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第82回 体と頭と心で仕事
「教育と勉強の違い」を聞かれれば、「教育は誰かから受けるものであり、勉強は自分でするもの」と答えます。
会社からの“愛情表現”として社員に与えることができるのは、教育の機会を提供することであり、勉強するのはひとりひとりの社員です。
また、勉強とは座学で行うものだけではなく、仕事における“あらゆる努力”も勉強に該当すると思います。
なぜなら、努力とは「今よりもっと良くなりたい」と考えるところから始まります。
「同じ成果なら時間を早める方法はないだろうか?」と努力(=勉強)して実践。
「同じ時間なら成果を高める方法はないだろうか?」と努力(=勉強)して実践。
私たちのような研修講師も「研修資料の作り方」と「研修内容の伝え方」の精度を上げるための努力(=勉強)をしています。
「同じ研修時間なら、多くのことを正しく伝えるために」
「同じ研修内容なら、短時間で正しく伝えられるために」
考えること自体が勉強であり、努力をしている姿には「懸命に考えている姿」も含まれます。
努力(=勉強)とは体や時間を使うことのみならず、頭や心を遣うと成果が高まりやすくなります。
「頭の知識×心で判断×体で行動=仕事の成果」かもしれません。
仕事中の判断は、頭で考えると賢くなれて、自社の利益を優先できる人もいるかもしれません。
心で考えると優しくなれて、お客様の喜びを優先することで結果的に長く自社の利益を確保できるかもしれません。
会社から受講機会を与えられた研修を終了(卒業)することとは、同時に仕事に復帰(入学)することです。
研修中には仕事中のことを想定し、仕事中には研修中のことを思い出しましょう。
仕事で実践してこそ、研修で学んだことが自分の実になり力になります。
研修も“体だけ参加”するのではなく、頭と心で受講することにより「研修以上の自分の意思で受講する勉強の機会」に値します。
研修を受講すること自体を目的にせず、あらゆる勉強(=努力)の機会を見つけて、自分で自分の魅力や価値を高めましょう。
安全についても会社から受けるのは教育であり、受けた教育内容について個々に努力することで個々の安全の結果が違ってきます。
また、交通事故が起こることに原因があるように、無事故が継続できることには理由があります。
事故の原因を抑制して、無事故の理由を継続しましょう。
そのためにも「なぜ事故が起こったのか?」と同様に「なぜ事故が起こっていないのか?」を考え抜きましょう。
長らく継続していた無事故記録が途絶えて、さらに立て続けに事故が発生した場合には「安全への取り組みが期限切れになった」と考えてみてはいかがでしょうか?
道の上では「努力なくして安全なし」です。
社内と車内での「確認なくして安全なし」です。
そして、仕事においてはあらゆる努力(=勉強)を惜しまず“あらゆる一流”を目指しましょう。
目標やライバルを明確にすることで、「もっと良くなりたい」との考えから、知識を吸収して技術が高まり、確実に一流に近づいていきます。
特にライバルの存在が自身を成長させてくれます。
基本は安全(守備)であり優先すべき項目ですが、品質(攻撃)によりライバルとの差が一気に広がることは、スポーツの世界も運送業界も同じといえます。
ありがとうございました。
次回は9月30日(金)更新予定です。
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