第171回 医療DXと医療AI その12~2026年度診療報酬改定~
2026年度診療報酬改定の内容が明らかになりました。基本方針の重点課題の中に「業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進」という文言が盛り込まれ、医療の現場にICT、AIなどを活用する方向に促す内容が出てきました。今回のコラムでは、その内容に焦点を当てていきたいと思います。
医療DXと医療AI その12~2026年度診療報酬改定~
2026年度診療報酬改定の内容が明らかになりました。基本方針の重点課題の中に「業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進」という文言が盛り込まれています。この基本方針に基づいて、2026年度診療報酬改定では、医療の現場にICT、AIなどを活用する方向に促すような診療報酬の内容が出てきました。
今回のコラムでは、その内容に焦点を当てていきたいと思います。
ICT活用で看護師の人員基準1割削減が可能
最初に「看護業務において、ICT機器等を活用することで業務の更なる効率化や負担軽減を推進する観点から、見守り、記録及び医療従事者間の情報共有に関し、業務効率化に有用なICT機器等を組織的に活用した場合に、入院基本料等に規定する看護要員の配置基準を柔軟化する」という基本的な考えをもとに、「ICT機器等の活用により看護要員の業務を軽減したうえで、適切に患者の看護を行うことができる体制がある場合は、看護職員に対する看護師の比率等について、1割以内の減少である場合は、入院基本料等の基準を満たすものとして、所定点数を算定できるよう見直す」とされました。
これは新しい点数が設定されたというものではありませんが、病院の病棟に勤務する看護師の業務負担を軽減する目的でICTなどを活用し、実際に負担軽減などが実現したら、病棟に決められた看護師の人数(人員基準)の1割減の人数でも従来の点数を算定可能であるということです。具体的な内容は、以下のとおりです。
- 全病棟が対象
- 見守りにおけるICT機器等:病室に設置されたカメラ等から送信された映像や病床に設置されたセンサー等により、看護職員が遠隔で複数の患者の行動・体動・日常生活の状況等を総合的かつ効率的に把握でき、訪室回数の減少等による業務の効率化を図りつつ、患者の転倒転落の予防、異常の早期発見、身体的拘束の最小化、医療安全その他患者の生命・身体の保護を図るものをいう。
- 看護記録の作成等のICT機器等:音声入力による看護記録の作成や電子カルテ情報からの自動的なサマリーの生成等、看護記録の作成等の効率化に大きく資する機器であって、当該機器の使用により、業務時間外の記録の作成にかかる時間が減少する等の効果があるものをいう(ただし、データの入力から記録・保存・活用までを一体的に支援するものに限る)。
- 医療従事者間の情報共有のICT機器等:業務中に手に持たずに複数人と同時に通話できる機器や、病棟の看護職員と病院の医師が携帯しリアルタイムに情報を共有できる端末等、直接対面せずに、多人数の職員間での情報共有を効率的に実施できる機器
以上の導入活用の結果、残業時間が常勤病棟要員の平均残業時間が10時間以内であることと、年に1回、定性定量評価を実施し、院内公表することが条件です。キーワードは、「見守り」「記録」「情報共有」です。
人員不足により業務負担軽減、効率化は必然に
音声入力 医療機関での活用事例(一部)

出典:「第120回社会保障審議会医療部会 医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する論点」(厚生労働省・PDF)
次は医師事務作業補助体制加算の見直しです。ここでもICT機器などを活用した医師事務作業の業務効率化・負担軽減に取り組む医療機関について、医師事務作業補助者の人員配置基準を柔軟化することで、医師事務作業補助者1人を1.2人として配置人数を計算してよいとなります。ここでも人員基準の緩和です。具体的な条件は以下のとおりです。
- 生成AIを活用し、退院時要約、診断書及び紹介状等の原案作成を自動的に行い、当該業務を大幅に効率化する医療文書等の文書作成補助システム
- 診療録、退院時要約、診断書及び紹介状の作成に対応する医療文書等への入力を行う医療文書用の音声入力システム(汎用〈はんよう〉音声入力機能を除く)
- 救急医療情報システム等への医療データ等の定型的な入力作業等を自動化するロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)
- 入退院時の説明、検査・処置、麻酔・鎮静、手術、インフォームド・コンセント及び医療安全・感染対策等に関する10種類以上の患者向け説明動画
医療機関は人員不足が深刻化しています。医療の現場でDX、AIなどの導入による業務負担軽減、効率化は必然となってきています。
参考:「中央社会保険医療協議会 総会(第645回)議事次第 総-2個別改定項目(その2)」(厚生労働省・PDF)
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次回は4月8日(水)更新予定です。
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