第40回 年間の事故ゼロ達成に向けて

年末年始のご挨拶で多くの運送会社を訪問した際、社員教育に注目している、もしくはすでに注力しているとの話をよく耳にしました。

今年は「挨拶の向上に取り組む」との運送会社も数社ございました。

多種多様なお客様との会話や挨拶を含めて、「ドライバーである前に会社員であり社会人」であるための教育レベルが、社会から今まで以上に求められているようです。

皆様の社内でも年頭を迎えるにあたり、今年の目標を考えたり言葉に出したりする機会もあったことでしょう。

「何を取り決めたか?(社内ルール)」×「どれぐらい取り組んだか?(指導と確認)」=結果(数値)に表われるはずです。

私たちは「取り決め×取り組み」ができれば、その目標はいつか必ず達成できると信じてやみません。

ただし「取り決め×取り組み」の度合いにより、「いつ達成できるか?」には年数の違いほどの大きな差が生じます。

もしも年頭の目標で「事業拡大」を掲げたならば、その目標を達成するには安全が不可欠であることをお忘れなく。

なぜなら事業を拡大してから安全を構築するのは、安全指導や履行確認の対象人数が増加しているので、ますます困難になってしまいます。

たとえば“当社の年間交通事故ゼロ”の目標を達成するのは、保有車両数が少ない方が圧倒的に有利なのと同様に。

いくら事業を拡大して社会からの信用を積み上げたとしても、事故発生により世間からも淘汰されるのは一瞬のこと。

今のうちに、事業拡大の目標を達成しうるであろう近未来にも耐えうるように。

安全行動をルール化して、指導により個々の習慣にしましょう。

その社内ルールが「全員の習慣」になれば「会社の風土」になります。

また、相手を思いやる気持ちから、社内では時に厳しいことも指摘し合える「真の仲間」を作りましょう。

社内で構築する人間関係と、社外で発揮する安全行動は、深く関連があるものです。

社員が増えると一時的に人間関係は薄まる傾向になり、同時に事故も増える傾向です。

「だから事業を拡大する前に安全を!」

「だから事業を拡大するために安全を!」

最後に。

人材の確保や育成には社員教育が不可欠です。

しかしながら、運送業界では「社員教育や社外宣伝をせずとも事業を拡大できた時代」が長過ぎた感は否めません。

その運送業界において今、確実に業界の内外から転機が訪れています。

その転機を勝機とすべく「頑張る中小運送会社」を、私たちは今年も全力でサポートし続ける所存です。

ありがとうございました。

次回は1月23日(金)を予定しております。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
プロデキューブ
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