第4回 目的はなんだったっけ【3】

王道の「見える化」、「一元管理」。でも、あれ?本末転倒では?

今回は、製造業様の生産管理システム導入でよくある、こんな導入目的から。

「情報の見える化」、「一元管理の確立」

いずれも、お客様のRFPにおける目的や要求定義、われわれベンダー側からの提案書におけるお客様目標等に必ずと言ってよいほど出てくるフレーズ。

情報システムの提案をしていれば、業種に限らず企業のシステム化定義としてよく使われる目標なのですが、製造業においては常に求められる(つまり、現状できていない・今後できるべき)目標として、必ず出てくる導入目的になっています。

私の個人的見解もありますので、一概に製造業だけが大変なわけじゃないよ!との他業種のお客様のご意見も聞こえてきそうですが、製造業の業務はその一社の中に小さな供給連鎖社会(サプライチェーン)が存在するという認識の上で述べさせていただきます。

この供給連鎖が、管理をする上で煩雑で大変なのです。

私たち(最終需要者・消費者)が生活する中で消費するさまざまなものは、原料・素材から始まって、加工(製造)・物流・販売(卸・小売)と最終消費に向けて多様な供給の連鎖を経由して形成されています。
江戸時代における士農工商(順序は武士社会による意図的な序列ですが)の社会、果ては人類が役割分担をして物々交換を始めて以来、共に発展してきた供給連鎖の仕組みです。
この供給連鎖の縮図を一社の中に凝縮して持つのが製造業だと考えています。

人類(社会)は、この供給連鎖の中でさまざまな付加価値(役割・手間)を加えることで、お金(利益)を生み出しています。

・原料・素材を発掘・栽培・捕獲・加工等する付加価値
・物を運ぶ付加価値
・物を提供(販売)する付加価値

現代社会は単一な業務ではなく、役割分担された中での複合的な付加価値によって形成されており、決して製造業だけが煩雑で大変だというわけではないのですが、それでもやっぱり一社の中でこの全ての縮図とも言える管理をされているのが製造業だと思うのです。

この供給連鎖を全体最適化して管理していく管理手法として、SCM(サプライチェーンマネジメント)が存在するのは皆さん周知の事かと思います。

このSCMについては、今後も皆さんと生産管理のお話を進めていく上では、折に触れ登場させようと思っていますので、詳しい定義はその時に。

このSCMの定義の中に、「インバウンド・サプライチェーンマネジメント」と「アウトバウンド・サプライチェーンマネジメント」と区別されるように、企業間(各役割分担)を統合的に最適化していく「アウトバウンド」に対して、一社「インバウンド」の中にこの供給連鎖の管理を必要とする業務連鎖が存在する製造業は、やはり管理の上で非常に煩雑な部分が存在しているということになります。逆に言えば、それだけ付加価値=利益の創造の幅が広く存在し、製造業には永遠に業務改善が存在すると言われる所以でもあると思っています。

この供給連鎖社会の縮図を持ち、永遠の業務改善課題を持つ製造業において、SCMの確立はもはや不滅のテーマであり、生産管理をおこなっていく上で必要不可欠な存在だと言えます。

そして、SCMを確立していく上で必ず必要となる目標が「見える化」、「一元管理」です。

SCM(全体最適)確立のために必要な「見えていない物」は山ほど存在し、「つながっていない点」は木々が鬱蒼とする森のように存在していると思うのです。

だからこそ、お客様のご要求定義においても、我々の提案においても、もはや王道とも言える存在がこの「見える化」と「一元管理」という目標になるのです。

なのに、製造業のお客様をお手伝いしているとよくある状況。

製造業においては、この社会の縮図たる供給連鎖が業務分担され、特に製造という業務の中においては、さまざまな工程(付加価値)に分かれて連鎖しています。

SCMを確立していく上では、この付加価値の連鎖をいかに見える化して繋げて(一元管理)いくかが重要であり、管理の中心であるはずです。

生産管理=SCMは、この全体の「見える化」と「一元管理」の存在が必要不可欠です。

この目標を達成するためにおこなう、「見える化」のための手間=「やるべき事」と、その結果である「一元管理」という目標=理想が、実業務の「山」と「森」が山積する現状において、「今できていること」、「今やっていること」、「ものづくり(製造)が忙しい」、「今の業務のままで」と「できない」、「やらない」理由に押されて、構築できない現実。

最終的に聞こえてくる結論にはこんな言葉も。「別で管理しているから」、「部署ごとにまとめているから」、システムに手間をかけて工程(付加価値)を構築して入力しなくても「大丈夫」。

あれ?本末転倒では?

その結論、「山」と「森」を肯定して、目標である「見える化」、「一元管理」を置き去りにしていませんか?

そもそも、目的はなんだったっけ?と、こんな事が振り返ってみるとよくあります。

皆さんの周りにもよくありませんか?ありますよね。

一体全体、王道たる目的はどこへ?

なぜ、目的は企業の改善活動やプロジェクト活動において、置いてきぼりになってしまうのでしょうか?

ここには、そもそも原点である「管理」は「人」がするものであるという本質に対して、目的と活動が両輪のように合致されていない、「人」における意識・認識のギャップに原因が存在するのではないかと考えています。

次回は、この実際の現場における風景を、「目的」をテーマに一緒に眺めてみたいと思います。

懲りずに、お付き合いいただければ幸いです。

次回は8月20日(木)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ

須永 浩昌

制御技術系の製造業に入社し、技術設計・営業・製造(生産管理)に携わる。その後、生産管理システム系のソリューションベンダーに転籍。主に繰り返し型の加工業に特化した生産管理システムの開発・営業・支援に携わる。数多くの企業と共に生産管理システムによる業務改善・稼働実績を持ち、現在でも生産管理パートナーの創造に取り組んでいる。

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