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第138回 掃除の美学
車両や施設だけでなく、服装や社員の心が汚い状態は、危険な状態です。汚くなってから掃除をするのではなく。きれいな状態を維持するために掃除をしましょう。掃除に代表される凡事を徹底できない状態では、「安全」や「品質」を提供することはできないと考えましょう。
掃除の美学
掃除は誰にでもできる簡単な作業です。
だから掃除は、自分がやらなくても誰かがやってくれるかもしれません。
掃除は多くの人が嫌がる面倒な作業です。
しかし掃除は、誰かの代わりに自分にもできることです。
誰かの代わりに行う掃除を通じて、「相手の立場を思う気持ち」や「相手の考え方を理解しようとする気持ち」が強まるかもしれません。
誰かの代わりに掃除を行うことで、「自分の考え方を決める勇気」や「自分の考え方を相手に伝える勇気」が養われます。
掃除のやり方は、法律では定められていません。
ゆえに、多くの場面で掃除は全力で行いません。
掃除は誰かと話しながらでもできる、良い意味での「ながら作業」です。
掃除の醍醐味は「多くの人を巻き込んで一緒に活動ができる」ことです。
役職や年齢や社歴を問わず、たわいもない会話をしながら掃除をすることや、「きれいにする」との目的と行動を共有することで、社内に一体感が生まれます。
掃除はひとりが全力でがんばるのではなく。
全員が少しずつ時間を割いてがんばるもの。
整理整頓は自分が使う場所が対象であり、ひとりでも行えるもの。
掃除とはみんなが使う場所が対象であり、自分が使わない場所も含めてみんなで行うもの。
掃除を行うこととは同時に点検の実施になり、早目の点検や整備で故障を最小限に留めることができます。
車両や施設を大切に使う運送会社は、社員を大切にしています。
社員を大切にする運送会社は、社員が車両や施設を大切に使います。
掃除に代表される凡事の徹底とは「確認」や「挨拶」も含まれます。
繁忙期に気持ちや時間のゆとりがなくなれば、「確認」や「挨拶」等の凡事がおろそかになる傾向です。
掃除に代表される凡事を徹底できない状態では、「安全」や「品質」を提供することはできないと考えましょう。
凡事を大切にして、繁忙期にも掃除をしている人は良い人に映ります。
誰もが嫌がることを率先して行えば「ありがとう」と言ってもらえます。
掃除しながら歩くことは、美化と健康の一石二鳥の効果が期待できます。
ゴミを見つけられる人は、危険を発見できる人です。
ゴミを拾って捨てられる人は、危険を回避する行動ができる人です。
安全においては「アブナイものを危ない」と思うこと。
品質においては「キタナイものを汚い」と思うこと。
危険(K)を予測(Y)するKY活動と同じく。
汚いもの(K)を良くする(Y)のもKY活動。
車両や施設だけでなく、服装や社員の心が汚い状態は、危険な状態です。
汚くなってから掃除をするのではなく。
きれいな状態を維持するために掃除をしましょう。
同様に。
事故が起こってから「研修」をするのではなく。
安全な状態を維持するために「教育」をしましょう。
ありがとうございました。
次回は12月21日(金)更新予定です。
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