第66回 職員満足度調査(アンケート調査について)

病院の経営改善支援の中に、「患者満足度の向上」があります。そのような病院に伺うと、患者への満足度を上げる前に、病院で働く職員の満足度を上げるのが先ではないか。と考えさせられるようなケースが散見されます。

職員満足度調査(アンケート調査について)

病院の経営改善支援の中に、「患者満足度の向上」があります。そのような病院に伺うと、患者への満足度を上げる前に、病院で働く職員の満足度を上げるのが先ではないか。と考えさせられるようなケースが散見されます。いえ、よく見ます。医療以外の産業においても、消費者満足を向上させる前に、まず初めに社員の満足度を上げるのが先である(ESなくしてCSなし)とよく言われます。病院でも全く同じです。医師や看護師など患者と接する機会の多い職員が不満を感じながら患者応対していて、患者が満足するような対応ができるでしょうか。病院職員が、働くことにやりがいや喜びを感じて、満足して働いている職員が患者に対応して、初めて患者の満足度が向上するのです。もちろん、職員のことをよく考えていらっしゃる経営者の方も多くいらっしゃいますが、そうでない方も少なくないのが現実です。医療機関で働く人々の離職率が高いことを見ても、それは明らかではないでしょうか。

患者満足度の向上については、本コラムの第15回をご参照ください。

第15回 収入改善編 患者満足度向上

病院の職員が満足して働いているのか、不満を抱えながら働いているのか、即答できますか。今回は、職員の満足度を「アンケート調査」を実施して調査することを中心に解説します。このアンケート調査は、職員満足度だけではなく、患者満足度調査や最近では、地域医療連携室が紹介医や医療連携登録医の先生方やその診療所の職員方を対象に、自分たちがどのように見られているのか、自分たちへの満足度は高いのか低いのかを調査するために活用することも多くなりました。

アンケート調査実施手順

(1)アンケート調査の実施目的

「実施の目的」を明確にしておくことがアンケート調査の原点です。というのも、アンケート調査で最も多い失敗は、質問しなければいけない事柄を質問し忘れるという単純ミスです。アンケートは何度も繰り返し実施できるものではありません。したがって最初に質問項目をきちんと作成しておくことが重要なのです。

では、なぜこのような必要な質問し忘れるといった単純ミスをするのでしょうか? それは、「質問し忘れた!」と気づく段階は、データ集計や分析作業の段階だからです。つまり、アンケートの質問を作成している際は、データ集計やデータ分析のことまで考えがおよんでいないのです。データ集計や分析作業をしているときに、「男女差や年齢による差はあるのだろうか」とか「この質問にYesと回答した下の共通項目は何かないだろうか」とか疑問が次から次へ湧いてきます。そして「アッ!」となるのです。

必要な質問をもれなく実施するための回答はシンプルです。アンケート実施の目的をしっかり把握し、想定解答のシミュレーションを行うことで防げます。

(2)アンケート調査表作成

STEP1:アンケートの目的設定
例示)「職員の満足点と不満足点を明らかにする」などという目標設定(課題を明らかにする)

STEP2:目的に応じた課題を明確にしたら、用語を一義的に定める
例示)関連用語として、「指示」「カンファレンス」「連携」「挨拶」「申し送り」等

STEP3:前STEPで特定した用語をどのように測るのかを定め、それに対応した質問項目を決める
例示)指示の客観的計測事項:回診時申し送り実施の有無、各種オーダー有無等

STEP4:データ集計、データ分析のことを視野に入れて、具体的に質問項目を作成する
例示)3段階評価や5段階評価、優先順位付け、Yes/No、自由記載等

(3)質問文のNG

ダブル・バーレル質問:1つの質問に2つ以上の論点が含まれている質問。
例)今日のセミナーの講師、セミナー演題の選択について適切だと思いますか
⇒講師について答えれば良いのか、演題について答えれば良いのか不明

ステレオタイプ:誘導する意図はなくても、質問文章に使用した言葉のイメージから回答に影響をおよぼしてしまうこと。
例)今日の補習についてお聞きします
⇒「補習」という言葉にマイナスのイメージがあります。補助学習や追加学習など極端なイメージに繋がらない言葉を選びましょう

威光暗示効果:質問文に社会的権威のある人や上司の意見などが示されていると賛成の態度をとる人が多くなる傾向があります。
例)ノーベル賞を受賞した○○先生も言っていますが……
⇒権威ある方の意見に対して、自分の意見、感情は表しにくい

黙認傾向:賛成ですか?と聞かれると「賛成」と答えてしまう傾向が強いことです。
例)賛成ですか? 反対ですか?
⇒どのように思いますか? 5段階でお答えくださいなどどちらかにバイアスが掛からないような言葉使い

また質問数の目安は、多くて30問程度です。時間にして5分以内には回答できる程度のボリュームが妥当です。

職員満足度調査質問例

  1. あなたは、当院の理念やビジョンを知っていますか
  2. あなたは今の仕事量が自分の能力に見合っていると思いますか
  3. あなたは、今の仕事にやりがいを感じていますか
  4. あなたの職場は、皆で協力し合うなど働く雰囲気はどうですか
  5. あなたの部署は、他部署との連携はスムースですか
  6. あなたの上司は信頼できますか
  7. 当院は、職員に必要な情報を知らせてくれますか
  8. 自分の能力、仕事量と報酬は釣り合っていますか
  9. 有給休暇など、お休みは取得しやすいですか
  10. あなたは、今の福利厚生に満足ですか
  11. あなたは現在、過度に精神的に不安を感じていますか
  12. あなたの今の仕事は、地域社会から評価されていると思いますか
  13. あなたは、当院を家族、友人などに勧めますか
  14. ハラスメントと感じたことがありますか
  15. あなたは、これからも当院で働きたいですか
  16. 自由に何でもご記入ください(知って欲しいこと・提案・改善要望など)

基本的な質問は以上ですが、これらの質問に皆さんの病院での気になる質問を織り交ぜるなど工夫してみてください。

皆さんは、どう思いますか?

職員満足度調査、患者満足度調査、紹介先医療機関満足度調査などアンケート調査全般について、ご相談を受け付けています。
ご質問、ご相談は株式会社 FMCAへどうぞ。

株式会社 FMCA

次回は6月14日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
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