第9回 業務改善(その5)標準業務仕様書を作ろう

業務改善(その5)として、今回は「標準業務仕様書の作成」について説明します。
標準業務仕様書とは改善を進めて標準化された業務の内容を文書化したものです。仕様書は作成されたものを活用する時だけでなく、作成するプロセスにも効果、メリットがあります。

■ 標準化とは?
「標準化」という言葉を聞かれたことはあるでしょうが、このコラムでの定義として簡単に説明しましょう。
業務の標準化とは「誰が行っても、同じ方法、同じ時間で、同じ成果を出せるように業務を定型化する」ことです。
一つの業務を複数の人が行っている場合、個人ごとに少しずつやり方が違っていることは少なくありません。部署や拠点を異動してみたら仕事の処理方法や書式が大きく違い驚いた経験が私にはあります。それぞれが工夫などをして違っていった結果かもしれませんが、デメリットもあるはずです。例えば、私が以前企業の本社営業本部に異動となったとき、全国13の営業所から毎月報告書が届いてそれを集計する際、送られてくる書式が少しずつ異なり苦労したことがありました。その後、標準化を行って統一したことは言うまでもありません。

■ 標準業務仕様書の項目、形式
標準業務仕様書というと何だか仰々しい感じがしますが、実際は難しいものではありません。改善を進めてその業務の統一した処理方法を文書化したものです。
項目としては「業務の目的」「発生・処理のタイミング」「締め切り」「成果物」「統一の処理方法」「目安となる所要時間」などです。これらを簡潔に記します。

【図1】標準業務仕様書フォーマット(例)

■ 標準業務仕様書を作成するメリット
仕様書作成には幾つかのメリットがあります。主要なものを三つ記します。

[1]作成のプロセスで業務を言葉として捉えられる
まず、仕様書を作成するプロセスで、その業務を客観的に捉え整理することができます。
普段から行っていて、感覚や体で理解している業務を言葉に落とし込んで整理することで客観的に捉えることができます。

[2]その後の業務改善のベースになる
改善は一度行ったら終わりではありません。
海外でも「KAIZEN」という言葉で通じる改善活動を生み出したトヨタ自動車では「標準化なしには改善なし」と言われ続けています。継続的して改善を進めていくために、標準業務仕様書は、そのベース、基準となるのです。

[3]新人への説明、引継ぎが効率的、効果的に行われる
新人に仕事を教えたり、仕事を同僚に引き継いだりするときに簡単なメモと口頭だけで教えていることはありませんか?そのような教え方では、教える方、教わる方それぞれに負担がかかったり、正確に仕事の内容が伝わらずに最初はミスが頻発したりします。
標準業務仕様書は仕事を教えたり、引継ぎをしたりするときに役立ちます。処理方法だけでなく、その業務の目的、ポイント、留意事項などを体系的に伝えることができるからです。

■ 作りっ放しにしない。作成して終わりではなく、メンテナンスが必要
「改善は一度行ったら終わりではない」と前述しました。仕様書も一度作成したら終わりではありません。メンテナンスし、進化させていくものです。先に書きましたが私がある会社の本社営業本部で各営業所共通の業務の仕様書を作成した後の話です。標準業務仕様書を作成した後、何ヶ所か営業所をまわったとき驚いたことがあるのです。2ヶ月程度で各営業所が業務の処理方法を少しずつ変えていて標準化が崩れているのです。各営業所もしくは個人で工夫(改善)を加えた結果なのでしょうが、それでは標準化した意味がありません。工夫、改善で処理方法が良くなるなら、それを個別にやるのはNGとして、標準業務仕様書に反映させること仕組みを作りました。
改善に終わりなしです。そして、仕様書は定期的にメンテナンスをして進化させていきましょう。

■ まとめ
標準業務仕様書を作成する意義、メリットを感じて頂けたでしょうか?
難しく考えず、まずは一つの業務について作成してみてください。
最初の業務を選ぶポイントは三つです。
[1]比較的簡単な業務
[2](簡単だけれど)「発生量・処理回数」が多いもの→標準化の効果が高いもの
[3]人によって処理方法が少しずつ異なるもの

一度作成して、標準業務仕様書を作成する効果を体感してみてください。

次回は2月9日(月)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社リバティーフーズ 人事部長
ワークデザイン研究所 代表

太期(だいご) 健三郎

食品メーカー人事部長/ビジネス書作家/経営コンサルタント。
専門領域は、人事評価制度・賃金制度の構築、人材育成、間接部門のコストダウン。
三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)、株式会社ミスミ、株式会社グロービスを経て、現職。ミスミ時代には三枝匡社長(当時)の直轄タスクフォースにて営業改革、短期営業戦略を推進する。
経営コンサルタントを“企業のお医者さん”と考え、「患者(クライアント企業)の声をよく聴き、現状をしっかり診察し、治療する」をモットーとする。
神奈川県横浜市出身。著書『ビジネス思考が身につく本』(明日香出版社)。
ワークデザイン研究所

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