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第142回 社員の夢を叶えて会社の愛を伝える教育
運送会社で業績が低下すれば、中止や中断を検討する支出対象として挙がりやすいのがドライバーへの教育です。しかし、ドライバーから今まで受けてきた教育を受ける権利を奪うことは、「今以上は成長しなくてよい」もしくは「どうせ今以には成長しない」など「今のドライバーに期待や信用をしていない」との「絶対に聞かれてはいけない本音」を大々的に社内へ示すようなものです。
社員の夢を叶えて会社の愛を伝える教育
運送会社で業績が低下すれば、中止や中断を検討する支出対象として挙がりやすいのがドライバーへの教育です。
教育をしても目に見える良い結果が「すぐに表れない」と感じていることも、教育を省こうとする要因なのでしょう。
しかしながら、事故やクレームなどの悪い結果は、教育をしなければ思いのほか「すぐに表れる」ものです。
運送会社の業績を低下させず、さらには業績を向上させるために、選択すべき対策のひとつがドライバーへの教育です。
教育の質と量の結果による「安全の確保」で、ミスやロスを少なくして会社の利益を確保できます。
教育の質と量の結果による「品質の向上」で、運賃や作業料等の単価を上げて会社の売上を向上できます。
ドライバーによる安全(利益)と品質(売上)の両方を向上する努力(教育)の結果により、ドライバーの待遇改善が実現できます。
ドライバーから今まで受けてきた教育を受ける権利を奪うことは、「今以上は成長しなくてよい」もしくは「どうせ今以には成長しない」など「今のドライバーに期待や信用をしていない」との「絶対に聞かれてはいけない本音」を大々的に社内へ示すようなもの。
多くのドライバーにとって「あれば不満でなければ不安」になるのが教育かもしれません。
業績の低下が招く倒産については「企業の生存率」としても諸説がありますが、商品の開発や教育の方法において、時代の変化に対応できなければ「取り残される(生き残れない)」ことはいつの時代も不変の定説だと思います。
個人的には小さな会社の代表である自身への戒めを含めて、倒産は経営者の責任だと捉えています。
倒産の原因について、大方の見方が社員の責任との状況であったとしても、その社員の行動や考え方を事前に教育できなかったことは、やはり経営者の責任だと思います。
だから経営者は教育者として、指摘は的確に厳しく、指導は丁寧に優しく。
ある経営者は「社員の教育は経営者の仕事」として、社員に当月の給料へ直結する「仕事を与える」ためだけでなく、社員の心や人生を豊かにするための「愛や夢を与える」ことにも日夜奔走されています。
優しさばかりでは社員への愛とはいえず、時に厳しさをもってしても社員の夢を叶えることが良い会社だと思います。
社員が夢を叶えることを応援することが、社員に対する会社の愛といえます。
社員の夢を叶える手段が教育であり、会社からの愛を伝える手段も教育です。
だから管理者は指導者として、笑顔でも言葉は厳しく、真顔でも態度は優しく。
社員の夢や会社からの愛を、研修や添乗指導等の教育機会を通じて「見えるカタチ」や「聞こえるコトバ」にしましょう。
ドライバーの「やる気」や「笑顔」を引き出そうと、全力で「厳しく」と「優しく」を繰り返しながら全力で努力するのが、管理者以上の指導者の姿です。
ありがとうございました。
次回は2月22日(金)更新予定です。
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