第14回 フィッティングしよう【2】「ノンカスタマイズ」を目指して

前回のコラムにおいて、「フィッティング」は「合わせる」ではなく「調整する」というお話をさせていただきました。この「フィッティング」という活動を具体的に皆さんと考えていく前に、「フィッティング」の目的について、まず共有したいと思います。

パッケージシステムという汎用システムで生産管理業務を進めていく目的は、さまざまに存在すると思いますが、ここで挙げたい大きな目的の一つに、「ノンカスタマイズ」による運用があります。自社の業務特性を理解し、汎用的であるパッケージシステムを選定して進めるにあたり、この汎用システムの使い方・管理方法をいかに考えて活用するかが重要なのです。

「カスタマイズ」をせずに、パッケージシステムの基本機能を活用して運用する。

これは、パッケージシステムを選定して導入する本来の目的にほかならないと思います。

汎用システムのメリット

そもそも、パッケージシステムは、その多くにあらゆる製造業の特性におおよそ合わせた管理手法が備わっており、標準的な業務フローを有する汎用機です。
その対角にあるオーダーシステムと比較して、メリットとなるのはその幅であり、自由度であると考えています。

専用機であるオーダーシステムは、その管理において専用の要求定義に基づいて確立された専用フローになっています。当然、細かな要望にも対応して、きめ細かな対応がされている反面、当初の要求定義の範囲から外れた場合の自由度が極めて低くなります。

汎用システムは、オーダーシステムと比較してその使い方を考えることによって、変動要素に柔軟に対応できることがメリットです。また、もう一つのメリットとして、リビジョンアップ(機能向上)の提供が挙げられます。
システムとベンダーごとに違いはあるものの、一般的に汎用システムとして提供されるものは、OSやハードの変動や法令の変更に対して柔軟に対応するとともに、機能向上をおこない提供する保守サービスを持っている点もメリットです。

カスタマイズは「イニシャル」ではなく「ランニング」

システムを導入されるお客様には当然費用予算が存在します。
汎用システムを導入する理由として、オーダー開発と比較してこの開発費を抑え、かつ標準フローを活用することで業務改善効果を得ることが挙げられます。同時に、企業の目的である収益改善を達成するための費用対効果も大きな目的の一つでしょう。

この費用対効果を目的とすることは当然であり、特に、イニシャル(導入費用)の予算設定が非常に重要です。導入予算の算出時にパッケージシステムの費用、関連するハード等の周辺費用、稼働に向けた支援費用、さらに想定されるカスタマイズ費用を算出しなければなりません。そういった導入検討時・予算策定時に私はよくお手伝いさせていただいております。
今回一緒に考えたいのは、イニシャル費用の考え方については皆さん共通して非常に意識が高いのですが、カスタマイズがランニング費用において非常に大きな負担になる認識を持たれていないことが多々あるという状況です。

システムやベンダーにより対応はさまざまあると思いますが、一般的にパッケージシステムを導入することで発生するランニング費用に「保守」が存在します。
この「保守」はシステムを継続的にスムーズに活用するための運用サポート対応が含まれるとともに、パッケージシステムのメリットであるリビジョンアップ(機能向上)のサービスを提供している場合が非常に多いです。
昨今は、このサービスがオンラインでリアルタイムに適用される仕組みを提供しているベンダーも多く、OSや法令の変更に対する対応、独自の機能向上による運用の幅をリアルタイムに適用して活用できるようになっています。

一概にはいえませんが、導入時にカスタマイズをして導入されたお客様においては、「カスタマイズ保守」の費用も発生することが一般的です。カスタマイズは、パッケージの基本機能とは別(外付け)の、お客様専用システムになりますのである意味オーダーシステムといえます。
「カスタマイズ保守」は、お客様独自システムのソース管理を個別におこなう管理費用的な要素です。

カスタマイズ部分は、パッケージの標準機能にも何がしかの関連性を持って影響を与える場合が多いため、カスタマイズをした場合は、標準パッケージの「保守」で提供されるリビジョンアップが適用されない(できない)場合が多く存在します。そのため、標準のパッケージ機能がOSや法令の変更に対応したリビジョンアップをおこなった場合にも、その適用を享受できないことになります。実際にカスタマイズしているお客様でリビジョンが上がらず、導入当初のリビジョンのまま使用し、OSの変動やサーバーハードの入替時にシステムのバージョンが古すぎて適用できないトラブルにもよく遭遇します。

この状況を打開するため、パッケージのリビジョンアップに合わせてカスタマイズに改修をおこなうためには、そのつど改修費用が発生します。実はこの「改修」は、「保守」と合わせてランニング費用として企業に大きくのしかかり、莫大な費用負担を強いることになるのです。

カスタマイズしていることについて、お客様のイニシャルに対する意識は非常に高いと思いますが、このランニングに対する意識はあまり高くないのが実情ではないでしょうか。
費用対効果やパッケージシステムのメリットを考えると、できるだけカスタマイズは無いに越したことはありません。

もちろん、パッケージはあくまで汎用システムですので、お客様の業務特性に対して不足している機能が存在することは否めないと思います。不足機能を補てんし、運用できるようにするためのカスタマイズを全くなくすのは不可能かもしれません。でも、あえて生産管理システムの導入を検討する目的の一つに「ノンカスタマイズ」を入れておきたいと思います。

「ノンカスタマイズ」で、道具(パッケージ)の使い方を考える活動こそ「フィッティング」することであると考えています。本番運用・本稼働に向けた取り組み、「フィッティングしよう」を一緒に考えていきましょう。

次回は6月9日(木)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ

須永 浩昌

制御技術系の製造業に入社し、技術設計・営業・製造(生産管理)に携わる。その後、生産管理システム系のソリューションベンダーに転籍。主に繰り返し型の加工業に特化した生産管理システムの開発・営業・支援に携わる。数多くの企業と共に生産管理システムによる業務改善・稼働実績を持ち、現在でも生産管理パートナーの創造に取り組んでいる。

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