第5回 電気代・通信費・紙代など「すぐできるコスト削減」と、業務効率化というコスト削減について

最近、物価の上昇、金利の上昇、そして人件費の上昇と「上がるものは上がる」時代に突入していると実感しています。中小企業白書2025では「コストカット戦略の限界」という表現がされていますが、ここではあえて「コスト削減」についてご紹介させていただきます。

電気代・通信費・紙代など「すぐできるコスト削減」と、業務効率化というコスト削減について

最近、物価の上昇、金利の上昇、そして人件費の上昇と「上がるものは上がる」時代に突入していると実感しています。中小企業白書2025にも、「物価高」を要因とした倒産件数の増加について触れられていました。中小企業白書では、「コスト削減」だけでは企業の持続的な成長は難しく、むしろ「付加価値の向上」や「労働生産性の改善」といった“攻め”の取り組みこそが求められていると強調されています。
とはいえ、「じゃあコスト削減なんてもう古いのか」と言われれば、決してそんなことはありません。削れるところはしっかり削っていくことはとても大切なことであると考えています。

中小企業白書2025では「コストカット戦略の限界」という表現がされていますが、ここではあえて「コスト削減」についてご紹介させていただきます。

倒産件数の推移

  • * 資料:株式会社東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」
  • * 1. ここでの「倒産」とは、企業が債務の支払不能に陥ることや、経済活動を続けることが困難になった状態となること。また、私的倒産(銀行取引停止処分、内整理)も倒産に含まれる。
  • * 2. 負債総額1,000万円以上の倒産が集計対象。
  • * 3. ここでの「『物価高』倒産」とは、(1)仕入コストや資源・原材料価格の上昇、(2)価格上昇分を価格転嫁できなかった、等による倒産を指す。

出典:「中小企業白書2025 第1部第7章 倒産・休廃業・事業承継」(中小企業省・PDF)

コスト削減の目的は「事業の収益性を高めること」

まず大切なのは、「なぜコスト削減をするのか?」という目的をはっきりさせることです。よくある失敗例が、「とにかくコストを下げること」が目的になってしまうケース。これは非常に危険です。無理な人件費の削減や、質を落とすような経費カットが行き過ぎれば、社員のモチベーションは低下し、かえって業務効率が悪くなります。結果的にサービス品質の低下や顧客離れにつながり、売上そのものを下げてしまう恐れもあるのです。

本来、コスト削減の目的は「事業の収益性を高めること」にあります。これは付加価値の向上や労働生産性の向上と同じベクトルです。いわば、表現は違えど目指すゴールは同じなのです。

具体的にどこを削減できるのか?

コスト削減の第一歩は、“無理なく・無駄なく・ムラなく”を意識すること。いわゆる「ムリ・ムダ・ムラ」の排除です。具体的には、次のようなステップで見直していくと効果的とされています。

1. 廃止できるものは廃止する
例えば、使われていないサブスクリプションや、形骸化した報告書類など、なくしても誰も困らないものは思い切ってなくすことが大切です。
2. 使いすぎているものを削減する
電気、紙、印刷、通信費など、「気付けば使いすぎている」ものは意外と多いもの。これらを見直すことで、確実に経費を削減できます。
3. 業務やツールを標準化する
部署ごとにバラバラなやり方やツールを使っていると、管理コストが余計にかかります。標準化によって、無駄な工数やトラブルも減少します。
4. 時間を短縮する
これはまさに「効率化」です。例えば、二重チェックの仕組みや、アナログな転記作業が本当に必要なのか? を見直すだけでも、労働時間を大幅に短縮できます。

「ムリはコストじゃない」と考えられる方もいるとは思いますが、実は業務上の“ちょっとしたムリ”が積み重なり、それが定着してしまうと大きな“ムラ”や“ムダ”につながります。そして、それが結果的にコスト増の原因になるというのは私の実感です。

当社が支援したコスト削減施策

当社がさまざまな企業を支援する中で、効果的だった施策を幾つかご紹介します。

● 電気代の削減
LED照明への切り替えや、電力の「見える化」システムの導入は、意外と早く投資回収が見込める施策です。加えて、電力のピーク管理(デマンドコントロール)なども効果的です。
● 通信費の見直し
携帯・固定電話を同一キャリアに統一したり、使用状況に応じて最適なプランを再選定したりするだけでも、毎月の通信費が大きく変わることがあります。
● 紙・印刷費の削減
紙の単価交渉や、FAXを電子化するなど、地味ながらも毎月の経費に大きな影響を与える項目です。中でもFAXの電子化は業務効率化にもつながります。

これらは「比較的簡単に取り組めて、効果が分かりやすい」ため、定期的な見直しをお勧めします。

業務効率化は中長期的コスト削減の取り組み

一方で、中長期的なコスト削減としてよく語られるのが「業務効率化」です。ITツールを導入することで業務が効率化するのは事実ではありますが、効果を可視化することは簡単な話ではありません。というのも、効率化による効果は帳簿にはすぐに見えづらく、目に見える“成果”として感じづらいからです。そしてなにより、経営層と現場の従業員が一体になって取り組まなければ、形だけで終わってしまいます。

印象的だったのが、私の同僚が言ったひと言です。
「業務効率化されても、業務ペースを調整するよね」

この言葉に、業務効率化の難しさがつまっていると感じました。せっかくITに投資しても、効率化した分、業務処理のスピードが遅くなり、残業が減らなければ費用対効果が可視化されません。

業務効率化によるコスト削減は、また別の機会に深掘りしたいと思います。文化や意識まで変えていく必要があるのです。

担当のつぶやき・総括

2025年版中小企業白書では、「価格転嫁」が重点テーマの一つとして扱われていますが、私は「コスト削減」も同じくらい重要だと感じています。というのも、価格転嫁によって単価を上げたとしても、コストが膨らんでいれば利益は伸びません。

「業務効率化されても、業務ペースを調整するよね」
という同僚の言葉は、実際はも少し異なる表現でした。とある業務効率化ツールを導入する際の休憩時間での会話の中で出てきた言葉で、半分以上、冗談であると信じています。

最近では、テレビ会議システムやRPA(自動化ツール)に始まり、生成AIなど業務効率化する基盤が進化しています。上手に活用していきたいと思います。

この記事の著者

株式会社大塚商会

市場調査チーム

大塚商会 マーケティング担当の市場調査チームです。各業界の動向を調査のみならず、最新のITサービス情報の調査などを担当しています。

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