第28回 無条件の受容

皆さん、こんにちは! 
先日、あの東日本大震災3.11からまる3年を迎えました。各種メディアで様々な切り口で振り返りや今後の洞察が行われていました。私自身も阪神大震災を経験して以来、地震の揺れには敏感になってしまいましたが、被害の大きさ、津波、福島原発問題と私の被災経験などでは及びもつかない程の辛苦の大きさだと思っています。

それぞれの人が、人生において多くの経験をしていくわけですが、その経験においてどのような「感じ方」をするか、すなわち「気づき」を得るかによって、同じ経験をしたとしても、それぞれが全く異なる考え方、価値観を選び、その人生を形成していくことはごく自然な結果と言えるように思います。

前回は、「経営者の従業員に対する想い」に触れさせていただきましたが、先日2人の思考性の異なる経営者の方とお話をさせていただく機会がありました。そのお二方がどのような思考性を持っておられ、その結果、経営において、どのような結果を導いておられるのか・・・。

今回は、こんな視点で進めていきたいと思います。

■2人の経営者
私がお付き合いをさせていただいている2人の経営者のそれぞれの特徴をご紹介させていただきます。
Aさんは、3年程前から自社の今後に危機感を持たれ、ある方の紹介で私との出会いが始まりました。自動車関連部品製造業でリーマンショック後、ジリジリと業績が低下傾向にある中、社員と一丸になれるビジョンを掲げて取り組んでいきたいといった状況でした。

Bさんとは、それから半年ほど経過した時期にお会いしたかと思います。専門サービス業であり、同様に業績は低下傾向であり、Aさんと同じような状況でした。

それぞれ、その後、ご一緒をさせていただいてきましたが、3年経った今、Aさんの会社は、ご本人が驚くほど変貌を遂げ、業績はもちろんですが、何より社員の方々の「当事者意識・自発的行動」が劇的に変わりました。

一方、2.5年経ったBさんの会社も、色々と取り組んできました。市場環境の後押しもあり業績は上がり、仕事量も増えています。ただ、残念なことに社員の皆さんのマインドは余り変化しておらず、社員の退職も相次ぎ、重たい職場の空気はそのままです。

■2人の経営者の違い
私が、このお二人とお話をさせていただいていて、「違い」を感じることがあります。

いずれの経営者も「経営者としての想いや事業の方向性」は明確にしておられます。ところが、上記の通り「経営者ご自身の思考性」に明らかな違いがあるように思います。

この「思考性の違い」が社員との関係性に大きな影響を及ぼし、社員の「仕事に対する取り組み意欲やモチベーション」、ひいては「自律的従業員に向けた成長」にまで色濃く反映してしまっているような気がしてなりません。
この事を「社員に対する愛が足りない」と表現した方がおられます。

■無条件の受容
Aさんのように考えられるタイプの方は、生い立ちの中で「無条件の受容」を経験したことがあると言われています。

私たちは幼い頃から「〇〇したら、□□してあげる」という表現で親や先生に言われた経験を思い出せると思いますが、これを対比的に「条件付きの受容」と言っています。
「勉強したら、TVを見てもイイ」「次のテストを頑張ったら、〇〇を買ってあげる」・・・

つまり、これを繰り返していくと、自分の思考性として「ご褒美があるから、頑張る」。逆に言えば「ご褒美もないのに、なぜやるの?」という「思考のクセ・思考性」が自分の認知とは違う次元で刷り込まれてしまいます。そして、大人になっても対人関係において、本人でさえ無意識のうちに「条件付き受容」でコントロールしようとしてしまうようになると言われています。

それに比し、「無条件の受容」の経験がある方は、対人関係において「無条件の受容」という思考性で接することがしやすくなるとの考え方です。

ご自身が「条件付き受容」でアプローチされた時の気持ちを想像してみた場合、私たちはどのような気持ちになるのでしょうか・・・。

この事は、

第10回 「ライフ・ポジション」から考える「フラットな関係」

でご紹介させていただいた「私はOK(肯定)、あなたはNOT OK(否定)」という思考性を指しているとも言えます。

「自分で意識している・していない」に関わらず、相手(部下・他人)はその「支配・強制型」とも言えるコントロールしようという背景意図が透けて見えてしまうものです。

■アドラー心理学
こうした「自分の思考のクセ・思考性」は無意識のうちに行われていますので、自分でそれを認知・自覚し、変えていくと言うことは、意外と簡単ではないとお感じになるかも知れません。

ただ、「社員がイキイキ働く企業風土・自律的従業員育成」を望んでいるのであれば、一度立ち止まって「自分の思考のクセ・思考性」と向き合う必要があるのかも知れません。

ところが「実は、決して難しくない、簡単な事だ」と提示している考えがあります。
今、ベストセラーになっている「嫌われる勇気(刊:ダイヤモンド社 著:岸見一郎氏/古賀史健氏)」で「3大心理学」の一つである「アドラー心理学」が分かりやすく表現されていますが、その代表的な一つだと思います。

その中にも「自己受容・他者信頼・他者貢献」というキーワードが紹介されています。
一度、立ち止まるキッカケにするために、手に取っていただいてもよいのではないでしょうか。

引き続き、よろしくお願いいたします。

次回は4月16日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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