行動は報告以外にはないと思います。
また、当日配送時において荷主様の都合で出発が遅れているなど、大幅な遅延が確定の場合、ドライバーは会社に報告をして状況を伝えるでしょう。
その場面のドライバーは「報告をした」との安心感や「間に合わないことも仕方がない」と良い意味での開き直りにより、出発後の運転において焦りの心理を大幅に削減することができます。
また、報告によって「商品がいつ到着するか分からないので、他の仕事に手を付けるわけにもいかず、到着を待たなければならない」とのお客様の無駄な時間を少なくすれば、到着遅延によるお客様の怒りも削減できるかもしれません。
ドライバーは道路渋滞などで少しでも「遅れるかもしれない」と思った時点で、安全な場所に停車して報告をする勇気を持ちましょう。
遅れた時間をアクセルで取り戻そうとするのではなく、報告によりドライバーの運転中の焦りとお客様の手待ち時間への怒りを削減しましょう。
大幅な遅延確定時の報告だけでなく、
小幅な遅延予想時にも「かもしれない報告」を。
運転のプロとして「かもしれない運転」だけでなく、
代理のプロとして「かもしれない報告」を。
ありがとうございました。
次回は3月26日(金)更新予定です。
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