第169回 医療DXと医療AI その10~検査~

医療機関で行われる検査は、血液検査や生理検査、エックス線写真などの画像検査が代表的です。これらの検査結果は、数値や画像、波形といった形で示されます。DXやAIは、こうした数値や画像などを用いた処理が得意分野です。今回はDX・AIと検査との関係について考察します。

医療DXと医療AI その10~検査~

具合が悪くて医療機関に行くと、ほとんどの場合、何らかの検査が行われます。血液検査や生理検査、エックス線写真などの画像撮影による検査が代表的です。これらの検査結果は、数値や画像、波形といった形で示されます。DXやAIは、こうした数値や画像などを用いた処理が得意分野です。今回はDX・AIと検査との関係について考察します。

検査データを得るまでのプロセスと課題

まずは、検査データを得るまでのプロセスを振り返ると、検査の予約という工程があります。しかし、予約時間になっても呼ばれないことは少なくありません。その原因は、予約が単に空き時間枠を埋めるだけの仕組みであり、患者自身の事情が考慮されていないためです。さらに診療科や外来医師によっては、曜日ごとに多く依頼される検査などもあります。

このような患者の検査待ち時間が発生してしまう諸条件を考慮したAIを活用した予約システムであれば、患者の待ち時間の短縮や、待ち時間の予想なども可能です。ちょっとしたことですが、患者のストレスを少しでも軽減して満足度を上げることができます。

次に問診の場面ですが、従来は問診票という「紙」にコピーされた用紙を用いて行っています。これはどのような疾患に対してもほぼ同じ書式の内容です。これでは、最低限の情報しか得られません。そのため、診察室で医師があらためて対面で問診を行うことになります。結果として医師の負担が増し、診察時間も長くなり非常に効率が悪いです。

そこで、タブレット端末を使用して問診を行い、患者が入力した情報に応じてAIがより適切な次の質問を選択し、諸症状や病歴、服薬中の医薬品の情報などを収集します。その結果医師が知りたい情報がスムーズに医師に提供されます。また患者の主観によらない客観的な情報が得られることも大きなメリットです。

AI活用で検査の精度と効率性が向上

皆さんは、血液検査などは「検査機器で測定して報告するだけ」と思われていませんか。確かに検査機器で測定して報告するのですが、検査機器で得られた検査結果はすぐに報告されるわけではありません。検査のスペシャリストである検査技師によりデータチェックを経て医師に報告されるのです。

しかし、このデータチェックが非常に大変な作業です。この部分にAIを活用すると、最初に検査技師によるデータチェックが必要な検査結果とそうでない検査結果とに分類してくれます。この工程が入るだけでも検査技師の負担は軽くなります。さらに画像結果などは、人による要チェック箇所をマーキングしてくれるものもあります。これによりAIと人によるダブルチェックが可能となり、見落としなどが少なくなり精度が上がることになります。

画像検査で活躍が期待されるDX

画像検査の代表的なものが内視鏡検査です。胃の内視鏡検査は多くの方が経験していると思います。この内視鏡検査ですが、ファイバースコープが口から胃に入る時の不快感は相当なものです。そこで鼻から入れるものや、患者を眠らせてその間に内視鏡検査を行う方法もあります。しかし、いずれの方法も食道、胃、十二指腸あたりまでが検査範囲です。その先の大腸、小腸、直腸、結腸などは検査対象外です。特に大腸がんは多くの方が罹患(りかん)しますので、大腸の検査は重要です。

しかし検査をするとなると、肛門からファイバースコープを挿入して実施することになります。この検査も非常に抵抗を感じる検査の一つです。特に女性は「したくない検査」です。その結果、早期発見が遅れて男性よりも女性の方が大腸がんの罹患率は高くなっています。

このような不具合を解消してくれるのが、「カプセル内視鏡」です。大きさが1~3cm程度の大きさのカプセルを“薬を飲む”ような感覚で胃腸の状況を調べられます。カプセルは口から肛門までの間を順次撮影しながら最終的には体外に排出されます。カプセルが体内にある時でも特に何か制限されることなく、普段どおりの生活が可能です。

このカプセル内視鏡は小型カメラと通信機能がついており、胃腸を通過する過程で撮影と送信とを繰り返します。現在はバッテリーの関係で、全ての消化管を一つのカプセルで検査することはできませんが、近い将来それも可能となります。さらに、カプセル内視鏡が近くのドラッグストアで購入でき、自分のスマートフォンと連動させてAIが画像を解析する仕組みもそう遠くないうちに現実になると思われます。このように予防医学の分野でもAIやDXは活躍します。

遺伝子検査ではAIが100万人分のゲノムを解析中

最新の検査といえば、「遺伝子検査」があります。新型コロナウイルスがまん延した際に盛んにコロナウイルスのPCR検査を実施したことを覚えている方も多いと思いますが、このPCR検査も遺伝子検査の一つです。コロナウイルスのPCR検査はコロナウイルスの遺伝子を見つける検査(見つかれば陽性)でしたが、病気の中には特定の遺伝子を持っていたら、将来この病気になる可能性が高いという遺伝子があります。現在は発症していなくても将来発症する可能性が高いというものです。

特にがん、心疾患、脳血管疾患などの分野では、あらかじめ特定の疾患に関連する遺伝子を持っていることが分かれば、日ごろから注意すべき点が分かり、早期発見、早期治療も可能です。このような特定の疾患と遺伝子の関係は全て分かっているわけではありません。現在はAIによる100万人分のゲノム解析を行っている最中です。このような大量のデータの解析は人間では限界がありますが、AIはむしろ得意分野です。

皆さんはどう思いますか?

次回は2月12日(木)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
株式会社FMCA

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