第9回 その道具は本当に合っていますか【3】

どれだけまとめて作るの? 製造業の特性を考える その2

前回は、「どの様に作り上げているの?(製造形態)」のテーマで、製造業の特性を組立業と加工業の側面から一緒に考えてみました。
今回は別の側面から製造業の特性について考えてみたいと思います。

「個別生産」と「繰返生産」という切り分け

下図(図1)の2つ目のポイントとして、「個別生産」と「繰返生産」に分類して考えてみたいと思います。

今回はテーマをあえて、「どれだけまとめて作るの?(繰返性)」としての側面から考えてみることにしました。
「そのテーマで、個別生産はそもそも分類が違うのでは?」とのお声が聞こえてきそうですが、あえてこの表現から一緒に考えていきたいと思います。

そもそも、「個別生産」と表現すると、大多数の方が想像されるのは「個別受注生産」ですよね。
代表的な製造業種では、機械設備メーカーがあげられるのではないかと考えます。
特に専用機と呼ばれる設備を製造するメーカーはその代表格です。
また、その機械設備で使用する治具・金型を製造するメーカーも同じように「個別受注生産」に業種分けされますし、試作品メーカーもその位置付けになると考えます。

その対極にあるのが「繰返受注生産」と位置付けて区分けされるのではないでしょうか。
こちらの業種は自動車メーカーや家電メーカー、食品メーカー、日用品メーカー等、規格商品を市場に展開しているメーカーと、その裾野に広がる部品サプライヤーである加工業がその範疇に含まれ、ある意味大多数の製造業が「繰返受注生産」に位置づけられるのではないかと考えます。

実はこの「個別受注生産」と「繰返受注生産」は、製造業をお手伝いする我々ベンダーがお客様にお伺いして生産管理のご提案をおこなう際、一番初めに確認し、切り分けをする要素になっている部分でもあります。

「個別受注生産」「繰返受注生産」という見方は正しいか?

今回はあえて、この切り分けに道具選びの落とし穴があるのではないかと、私の個人的な実感をテーマに込めて、一緒に考えてみたいと思っています。

つまり私は、「個別受注生産」と「繰返受注生産」で分類分けして考えるのではなく、あくまで「個別生産」と「繰返生産」で考えるのが大事だと考えます。

なぜなら、生産管理をする上での特性とは、モノ集め(=購買)も含めた「ものづくり」の特性であり、受注(=契約)の形態に依存するものではないと考えているからです。

多種多様にある製造業においては、その1社1社にさまざまな特性が存在し、その特性に必要な管理をされています。また、その管理に必要な「道具」もまた、目的によりさまざまではないかと考えるのです。

例えば、「個別受注生産」の代表格である機械設備製造業では、その収益性と品質を考え、原価・品質の安定した「共通ユニット」の存在は必要不可欠な特性です。その結果、まとめて作る共通ユニットの管理や、まとめて購入して在庫管理するパーツの存在は、受注単位で個別管理されている製品とは切り分けた生産管理が存在するのではないでしょうか。

すなわち、「個別受注生産」の中にも「繰返生産」の部分が存在しているのです。

逆に「繰返受注生産」と切り分けされる大多数の製造業においても、商品の完成品メーカーの中には、規格仕様のある商品を顧客ニーズに合わせて受注する受注形態、BTO(Build to Order)をおこなっているメーカーが存在します。その場合、最終製品の管理をそれぞれ「個別」に管理する形態の生産管理を必要とします。

連続生産形式の製造ラインにおいても、必ずしも製造ラインによって製造されている製品の管理は同じではありません。
連続生産の代表格である自動車製造業においても、その完成品製造ラインではBTOの顧客受注に対応し、製造ライン上の1台1台の製品に対する1枚かんばんの「個別」管理でものづくりは流れています。
もちろん、その内部部品である各種ユニットは、規格仕様ごとに「ロット生産」で製造されており、最終製品に引当されるべく、製造ライン上で管理されています。

このような背景から、「個別受注生産」と「繰返受注生産」という分類分けは、生産管理における特性で考えた場合、現実にはうまくあてはまらないと思っています。

「個別性」と「繰返性」による視点

さて、では改めて「個別生産」と「繰返生産」に分類して考えた場合、生産管理における特性として、どのように見ればよいのでしょうか?
私はもっとシンプルに「個別性」と「繰返性」の側面から見るとよいと考えています。

個別性とは、まとめない管理。
繰返性とは、まとめる管理。

管理をするうえで、この「まとめる管理」と「まとめない管理」は、非常に大きな管理の特性の違いを要求し、必要な「道具」を考えるうえで大きな要素になる部分であると考えます。

多種多様な製造業において、この特性は個々に存在し、管理をする上で何が必要かを切り分ける、非常に重要な要素になると考えるのです。これが、今回のテーマ「どれだけまとめて作るの?(繰返性)」ということでした。

さて、前述したように、よく契約形態や業種・業態、製造形式を「個別受注生産」・「繰返受注生産」や「連続生産」・「ロット生産」等の製造形態に切り分けて表現される製造業ですが、実際に現場でおこなわれているものづくりの管理は、一概にその形態の切り分けで括り、「道具」を選定できるほど単純ではないと考えています。

スポーツの中で野球を一つとっても、バットが「道具」ではなく、バッティングスタイル(特性)によって必要(選定)とされるバットでは全く違ったものになってきます。
スポーツの種類(業種)ではなく、その中で役割やスタイル(特性)に必要な「道具」の要素が存在しています。

本当に必要な「道具」は何かを間違えないように、次回以降も一緒に考えて行ければと思います。

次回は1月21日(木)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ

須永 浩昌

制御技術系の製造業に入社し、技術設計・営業・製造(生産管理)に携わる。その後、生産管理システム系のソリューションベンダーに転籍。主に繰り返し型の加工業に特化した生産管理システムの開発・営業・支援に携わる。数多くの企業と共に生産管理システムによる業務改善・稼働実績を持ち、現在でも生産管理パートナーの創造に取り組んでいる。

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