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第190回 健康と安全で健全経営
安全はもちろんのこと社員の健康を高める取り組みは、働く人とその家族を含む全ての人の願いであり、健全経営とは今の時代に勝ち残るだけでなく、これからの時代で勝ち抜くための企業戦略です。
健康と安全で健全経営
過去には、深夜で交通量が少なく見通しがよい直線道路で側壁などに衝突する単独死亡事故が発生して原因が特定しにくい場合には、「居眠り運転だったのでは」と想定することが多かったようです。
現在では、ドライブレコーダーの普及に伴って、運転室内の映像記録から運転中にドライバーの健康状態が急変したことが原因である健康起因事故と断定されることもあるようです。
ドライバーは会社を出発すれば、良くも悪くも運転室内で一人の時間が長いものです。
そして、道の上では一瞬の自己判断を誤り一回の事故を起こせば、一生の自己責任を負うこともあります。
道の上とはセンターライン一本を挟んで、見ず知らずの多くの人と命のやりとりをするような場所なのです。
トラックの運転室内に一人だけの状態で運転中に気を失った場合は、誰もハンドルを代わりに持ってくれません。
さらには発症が走行中であっても誰もブレーキを踏んでくれず、側壁や前方の停車車両など何かにぶつからないとトラックが止まらない状況です。
このように健康起因による重大事故の発生時には、ドライバーが自らの命を絶つだけではなく、第三者の命も奪ってしまうことで、加害者として人生の幕を下ろす悲劇を迎えることが否めません。
安全とは自分を守るための手段であり、健康とは自分を大切にするための手段です。
安全は健康であることの条件であり、健康は安全になるための条件です。
まさに、安全なくして健康なしであり、健康なくして安全なしといえます。
さらには安全と健康は事故を防止するだけでなく、けがと病気を防止することでドライバーの離職も防止できます。
ドライバーの健康を願う+ドライバーの安全を狙う=運送会社の健全経営
健全経営とは今の時代に勝ち残るだけでなく、これからの時代で勝ち抜くための企業戦略です。
安全はもちろんのこと社員の健康を高める取り組みは、働く人とその家族を含む全ての人の願いであり、ドライバーの求人募集時にも「やっていると良い企業評価」から「やっていないと悪い企業評価」になる時代に移行しつつあります。
医療の知識がないままに「専門的な病気」について語ることはできなくても、まずは「一般的な元気」をキーワードに社内で会話を展開すれば、さらに明るく健康に取り組めると思います。
体も心も健康に+考え方も行動も安全に=社員も会社も健全に
ありがとうございました。
次回は1月29日(金)更新予定です。
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