第73回 2018年 「個人が主役」の時代

2018年を迎え、各種サイトやメディアが取り上げているのは「AIの本格化」を見据えたテーマが多いようですね。「AIの本格化」がもたらす「あらゆるビジネスシーンにおける激変スピード」に、制度・ルールが変わっていかざるを得ない状況であり、従業員一人ひとりも新たな考え方を模索しないといけないのかもしれません。今回は、そんな時代の中で「ビジネスパーソン」として「個人が主役の時代」を考えてみたいと思います。

2018年 「個人が主役」の時代

皆さん、遅くなりましたが、新年おめでとうございます。2018年、最初の投稿になります。
今年もよろしくお願いいたします。

2018年を迎え、各種サイトやメディアが取り上げているのは「AIの本格化」を見据えたテーマのものが多いようですね。

アメリカ・ラスベガスで行われていた家電見本市「CES」でも、既に「家電」という枠組みを超えて、今年は「コネクテッドカー(つながる車)、自動運転、カーシェアリング、電動化」の頭文字を組み合わせた「CASE」と呼ばれる技術開発を中心に自動車産業の出展が目立ったようです。

「AIの本格化」によってもたらされる「あらゆるビジネスシーンにおける激変スピード」に、現在の制度や仕組みはとても追いつけておらず、否応なく制度・ルールが変わっていかざるを得ない状況ではないでしょうか。

そんな2018年だからこそ、それぞれの会社において、経営者はもちろんですが、従業員一人ひとりも「従来の生き方・働き方を含めた考え方」をいったんゼロリセットするくらいの気持ちで、新たな考え方を模索しないといけないのかもしれません。

今回は、そんな時代の中で「ビジネスパーソン」として「個人が主役の時代」を考えてみたいと思います。

AI時代が働く人々にもたらす変化

前段で「経営者」とか「従業員」という表現ではなく「ビジネスパーソン」という表現を使わせていただきました。
これは、もはや「経営者」「従業員」といった立場の違いや境界線の意味がなくなってきており、「一人のビジネスパーソン」として誰もが考えていかなければならない時代になってきていると感じているからです。

多くの業界で、人の仕事がAIによって消えていくという論調や、20年後になくなる職業、逆に今後現れるであろう職業といったことが紹介されています。

先月もお名前を紹介させていただいた「現代の魔術師・落合陽一氏」によると

コンピュータに負けないために持つべきなのは、根性やガッツではありません。コンピュータになくて人間にあるのは、「モチベーション」です。
コンピュータには「これがやりたい」という動機がありません。目的を与えれば人間には太刀打ちできないスピードと精度でそれを処理しますが、それは「やりたくてやっている」わけではないでしょう。いまのところ、人間社会をどうしたいか、何を実現したいかといったようなモチベーションは、常に人間の側にある。

  • * 引用:マネーポストWEB 経済 落合陽一 氏 2017年12月24日 記事

「意識だけ高い系」と「真の意識高い系」の違い

のだそうです。

また、日経ビジネスオンライン 池田信太朗編集長の年頭コラム『2018年は「人間とは何か」が問われる年になる ~不安の時代に問われる根源~』の中で

働けば働くほど豊かになれる個人と、働かせれば働かせるほど成長できる企業。この二者の“共犯関係”は、国全体の成長、全員の成長を前提にしたものだったように思います。しかし、経済のグローバル化が優勝劣敗を決する速度を飛躍的に上げる中で、全員が成長すると思える幸福な時代が訪れることは二度とないでしょう。そこに加えて、一定以上豊かになった個人の中には、「豊かになる」以外の幸せの尺度を持つ人たちも出てきました。さらに、人口減少や少子高齢化によって労働力が減少し、企業と個人の力関係は一変。結果として、共犯関係は失われてしまいました。失われた以上、企業の成長と個人の幸福は、努力なくして一致しないものになってしまったと言っていいはずです。

  • * 引用:日経ビジネスオンライン 池田信太朗編集長の年頭コラム

2018年は「人間とは何か」が問われる年になる ~不安の時代に問われる根源~

と指摘しています。

そして現実に、1937年初版の『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎 著)は漫画版を含め、100万部を超える大ヒット作になっています。

個人が主役の時代

「働き方改革」に続いて、日本政府は12月に「生産性革命」と「人づくり革命」の2本柱に「新しい経済政策パッケージ」を決定しました。3%以上の賃上げや幼児教育無償化といった話が繰り広げられていますが、今後もこうした国の施策、財政支援に頼った取り組みで、前段のような時代の流れに則しているのでしょうか。

『第70回 「モチベーションの変化」から見る「働き方改革」の本質』で紹介させていただいた『モチベーション革命』(尾原和啓 著、幻冬舎)の中で「偏愛」という言葉を使って、今までは、埋もれていた「個人の偏った好き嫌い」がSNSの発展と共に簡単に脚光を浴びる時代になり、それがビジネスになっていくという見解を明示しておられます。

第70回 「モチベーションの変化」から見る「働き方改革」の本質(ERPナビ)

この「個人の好き!」に勝るモチベーションはあるのでしょうか。そして、これこそが、落合氏の言う「これがやりたい」という動機ではないでしょうか。

こんなことをプライベートな時空の中で日常的に経験してしまっているこれからの若い世代はもちろんですが、今いる従業員も、少なからず体験したり、情報として見聞きしたりしているわけで、意識が変わらないはずがありません。

企業として、時代の変化に追随していけるのか

こうした劇的な時代変化に伴った「意識の変化」は加速度を増していくばかりではないでしょうか。

「AI」というテクノロジーを企業経営に活かしていくことも不可避であると同時に、そのインパクトは「会社のあり方」「働き方のあり方」といった側面にも大きな影響を及ぼすことは間違いないと認識しておく必要があるように思います。

企業として、この変化にどう追随していくのか……。「今のやり方・今の考え方」のままで本当の意味で乗り越えていけるのでしょうか。

「個人が主役」という時代の流れは不可逆的ではないかと思います。さて、皆さんの会社では、この現実とどう向き合って「自律的な組織風土」を醸成していかれますか……。

今後とも、よろしくお願いいたします。

次回は2月21日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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