第4回 差別化戦略を再考する──“当たり前”の再発見が競争力になる

「会社の“強み”は何ですか?」中小企業白書2025年版の調査によると、「建設業」や「運輸業、郵便業」といった一部の業種では、「特に差別化を意識していない」と回答した企業の割合が、他業種に比べて高い傾向があることが明らかになりました。

差別化戦略を再考する──“当たり前”の再発見が競争力になる

「会社の“強み”は何ですか?」
そう聞かれて、即答できる方はそう多くないのではないでしょうか。
中小企業白書2025年版の調査によると、「建設業」や「運輸業、郵便業」といった一部の業種では、「特に差別化を意識していない」と回答した企業の割合が、他業種に比べて高い傾向があることが明らかになりました。

出典「中小企業白書2025 第2部第1章 中小企業の経営力」(中小企業省・PDF)

「特別なことはしていない」という本音と現実

実際、私の周りの方々も、「うちには他社と比べて特別なことはしていない」「強みなんて大げさなものはない」と言われる方は少なくありません。でも、その感覚こそが“リアル”だと思います。

日々の業務は忙しく、目の前の顧客対応、納品、品質管理、現場調整などに追われながら、戦略的に「差別化」や「ブランディング」を考える時間が取れない──それが現実ではないでしょうか。事業に関わる全てを経営者と少人数のスタッフで背負っているのですから、「差別化まで意識する余裕なんてない」という声が上がるのも無理はありません。

白書のデータから推察する、日常業務の価値

しかし、白書のデータをもう少し丁寧に読み解いてみると、少しヒントが見えてくる気がします。
例えば、「製造業」や「建設業」では、「高い品質」を差別化要素として重視している企業が多く見られます。これはまさに日々の現場で積み重ねている“技術力”や“納品精度”が、顧客にとっての価値になっているのではないでしょうか。また、「卸売業」や「小売業」では「顧客との密着性・コミュニケーション」が重視されており、地域密着で長年信頼を築いてきた実績や、きめ細かな接客が評価されていることを示しているのだと思います。

“当たり前”の中にある、差別化のタネ

つまり、“特別なこと”をしなくても、日々の当たり前の中に既に差別化の種は存在しているのです。
「品質に妥協しない」「顧客と頻繁に顔を合わせる」「言われる前に対応する」──これらは一見地味で目立ちませんが、簡単にまねできるものではありません。特に長年続けてきた習慣や姿勢は、企業文化として根付いており、そこにこそ“他社にない価値”があるのです。

一方で、「うちは何も特別なことをしていない」と感じてしまう背景には、“当たり前”のことを価値として捉えきれていないという側面もあります。他社にとってはまねできないことであっても、自分たちにとっては当たり前過ぎて意識できていない──これはどんな業種の企業にも起こり得ることです。

差別化の第一歩は「言葉にすること」

差別化とは、何か斬新で奇抜なアイデアを打ち出すことでのみ生まれるものではありません。むしろ、自社らしさを丁寧に言語化し、それ自信を持って発信できるかどうか。ここに差別化の第一歩があります。

まずは「うちの仕事のどこに、こだわりがあるのか?」「長く続けてきたことは何か?」「お客様に言われてうれしかった言葉は何か?」──そんな視点で、自社を見つめ直してみることをおすすめします。気付いていなかった価値に出会えるかもしれません。

担当のつぶやき・総括

大塚商会の差別化要素としては、「豊富な品ぞろえ」や「幅広いサービスラインアップ」が挙げられるかもしれません。ただ、同様のことを競合他社も訴求しているため、言い方によっては印象に残りにくくなってしまうこともあります。「隣の芝は青く見える」というように、競合他社の強みや独自性がつい魅力的に映るものです。でも、もしかすると競合から見れば、大塚商会の方が魅力的に映っているのかもしれません。
そうした視点の違いを確かめるためにも、機会があれば競合他社の本音を聞いてみたいと思っています。

企業・サービスにおける差別化と、ビジネスパーソンとしての差別化は似ているかもしれません。自社らしさ(自分らしさ)が差別化の要因になったり、日々の現場で積み重ねが価値として認められたりするところなど、共通するものがあると思います。

さまざまな企業様の魅力や強みなどを第三者目線で発信するSNSを作ってみたいなぁ……

この記事の著者

株式会社大塚商会

市場調査チーム

大塚商会 マーケティング担当の市場調査チームです。各業界の動向を調査のみならず、最新のITサービス情報の調査などを担当しています。

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