第169回 アブナイ・キタナイ・マチガイ

「アブナイ」運転や「キタナイ」車両は、事故やクレームに発展しなければ改善や指導の対象にはなりにくく、その放置された期間の長さに応じて、いつか大きな損失につながることが危惧されます。

アブナイ・キタナイ・マチガイ

運送会社で働くドライバーにとって、トラックは多くの時間を共に過ごす愛車であり、自分の命を預ける相棒です。

故障発生により道の上での停止を余儀なくされると、車幅が広いトラックは後続車両に追突されるリスクが高まります。

故障を未然に防止するためのトラックの始業前点検とは、さながらトラックにあいさつをしながら話し掛けるような時間です。

点検をしながらトラックの機嫌を伺い、トラックに運行予定を伝えつつ見合った整備をしながら無事の走破を約束しましょう。

一人一車制の場合は、トラックに愛称を付けるとトラックとの「会話」が弾みやすくなるでしょう

一人一車制ではない場合は、乗務後に洗車(使った人が美化を担当)をして、乗務前に点検(使う人が点検を担当)をすると、車両の美化点検を「二人で両立」できるはずです。

ちなみにトラックの洗車を含む美化とは、トラックをねぎらいながら背中を流すような時間です。

始業前を含めてトラックの「点検」は法令で定められていますが、「美化」は法令対象外です。

積極的に点検をする人はトラックを大切に使用する人であり、トラックを「洗う」のではなく「磨く」ような方法で頻繁に洗車をしています。

逆に洗車をしない人は点検を怠る人も多いことから、「キタナイ」人には「アブナイ」人が多いといえます。

「アブナイ」と同じく「キタナイ」も個々の感覚により判断が違うものです。

「アブナイ」運転や「キタナイ」車両は、事故やクレームにならなければ改善や指導の対象にはなりにくく、その放置された期間の長さに応じて、いつか大きな損失につながることが危惧されます。

安全においては、アブナイものを危ないと思い、近寄らないこと。

品質においては、キタナイものを汚いと思い、近寄って対処すること。

自身の「アブナイ」行動に陥るパターンを知り、その前に一人で改善できる人は「一人前」の仕事ができる人です。

自分の仕事を進めながらも誰かの「マチガイ」にも気付いて教えてあげられる人は「二人前」の仕事ができる人です。

自身の「アブナイ」行動に気付こうとする努力をせず、周囲からの「マチガイ」の指摘を聞き入れられる素直さがない人に成長は見込めません。

安全においては、「周囲にアブナイはないか」を確認。

品質においては、「自身にマチガイはないか」を確認。

指差し呼称確認により「見る以上に探す」ことで、事故やクレームを未然に防止できます。

「周囲のアブナイ」や「自身のマチガイ」を未然に発見できた事例は、ヒヤリハット体験として報告しましょう。

その事例は間近で身近な「あるある話」として社内で共有しましょう。

たくさんの発見や報告をすることで、全員の安全と品質に貢献できる人は「二人前」以上の仕事ができる人です。

ありがとうございました。

次回は3月27日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
プロデキューブ
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