第41回 事故防止と離職防止に“聴く”対策

運送会社の管理者に期待されている役割のひとつに「ドライバーに話し掛けて、ドライバーの話を聞くこと。」が挙げられます。

管理者にとっては、同じ部屋で仕事をする内勤者同士と違って、社外で仕事をする時間が長いドライバーとは、会話の機会が少なく会話の長さもが短くなりがち。

近頃は、ドライバーの事故防止はもちろん離職防止の観点からも、ドライバーとの会話を奨励している運送会社も多くなってきました。

知り合いの管理者にはこのように提案しています。

「1人に対して1日で1分、1対1でドライバーと話すこと」

「運行都合で1日会えなかったドライバーには翌日に2分以上、1対1で話すこと」

「1回の会話の中で、相手を名前で1回以上呼ぶこと」

会話には話しやすい環境作りが必要です。

たとえば下記のAとBのパターンでは、皆様はどちらを選択されていますか?

A.管理者が言いたいことを伝えるために、会議室にドライバーを呼び出す

B.ドライバーが言いたことを聴くために、運転室に管理者が会いに行く

会って話す会話以上に、対等に話す対話により、相手の理解を高めることができます。

相手が本音を話しやすい環境作りのひとつに「他の人には聞かれることがない二人きりの空間」が挙げられます。

機密性が高い会議室が有れば良いのですが、それ以上の“対話に適した素晴らしい空間”が、運送会社なら事業規模を問わず必ず完備されています。

それはトラックの「運転室内」です。

とはいえ最初は二人で向き合っても何も話すことがないかもしれません。

最初は相手の愚痴でも文句でも聴ければ良いのです。

口調は愚痴でも、よくよく耳を傾けてみれば内容は意見であることも。

その愚痴や文句をも、意見や計画に変えることができるのも「プロの管理者」の条件。

せっかく縁があって入社された仲間が、愚痴のひとつすら言えない環境を理由に離職していくのは残念なことです。

同じ相手と何度も向き合っていれば、何も話すことが無くなるかもしれません。

話すネタが無くなった時とは、相手の愚痴が無くなった時かもしれません。

それは今できる改善が完了した証拠かもしれません。

その時点から将来のことや夢など、本音で「未来に向けた話」を語り合えることでしょう。

ドライバーに発信したことを、正しく理解してもらうことで事故防止。

ドライバーの本音を聴き出して、正しく理解することで離職防止。

事故率が多い運送会社は離職率が高い。

離職率が高い運送会社は求人募集時に応募率が低い。

そのような運送会社は、社歴の浅いドライバーの比率増加による事故の増加や、面接時の採用条件低下により事故の増加が懸念されます。

そう考えると事故防止と離職防止は同じ対策で対応できます。

「よく聴くことがよく効く」のです。

ありがとうございました。

次回は2月9日(月)を予定しております。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止やマナーアップを含む輸送品質の向上に取り組み、経費削減はもちろんその取り組みを営業活動へ転化して売上が向上するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として2016年度には969回講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、4年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度 2017年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会の各ブロック大会での講演多数。
プロデキューブ
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