第6回 目的はなんだったっけ【5】

やらされ仕事=「根性論」から、自主性=「感情論(意識・想い)」へ進化させよう。

皆さんと生産管理システムを導入・運用するうえで重要な「目的」について、何度かにわたり一緒に考えてきました。このテーマを題材にしたのは、日頃からお客様の生産管理システムの導入・運用のお手伝いをしている中で一番よくお見かけする状況、すなわち最も感じる「あるあるネタ」に他ならなかったからです。

勝つこと、勝ち続けること、結果にこだわるための「目的」。これをお客様のみならず、お手伝いする我々も含めたプロジェクトで共有し、活動することが必要不可欠だと認識しています。
目的ありきで進める日々の活動にこそ、自ずと結果がついてくるものだと考えています。

生産管理システム(ソフトウェア)はもちろんのこと、「見える化」、「一元管理」という手法も、目的にこだわることにおいての道具でしかあり得ないということです。
そもそもこのコラムは、皆さんとこの道具・手法について考えていきたいテーマです。
だからこそ、そもそも論として何度かにわたり「目的」について一緒に考えてきました。

次回以降もこの目的を共有したうえで、道具の選択や手法の構築について一緒に考えていければと考えております。懲りずにお付き合いいただければ幸いです。

今回は、この目的を共有し活動しているチームにおいてのメンバー個々の意識・想いについて考えたいと思います。

共有する目的は同じ、「勝つこと」「一番になること」。そんなさまざまなチームの中で、勝ちにこだわり、結果を残しているチームに共通しているものがこの個々の意識・想いであると思います。
第5回のコラムで、「キャッチボールをすることが目的になっていませんか?」ということで勝ちにこだわるチームと結果の出せないチームのトレーニングについて触れました。勝つチームのトレーニングに共通しているのが、メンバー個々の勝ちにこだわる・目的に向けて活動する意識・想いです。それが個々の自主性を生み、チームの活動につながり、勝つチームになるのだと考えます。

私個人の感想になるかもしれませんが、さまざまなスポーツチームを見ていて感じることがあります。
強いチーム・常勝と言われているチームのベンチを見てみると、バッグ・シューズ等の道具類が常にきれいに整理整頓され、気持ち良ささえ覚えます。
道具を整理整頓するのは当たり前、そうですよね、皆さんおっしゃると思います。しかし、実際にはどうでしょう。そう、結果を残せないチームほど整理整頓という当たり前のことができていないのです。できていないどころか、耳を傾けてみると常にコーチから「道具を整理整頓しろ!」という声が聞こえてくるシーンがあります。このようなチームは、日常のトレーニングも整理整頓といった当たり前のことも、常に注意される → 言われて行う → やらされている感……とにかく言われたことをちゃんとやりなさい! といった「根性論」になってしまうのです。

どのチームも、最初から常勝はあり得ませんので、勝ちにこだわって活動する過程においては、このやらされ仕事=「根性論」も、できること・やるべきことを理解するうえでは大事なプロセスとして存在していると考えます。このプロセスを経て、できること・やるべきことを理解して活動し、一つ一つ勝つ結果を実感してこそ、より勝ちにこだわる意識・想いを育むものだと考えています。

この勝ちにこだわる意識・想いが、やるべきことを当たり前に行う自主性を生み、勝つことを当たり前として、一番になることを目標にできる、勝ちにこだわるチームと活動を生むのだと思います。「目的」が同じであった時、「置かれている立場・状況」が活動と結果に大きく影響するのだと思います。

我々がお手伝いし、生産管理システムが稼働しているお客様も、決して初めからできていたわけではありません。しかし、「目的」を共有したプロジェクト活動において、一つ一つできること(成功)を実感して、できることを当たり前とする意識・想いからメンバーの自主性を育み、システムを稼働することを目的とせず、稼働後の継続的改善こそを「実稼働」として、次のできることにチャレンジする「勝ち続けるチーム」を確立いただいています。
こんなお客様に訪問させていただくと、「できていなかった過去」などどこ吹く風、当たり前にできていますよ(以前から!)。こんなお言葉も。できることを当たり前とする高い意識・想いを実感させていただけます。我々お手伝いする側も、決してシステムを動かしていただくことが目的ではないので、お客様におけるこんな状況やお言葉を実感するたびに、最大の褒め言葉だと感じています。

目の前の勝ち(動かすこと・稼働すること)をノルマとした活動は、やらされ仕事=「根性論」になりがちです。目的に対して、一つ一つできること・やるべきことを理解して、できることは当たり前にやる自主性、勝ちにこだわる意識・想いの高い、常勝(継続的改善)チーム向けた活動を、ぜひお手伝いしたいと考えています。

皆さん、一緒に常勝チームを目指しましょう。

次回は10月22日(木)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 本部SI統括部 製造SPグループ

須永 浩昌

制御技術系の製造業に入社し、技術設計・営業・製造(生産管理)に携わる。その後、生産管理システム系のソリューションベンダーに転籍。主に繰り返し型の加工業に特化した生産管理システムの開発・営業・支援に携わる。数多くの企業と共に生産管理システムによる業務改善・稼働実績を持ち、現在でも生産管理パートナーの創造に取り組んでいる。

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