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第94回 運送業界は「人・時・金」
一般的に経営資源は「人・物・金」と言われています。運送業界での経営課題は「人・時・金」だと思います。
運送業界は「人・時・金」
一般的に経営資源は「人・物・金」と言われています。
運送業界での経営課題は「人・時・金」だと思います。
人に関しては、応募採用と社員教育を多くしたい。
時間に関しては、運転時間と残業時間を短くしなければならない。
金に関しては、適正運賃と適正賃金を高く設定したい。
「人と時」の関係については、長時間労働では特に若い人が集まりません。
「人と金」の関係については、何年も働いても賃金が上がらなければ人は続きません。
「時と金」の関係については、働ける時間が短く運賃が安ければ賃金を上げられません。
人に関しては、自社を知ってもらい(認知)、自社を希望してもらい(判断)、自社に応募してもらう(行動)ために。
社内の雰囲気や活動をホームページやSNS等で公開することで「働く人を見せることで働く人が集まりやすくなる」時代です。
もちろん会社選びのポイントで重要なのは給与を含む勤務条件ですが、社内での給与を上げるシステム【教育機会】の有無が問われます。
関係法令とドライバーの安全を守りながらドライバーの給与を上げるためには、お客様との運賃交渉ができるシステム【教育結果】の有無が問われます。
時に関しては、出先で「ドライバーが待つ」と待機時間としてカウントされます。
出先での待機では洗車もできず、時間の有効活用が困難です。
「お客様が待つ」とドライバーの待機時間はゼロになります。
お客様は自社内で待機しても、ドライバーの到着を待つ時間に他の仕事ができれば休憩時間にはならず、時間損失を抑えることもできます。
言い換えれば「予約が取れない繁盛店」以上の「予約は受け付けない超繁盛店」を目指す考え方です。
飲食店において予約とは「見込みができる」ので段取りがしやすくなります。
その反面で予約とは、予約客が来店するまでの空席状態が発生すれば回転効率を低下させる要因にもなります。
飲食店がお客様を待つのではなく「お客様に並んで待ってもらう」との考え方です。
それが提供する側にとっての最大の効率化だと思います。
飲食店における「来店予約」を、運送業界における「時間指定」と置き換えて考えてみましょう。
金に関しては、飲食店が決めた料金を「お客様が値切ることなく待ってでも注文してもらえる」ための商品作りが参考になります。
多くの業種において、売価とは「売る側が自由に決めている」ものです。
多くの業種において、購入先は「買う側が自由に決めている」ものです。
同じ価値の商品であれば「安い」方から買いたくなるでしょう。
価値が高い商品であれば「高い」方でも買いたくなるでしょう。
ドライバーの価値を上げるためには「安全運転のプロ」だけでなく。
「安全輸送のプロ」と「接客のプロ」に。
「車・物・人」への対応が、プロドライバーに求められる三要素です。
プロドライバーとして、運賃を上げて自分の価値を上げるには輸送品質を上げること。
お客様からすれば、プロドライバーが安全であることは「あたりまえ」です。
安全の提供と、お客様から「ありがとう!」と言われる品質を提供しましょう。
「安全=輸送品質」ではなく。
「安全+品質=輸送品質」です。
ありがとうございました。
次回は3月24日(金)更新予定です。
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