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第43回 デジタルノマドとワーケーションという働き方(後編)
前回は「デジタルノマド」と「ワーケーション」という二つのリモートワークの共通点と違いについて解説しました。今回はリモートワークを成功させるための二つのスキル「タスクマネジメント」と「セルフマネジメント」を説明します。
デジタルノマドとワーケーションという働き方(後編)
前回は、デジタルノマドとワーケーションの共通点と違いについて解説しました。どちらもテクノロジーを活用し、柔軟に働けるリモートワークの形態です。今回はリモートワークを成功させるために必要な二つのスキルについて説明します。リモートワークの利点を最大限に生かし、成果を上げるためには、タスクマネジメントとセルフマネジメントが重要です。
1. タスクマネジメント
タスクマネジメントとは、プロジェクトや日常業務におけるタスク(仕事や作業)を効果的に整理、計画、実行するためのスキルや方法を指します。これにより、時間を効率的に使い、目標を達成しやすくなります。タスクマネジメントを三つの要素に分けて説明します。
1. タスクのリスト化
リモートワークでは、やるべきことのリスト化が必須です。タスクを可視化することで、何をすべきかが明確になり、抜け漏れを防ぐことができます。また「選択と集中」という視点で、やるべきことのリスト化と同じくらい大切なことは「やらないこと」「やめること」を決めることです。紙のリストやデジタルツールを活用して、毎日のタスクを整理して管理しましょう。
2. 優先順位の設定
全てのタスクが同じ重要度ではありません。重要度や緊急度に基づいてタスクを分類し優先順位を設定することで、優先順位の高いタスクから効率的に処理できます。
3. スケジュール管理
タスクを効率的にこなすためには、スケジュール管理が欠かせません。カレンダーやタスク管理ツールを利用して、各タスクの期限や進行状況を把握することが推奨されます。スケジュール管理では完了期限、中間期限だけではなく「着手期限」を設けることも有効です。早く完了させるための最大のコツは、早く着手することだからです。
2. セルフマネジメント
セルフマネジメントとは、自分自身の行動やコンディション、感情などを効果的に管理し、目標達成や自己成長を促すためのスキルや方法です。健康的で生産性の高いリモートワークを行うには、高いレベルで自分自身を管理することが求められます。セルフマネジメントの要素を四つに分解して説明しましょう。
1. 自己規律
リモートワークは自由度が高いため、自己規律が必要となります。決められた時間に仕事を開始し、定期的に休憩を取るなどルーティンを決め、実行する習慣を身につけることが重要です。自己規律は「克己心」のような強い意志によるものではなく、ルール決めと習慣化で実現できるものと捉えてください。
2. 健康管理
健康(心と体の健康)は生産性の基盤となります。バランスの取れた食事、定期的な運動、十分な睡眠を確保することが大切です。
3. ストレス管理
リモートワークは孤独やストレスを感じやすい環境です。適度な休息やリフレッシュの時間を設け、趣味やリラックスする時間を確保することが重要です。また、同僚や友人とのコミュニケーションを取り、孤立を防ぐことも効果的です。
4. 感情のコントロール
感情を適切にコントロールすることはとても大切です。自己を振りかえる時間を持ち、感情を言語化することで冷静に対処できるようになります。ストレスを感じた時は深呼吸やマインドフルネスを行うなど、リラックスする方法を身につけることが役立ちます。
まとめ
リモートワークを成功させるためには、タスクマネジメントとセルフマネジメントの二つが鍵となります。
さて、何かお気づきになりましたか? ここまで書いたことはリモートワークに限った話ではありません。ワーク(仕事)、ライフ(生活、人生)のほぼ全てに共通して言えることです。リモートワークでは場所や時間の制約が少なくなるからこそ、その重要性が一層際立ちます。
タスクマネジメントとセルフマネジメントのスキルを高めることで、デジタルノマドやワーケーションなどのリモートワークだけでなく、オフィスワークや日常生活の生産性や質も高めることができるでしょう。