第115回 病院の経営者の資質について ~その2~

今回のコラムでは、引き続き病院経営者にとって自分自身で注意すべき点や、周りで関係する人物像などを中心に考察します。

病院の経営者の資質について ~その2~

前回のコラムでは、権力者の注意点を指摘し、経営者の心構えとして、貞観静養(じょうがんせいよう)の十思九徳を紹介しました。今回のコラムでは、引き続き病院経営者にとって注意すべき点を中心に考察します。

病院経営者の周りに不必要な人物像

病院経営者を惑わし、経営自体を危うくさせる可能性がある人物とは、どのような人物なのか考えると、以下のような人物ではないでしょうか。

  • 高給にもかかわらず、給与に見合う仕事をしていない。またはその能力がない。さらにそのことを自覚しており、自分と同様の仲間を作り、その中に隠れるようとする。
  • 院長の言うことに全て「イエス」と答えるイエスマン。院長の好きな思考などを調べ、院長への迎合に注力する。
  • 口が上手。一見温和。善者や賢者をねたみ嫌い失脚の機会を常にうかがう。
  • 病院内で常にもめ事を引き起こすトラブルメーカー。
  • ある程度の権力を得ると、自分の都合の良いようにルールを変更する。時に院長の指示も自分の都合の良いように曲解する。自分の派閥などを作りたがる。
  • 院長には良い一面しか見せず、裏では情報漏えいなど病院経営にとって極めて悪徳な行為をしている。病院への愛着など全くない。

全ての条件に合致しなくても、部分的にうなずける部分がある人が目に浮かびませんでしたか。残念ながら、このような人は放っておいてもなくならず、むしろこのような勢力は徐々に大きくなってきます。善良な職員は自ら去っていくか、失脚させられることになります。

最近は病院へ他業界から転職してくる人も多くなりました。新卒で病院へ就職し病院以外は知らないという職員と他業界からの転職者がお互いの良い点を出し合いながら医業を行えば良いのですが、銀行からの出向者とのあつれきなどは、よく聞く話ですし、製薬メーカーからの人材流入も多くなっており、上場企業での常識と病院の常識のあまりの違いによるトラブルも多く耳にします。他業界からの人たち全てではもちろんありませんが、もともと病院にいた職員の人たちとの大きな違いは、病院への愛、思いがもともと病院にいた職員のほうがより強い気がします。

経営者としての注意

虚栄心は捨てる

人間は必ず虚栄心があります。特に医師は強いように思います。虚栄心には限度がなく、無限にあるものでもあるので厄介です。しかし、経営者にとっては、はっきりした姿勢で自らの限度を保たなければならないと考えます。

筆者が新卒で入社した医療関連企業の社長は、決してグリーン車に乗らず、移動も極力タクシーは使わず公共交通機関を使っていました。問題が生じたり、経営的な判断に迷ったりするときは、必ず現場にひょっこり現れ意見を聞きに来ます。この社長も医師でしたが、虚栄心のかけらも感じたことがありませんでした。亡くなられた今でも、多くの方から尊敬され続けています。

情実人事について

人事は経営者の権力の一つです。この権力は、公平かつ公正に責任者の判断と決断のもとに行われます。情実人事は、この公平、公正の部分を放棄することになります。

その他

迷信に惑わされてはいけません。これは縁起を担ぐ程度のことではなく、経営的な判断も占いなどに頼ってしまうことを指します。また宗教に過度に入れ込むことも経営者にとって気を付けなければならない点の一つです。過度に入れ込むと宗教家のように振る舞うことも増え経営者ではなくなってしまいます。さらに経営者の配偶者などがいろいろ口出ししてきてはいけません。クリニックなどは別ですが、病院という組織の中で、例えば、院長の奥さんがこう言ってきたから、こうなったなどは言語道断です。

まとめ

経営者の資質のことを2回にわたって考察しましたが非常に難しいテーマでした。自分なりにまとめると、病院の経営者は、自分を律しなければならないケースが多く、日ごろから常に意識しておかないとならないことが多いです。民間病院の二代目、三代目になることが分かっているなら、自分が経営者になる番がくる前から準備を始めることが必要です。そして、経営者、リーダーとしてのリーダーシップの発揮は、後から訓練によってできるようにもなるので、何事にも率先して取り組む姿勢を常に持ち続けることが必要です。率先して物事に取り組んでいると多くの人に見られることにもなりますので、自分を人目にさらすことで、わが身の姿勢を正すことにもなります。経営者の必須の資質に自分自身のコントロールがあります。感情もしかりです。自分自身のコントロール法は人それぞれですが、スポーツを通じて得られることがあります。

そして最後に、「態度は謙虚に発言は慎重に」ということを肝に銘じることです。権力者の一挙一動は、自分では分からないほど周囲の人に臆測を与えます。それがたとえ意図的でも意図的でなくてもです。

皆さんは、どう思いますか?

次回は8月11日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
株式会社FMCA

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