第13回 フィッティングしよう【1】合わせるではなく、使い方を考える

前回までのコラムにおいて、皆さんと以下のテーマについて一緒に考えてきました。

  1. システム導入に向けての最も重要な目的について
  2. システムを導入選定するときに重要な、業務の特性と管理手法の整理について

この二つのテーマは、システムの導入・見直しを検討されるときに重要な要素として、皆さんと考え、整理してきた部分です。

今回からは製造業の皆さんが生産管理システムを導入され、運用・稼働に向けた取組みについて一緒に考えていきたいと思います。

システムに仕事を合わせる?

私がよく耳にする言葉にこんなものがあります。
「システムに仕事を合わせる」
これは導入を検討されている段階においても聞きしますし、導入後の運用・稼働に向けた取組みの中でもよく耳にする言葉です。

発言されている方の意図は十分承知しているつもりです。
昨今、生産管理システムはさまざまなパッケージシステム、いわゆる汎用システムを導入し活用することが主流になっています。
パッケージシステムは、製造業における生産管理の標準的な業務フローをシステム化したものであり、その意味でシステム導入が業務改善・収益改善を目的とした活動においては、標準的な業務フローを活用する=「合わせる」ことによって、業務改善を図っていく意図での表現をされていると思います。

きっとその逆の表現は、「仕事にシステムを合わせる(仕事に合わせてシステムを作る)」になるのではないかと考えます。これは、オーダー・カスタマイズシステムであり、ある意味自社専用システムの構築をおこなうことを意味しています。

双方とも、皆さんも日ごろシステム導入や稼働に向けた取組みにおいて、聞き慣れた言葉だと思うのですが、いかがでしょうか。意図を理解して聞けば、なるほど、言っている意味は理解できます。きっと、発言している側も、聞いている側もお互いに相互認識がある中で使われている言葉で、普段から違和感なくさまざまな状況において存在しているのだと思います。

道具の使い方を考える

ここではあえて、私の持つ違和感で話を進めたいと思います。
そもそも、システムは「道具」です。
前回までのコラムで、「その道具は本当に合っていますか?」のテーマでシステムを選定するうえでの製造業のさまざまな特性と道具に求められる管理の手法を整理しました。
この整理の中で、「合っていますか?」として整理したのは、業務に道具が合っているでも、道具が業務に合っているでもなく、あくまでも業務の特性と管理の手法が合っているかです。

製造業の皆さんは、普段おこなわれる業務においてさまざまな道具(機械)を使用していると思います。それらの道具は、一部その業務の特性によって、特殊な加工形態に合わせた専用機をオーダーして使用されていることもあると思います。
この場合はたしかに、「業務に道具を合わせる(業務の特性に合わせて道具を作る)」ことになっていると考えます。

しかし一般的に、製造業の業務において使用されている道具の大半は、汎用機と呼ばれる機械を導入し、使用されていると考えています。では、この汎用機を導入し、使用される場合はいかがでしょうか?

汎用機の導入検討・選定される際には、その業務の特性である加工の目的を把握したうえで、その目的達成を可能とする性能・機能を有する機械を選定されるものと考えます。
これは、汎用システムであるパッケージシステムを選定される場合も同様で、業務の特性とシステムの持つ機能である管理の手法を精査・選定されるものと考えます。

では、汎用機を導入した後、使用・加工する場合はどうでしょうか?道具(機械)に合わせて、業務の特性である加工の目的を変えることはあり得ないと考えます。この場合、「道具に業務を合わせる」という行為は存在しません。当たり前のことですよね。

製造業にとって、加工の目的は替えられざる最も重要な要素です。
汎用機を導入された後、製造業でおこなわれる行為は、その道具を使ってどの様に加工の目的を達成させるかになると考えます。道具はその使い方を考えることにこそ、意味があるのではないでしょうか。
これは、道具であるシステムを導入し、システムの運用・稼働に向けた取組みにおいても同様であると考えます。このフェーズでおこなわれる行為は、道具であるシステムの使い方を考えることです。ここに「システムに業務を合わせる」行為は存在しないのです。取り組んでいかなければならない活動は、業務の特性と管理の手法(システム)を、管理の目的に向けて使い方を考えて、いかに調整(フィッティング)していくかであると思います。

この取り組みにおいて行われる行為「フィッティング」は、「合わせる」ではなく「調整する」という意味です。

次回以降、このシステム運用・稼働に向けた取組み「フィッティング」について、もう少し掘り下げていきたいと思います。

次回は5月26日(木)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ

須永 浩昌

制御技術系の製造業に入社し、技術設計・営業・製造(生産管理)に携わる。その後、生産管理システム系のソリューションベンダーに転籍。主に繰り返し型の加工業に特化した生産管理システムの開発・営業・支援に携わる。数多くの企業と共に生産管理システムによる業務改善・稼働実績を持ち、現在でも生産管理パートナーの創造に取り組んでいる。

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