第2回 目的はなんだったっけ【1】

「できない」?いいえ、「やらない」、「やらせない」、「やってもらわない」では?!

生産管理システムをご導入いただき稼働支援をしていると、最もよく聞かれる言葉「できない」。これには「仕事が忙しくて」、「時間がなくて」、「今のやり方では」、「今やっていないから」等、いろいろな「できない」の理由が聞こえてきて、いつの間にか、「このシステムでは無理?管理できない?」とつながり、稼働に向けた取り組みさえ頓挫するお客様が出てきます。

こんなこと、皆さんの周りによくありませんか?
システムの導入・稼働でよくあっては困りますが、もう少し普段のさまざまな状況に当てはめて思い返してみると、案外よくある(よく出る)言葉とシチュエーションではないかと思います。

そもそも生産管理システムの導入に関して言えば、総じて、生産管理システムの導入や見直しを検討・活動されるお客様は、経営的な収益改善目標や製造部門的な業務改善目標を、企業として明確に方針として掲げて活動されているものと考えます。要は、明確な目的と達成するべき目標(ご導入という企業予算的見地から言えば、活動義務とも言える、費用対効果目標)があるということです。

中小中堅製造業のお客様においては、生産管理システムを立ち上げるPJ(プロジェクト)は、実業務(製造活動)を持って、業務外PJとして活動をされることが大多数であり、さまざまな状況が存在することは、否めません。
ここでは、そのさまざまな状況の細かな修正要素にはあえて深考せず、大きな意味での「できない」を、取り上げてみたいと思います。

そもそも、「できない」ことがある、許される前提なのでしょうか?
本当に、「できない」のでしょうか?

「できない」ことなど無い、存在しない。こんなことを書くと、「きっとそれは理想論で、現実はそうではない」とのお言葉が聞こえてきそうです。
でもあえて、「できない」は無い、を前提に定義したい。
その上で、言葉を変えて考えてみたいと思います。

「やらない」

稼働のご支援をしていて、よくある状況。
あえて記載します。それは「できない」ではなく、「やらない」ですね。
前述した、「できない」理由。「仕事が忙しくて」、「時間がなくて」、「今のやり方では」、「今やっていないから」等、よく聞き、よくある状況ですが、よくよく見てみると、皆さん、手が動いていないですね。そう、理由が先にきて、「できない」であろうから、「やらない」、「やっていない」。そもそもその時点で、それは「できない」ことではないのでは?

「やってみて」、「できなかった」ことは、さまざまな理由で存在するでしょう。
でもそれは、「できない」ではなくて、今回「やってみて」、「できなかった」=「原因が見えた」であって、次に、もしくはいつか「できるため」の経過点なのではないでしょうか。
製造業のお客様における改善とは、この行為の繰り返しであることに他ならないと考えます。「PDCA」は1ルーチン回せば終わりではなく、繰り返し行うことで「できる」につなげるための行為だと考えます。
「できなかった」は、「できる」の母であり、「できない」であろう理由を前提に、手を動かさないで、結果頓挫してしまうのは、「やらない」、「やらなかった」結果ではないでしょうか。

「やらせない」

これは、私がご支援で入っているお客様でも、状況的には少ないですが、たまにあります。そもそも「やらせる」という言葉の表現は、適切ではないかもしれませんが、この表現で、ご容赦願いたいと思います。
そう、「やらせる」側は、経営者です。
そもそも、システム導入をご判断いただき、収益改善目標や業務改善目標をTOPジャッジされるのは、経営者です。当然、企業予算を認識し、費用対効果の達成目標を最も認識されて、生産管理システムを導入するという判断=「やらせる」経緯に至るわけですから、よっぽどのことがない限り、頓挫させるようなことは無いと思います。でも、現場のPJの「できない」を容認して、「やらせない」で終わってしまう状況もまれにあります。本当にまれですが、残念な結果に他なりません。

「やってもらわない」

そして最後に、我々ご支援する側の反省も含めて記載するのが、「やってもらわない」です。さまざまなお客様の状況はありますが、「できない」理由が出てきた状況で、お客様の目標を共有し、ご支援していく上で、「できる」ためのプロセスを訴求し、お手伝いできていないことがままあると反省します。
そんな時、「やってもらえない」という理由で頓挫することがあります。
「やってもらう」=「できる」プロセスを訴求し、一緒に考え、お客様の目的達成がご支援の目標であることを真摯に考え、「やってもらわない」ことになるような結果に至るご支援にならないように、改めて、反省も込めて記載しました。

この「目的はなんだったっけ?」は、もうちょっと深掘りして皆さんと一緒に考えていきたいテーマです。次回以降も、いろいろな角度から目的・目標について考えていきたいと思っています。

最後に、私の上司がよく言っている「結果に拘る=未来志向」の内容を少し引用させていただきます。
ここには、「結果を出せる人」=「結果を出す人」、「結果を出せない人」=「結果を出さない人」という締めくくりの表現があります。
「結果を出せる、出す人」は、「できる」ために「できる」結果を未来において、未来志向で考え、活動を行う人。
「結果を出せない・出さない人」は、過去の体験や知識と比べて、それが本当に遂行できるかどうかを吟味して難易度が高ければ「やることはやるけれども」「できる範囲でやる…」という自己制限を無意識に付けている人=「やらない」を肯定する人。

「楽をしたい」は、改善の母だと言います。
でも、実際には将来「楽をしたい」、「楽になりたい」から考え、活動する行為が改善です。
だから今「やること」が存在します。
今「楽をしたい」=「やらない」が存在していませんか?
もう一度、「目的はなんだったっけ?」を、一緒に振り返っていきましょう。

次回は6月18日(木)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ

須永 浩昌

制御技術系の製造業に入社し、技術設計・営業・製造(生産管理)に携わる。その後、生産管理システム系のソリューションベンダーに転籍。主に繰り返し型の加工業に特化した生産管理システムの開発・営業・支援に携わる。数多くの企業と共に生産管理システムによる業務改善・稼働実績を持ち、現在でも生産管理パートナーの創造に取り組んでいる。

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