第8回 在庫を適正化する発注を行うことができれば、過剰在庫を削減し、欠品も抑制できる

過剰在庫の削減対策は、「取り扱いをやめる」、「受発注商品にする」、「発注単位を下げる交渉をする」「安くても大量に仕入れない」「データに基づき発注をする」等があります。ただし、データ整備をして、取引先に交渉をするのが前提条件です。

在庫を適正化する発注を行うことができれば、過剰在庫を削減し、欠品も抑制できる

在庫適正化をする手順は、業種(製造業、卸売業、小売業)により少し違います。今回の解説は、卸売業をイメージしています。

1.過剰在庫を抑制する発注方法

(1)過剰在庫になると分かっている商品は、「取り寄せ」にする

  • 最低ロット発注で、在庫保有日数が極端に多くなる商品

(2)発注単位の見直し…仕入単価よりも過剰在庫削減が優先

  • 過去あまり受注が無いサイズ・色の商品
  • ケース発注→ボール発注→バラ発注

(3)新商品入れ替わり時の発注は、仕入単価が安くても多く仕入れない

(4)在庫が多い商品は、事前に適正在庫確認のうえ、発注する

(5)売上データに基づく発注…勘による発注の禁止

(6)返品が多い得意先への契約の折衝を行う

過剰在庫になった商品は、「最初から過剰在庫になると予測できる商品」と、「売れると思っていたが、結果として過剰在庫になってしまった商品」に分けることができます。

前者は、お客様からの受注量がある程度分かってはいるものの、競合他社との差別化や売上を考慮すると、なかなか取り扱い中止の決断ができない商品です。受注があまり無いのに、メーカーへの発注単位が大きいため、結果として過剰在庫になってしまいます。その対策として、「取り扱いをやめる」、「取り扱いは行うが在庫品にせず受発注商品にする」、「メーカーに発注単位を下げる交渉をする」のいずれかの選択肢があります。まずは、メーカーへの発注単位交渉を行いましょう。発注単位を下げる交渉は(例:発注単位をケース単位からボール単位に変更)、難航すると思われます。メーカーの営業の立場だと、直感的に「売上減、利益減(物流コスト増)」になるという思いから、貴社の要望を本気で検討しないケースさえあると思います。

貴社の営業が、商品のPR不足のため商品が売れないのであれば、商品知識の勉強や、お客様へのPR活動の強化を行う必要がありますが、競合他社の商品と比べて負けている商品であれば別の話になります。「メーカーも出荷単位を下げなければ、徐々に売上が減少し現在大量に持っている在庫も無くならないため、出荷単位縮小に対応する方がメーカーにメリットがある」ことをメーカーの営業に説得しなければなりません。ただし、メーカーの物流コスト増になりますので、利益減少は覚悟をしてください。利益が減少するよりも、在庫適正化を優先してください。受発注商品も同様の交渉が必要です。

貴社としては、本気になってメーカーと話し合い、WIN-WINの関係を維持する方向を目指す必要があります。どうしてもメーカーの理解が得られない場合は、取り扱い中止も検討すべきだと思います。お客様もいらない、競合他社もいらない商品を自社で持つメリットは無いからです。

後者は、過剰仕入を行わない対策が必要です。その例としては、「メーカーから低価格大量購入の商談があり、儲かると思って購入しすぎて余ってしまった」ということをよく聞きます。メーカーが早く処分しないといけない商品を、貴社が大量に購入する時には注意しなければなりません。値下げすれば売れると思わずに、会社でのルール(出荷数の何割増)を決めておくことをお勧めします。在庫状況と出荷状況を常にチェックし続け、出荷数が減少傾向にある商品は発注単位の見直しを随時かけていきましょう。

2.返品の抑制

業界によっては、小売業に販売しても無条件返品を受け入れないといけない場合もあります。在庫が適正化していても、小売業から返品が大量に返ってくれば、すぐに過剰在庫になってしまいます。対策としては、「返品が多い得意先に、データを元に在庫確保ルールの見直しの商談を進める」ことが必要になります。皆様は、それが通用するわけがないと感じておられると思います。確かに商談は難しいですが、それを継続することにより、徐々にこちらの言い分も分かっていただけます。返品が多いことにより、貴社にどれだけロスがあるのか。そのロスを卸価格減少につなげることができれば、利益率が高くなることを共有化することにより、少しずつ改善が進みます。この難易度の高い改善を実行している企業と、全く改善を進めていない企業では、5年後には大きく差が出ると思います。

3.欠品を抑制する発注方法

(1)在庫保有日数の少ない順で商品を並べて発注検討

(2)売上が多い商品の品薄リストを在庫プロジェクトで検討

売れ筋商品の欠品対策は難しいですが、B、Cクラスの商品の欠品は対策が可能です。在庫保有日数の少ない商品を抽出し、1アイテムずつ発注をすべきかどうかを検討する方法をお薦めします。

第3回 欠品アイテムの抑制により、お客様の満足度を向上し、機会損失をなくす

メーカーごとに発注日(曜日等)を決めて発注する方法、在庫保有日数で、一定数を割ったら一律に発注する方法等、いろいろありますので貴社にあう方法を研究してみてください。

次回は6月13日(火)の更新予定です。

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この記事の著者

有限会社SANTA物流コンサルティング 代表取締役社長 / 物流改革コンサルタント Dr.SANTA

平野 太三

昭和38年兵庫県芦屋市にて出生。昭和61年甲南大学法学部卒業。同年某システム会社入社後、物流システム担当営業として、100社を超える物流現場分析に携わる。平成15年に、有限会社SANTA物流コンサルティングを設立。「物流コンサルティング」「講演、研修」「執筆」を開始する。講演参加者数ものべ10,000人を超え、物流マンに分かりやすい具体的な改善手法の提言を行う。
主な執筆:「3カ月で効果が見え始める物流改善」(プロスパー企画)。
物流技術管理士、日本物流学会正会員、ロジスティクスアライアンス委員
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