第15回 フィッティングしよう【3】道具の使い方・応用はお客様の中に存在する

今回は二つのお客様のあるあるネタからノンカスタマイズ・カスタマイズについてお伝えします。

ノンカスタマイズで稼働したA社

一つ目は、先日あるお客様(以下、A社とします)で行われた稼働報告会での話。

稼働報告会において、A社の社長より「今回のシステムの稼働活動において最もよかったことは、結果的にカスタマイズをいっさいせずに稼働できたこと」との評価をいただきました。
これは、A社と我々ベンダーともに、ランニング費用に対する抑制とパッケージシステムの保守性・機能向上におけるメリットを相互理解して、同じ目標に向けて活動・努力をおこなってきた結果に対する、評価と感じています。

実は、A社においてもご多分に漏れず、導入時のイニシャル提案見積りにカスタマイズ費用の明細が存在し、導入判断をいただいた案件でした。
しかし、導入後の稼働に向けた支援のキックオフミーティングにおいては、パッケージシステムへのフィッティング活動を行うことで、ノンカスタマイズに向けた共同活動を進めていくことを大きな目標として掲げてスタートしました。
イニシャル見積りにあるカスタマイズを行うことを「前提としない」活動です。

A社の導入支援分析(フィッティング)コンサルティングの時点では、

  1. 導入目的・要求定義の確認と、業務分析による業務の棚卸、業務の意図・目的の整理
  2. パッケージシステムによる新業務フローの方向性とフィッティングにおける課題の整理

以上のように、新業務フローと手法を固定することなく、方向性と課題点の整理をすることで業務分析を実施しました。

そして、テスト稼働に十分な時間と負荷をかけていただくことで、目的に向けたさまざまなパターンや手法の応用をフィッティングし、ノンカスタマイズ稼働を実現しました。
当初のカスタマイズ予算を、工場のフィッティング支援費用に転嫁したため、イニシャル費用を抑えることはできませんでしたが、結果的にはノンカスタマイズによるランニング費用の抑制とパッケージの保守性・機能向上メリットを享受できる稼働につながった結果でした。

カスタマイズして稼働したB社

二つ目のお客様(以下、B社とします)も、稼働報告会を終了し稼働評価いただき、次ステップに向けてお手伝いをしているユーザー様です。
ただ、ここでは自らの反省も込めて少し書いていきたいと考えています。

このB社も導入前の提案分析時に、カスタマイズ費用を含んだイニシャル提案見積りをもとに導入いただいた案件でした。そのカスタマイズは、パッケージ機能ではカバーできない業態特性を含んだ機能追加的な内容でした。

そのカスタマイズを前提に導入支援分析(FIT&GAP)コンサルティングをおこないました。
現状業務手法とパッケージのFIT(合っているところ)&GAP(相違点)を分析して、新業務フローの確立をおこない、業務特性と合わせてGAPとなっている部分のカスタマイズを確立し、進めたのです。

その後、フローを前提にカスタマイズの詳細要求定義を行い、カスタマイズ作成・納品へと進み、それと前後してパッケージのテスト稼働をお客様とともにおこないました。

ところが、徐々にカスタマイズも納品され、応用運用も含めたテスト稼働状況と照らしていくうちに、運用的なGAPが生じてきます。つまり、カスタマイズによって固定されたフローに、運用の応用が利かないというGAPです。ここで、やっと「こういうことだったのね」というお客様の気づきとともに、よくある会話は「最初から言ってくれればいいのに」、「本当はこんなカスタマイズではなく、こうあるべきでは?」等の状況です。

結果的には、当初のカスタマイズも納品後、テスト稼働に合わせて幾度となく修正し、繰り返しのテスト稼働を重ね本稼働に至りました。

しかし、そこにたどり着くにはいくつかの問題を超えなければなりません。

  1. どこまでいってもカスタマイズを含めた専用機化した機能において、道具の使い方の応用が束縛され、幅がなくなってしまっている
  2. ランニング費用もさることながら、パッケージの保守性・機能向上の標準的サービスを享受できない
  3. 最も大きな点は、今後の業態変化や新事業等の変動要素に柔軟に対応ができない

修正・テストを繰り返し、最終的には本稼働できたことは良かったのですが、パッケージ提案としては、反省の残る案件でもありました。

道具の使い方、応用はお客様の中にこそ存在する

そもそも、この二つの案件の違いはどこであったのかを振り返ってみると、テスト稼働の位置づけにあったと思っています。

実際にお客様において真の意味で道具を活用して使い方を模索するフェーズは、このテスト稼働フェーズにが初めてであるといえます。
B社の案件においてテスト稼働時の「こういうことだったのね」という話は、まさに真実なのです。
これは、B社のみならず、どのようなお客様でもよくお聞きします。しかし、それはかなりのテスト回数や期間を重ねてのちに聞く言葉です。

このテスト稼働を進める中で、やっとお客様の中で道具の本質と使い方が理解されてくるのだと思います。そして、いろいろな角度から道具の使い方を模索し、応用されることで日常業務における活用方法が確立されてくるのだと考えます。

テスト稼働によるフィッティングを前提に、道具の使い方の応用によってノンカスタマイズを確立されたA社。
FIT&GAPによるカスタマイズを前提に、テスト稼働で運用・活用の幅とフローとにGAPが発生してしまったB社。

フィッティングすることで、パッケージシステムを最大限に活用できる、道具の使い方の確立を目指していきましょう。

次回は7月21日(木)更新予定です。

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