第11回 教える人が一番成長する

新年度4月を迎えました。自部署に新入社員が配属された方もいらっしゃると思います。

今回のコラムでは新人に「教える」ことで、教える人(指導者)が育つ、ということを語っていきます。あなたの周囲に新人の指導者となった人がいたら、今回のコラムの内容と一緒に「人に教えるという機会は、自己成長の絶好の機会だ」と伝えて下さい。指導するモチベーションが高まると思います。

仕事に限らず、人に何かを教えるということは簡単なことではありません。自分が「できる」ことと、人に「教えられる」ことは違うからです。スポーツの世界で名選手が必ずしも名コーチにはなれないことと同じです。教えるには教えるための知識やスキルがあるのです。

仕事を教えるには事前に準備が必要です。何の準備もせずに仕事をやって見せながら説明するだけでは不十分でしょう。簡単なものでも良いので説明資料を準備することが望ましいです。資料を作って事前に渡しておくと、説明時間を短縮できますし、教わる側は説明内容や疑問点を資料にメモしながら聞くことができるからです。教わった後、その資料を見ながら仕事を自分でやると、ミスも減ります。逆に資料が無いと、新人が教えた内容と同じ質問をしたり、ミスを繰り返したりします。

資料の作成に限らず教える準備をすると、普段何となく当たり前にやっている自分の仕事の意味や目的を改めて考えることになります。仕事の手順や、必要な資料、注意すべきポイントなどを整理する機会になり、体系的に捉えることにもつながります。

人を教えるには様々な知識、スキルが必要です。

具体的には前述の説明資料作成を含めた「説明する・伝える力」があります。複雑な仕事も分かりやすく説明しなければなりません。
理解が遅く何度も同じ説明をしなければいけない人に対しては「忍耐力」も必要になるでしょう。
教わる意欲が低い、教わった内容をメモせず同じ質問をする人には注意したり、叱ったりしなければならないこともあるでしょう。教わった通りにできた時にはタイミング良くほめてモチベーションを高めることも必要です。「叱る&ほめる」はセットで使うスキルです。

山本五十六(太平洋戦争の連合艦隊司令長官)の「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」という言葉は、いつの時代でも人材育成の本質を突いた言葉です。

学校を卒業して初めて社会人になった新入社員には、業務知識や仕事の仕方だけでなく、「仕事、社会人の心構え」も教える必要もあるでしょう。「以前に比べていつまでも学生気分が抜けない新人が多い」という声がよく聞かれます。
新入社員に社会人の心構えを教えれば、指導者は自らが手本となるべく率先垂範しようという意識を持ち、仕事への取り組み姿勢など高まるかもしれません。

新人の指導者を考えるときに「仕事ができる人」「教え方が上手な人」などの基準で選ぶことが多いでしょう。
しかし、冒頭に述べた言葉を繰り返せば「人に教える機会は、自己成長の絶好の機会」です。そのような意味で、一人前の一歩手前の若手や、伸び悩んでいて一皮むけて欲しい社員などを選ぶのも一つの方法です。教えるプロセスで「教わる人」「教える人」が一緒に成長してくれると良いですね。

次回は6月15日(月)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社リバティーフーズ 人事部長
ワークデザイン研究所 代表

太期(だいご) 健三郎

食品メーカー人事部長/ビジネス書作家/経営コンサルタント。
専門領域は、人事評価制度・賃金制度の構築、人材育成、間接部門のコストダウン。
三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)、株式会社ミスミ、株式会社グロービスを経て、現職。ミスミ時代には三枝匡社長(当時)の直轄タスクフォースにて営業改革、短期営業戦略を推進する。
経営コンサルタントを“企業のお医者さん”と考え、「患者(クライアント企業)の声をよく聴き、現状をしっかり診察し、治療する」をモットーとする。
神奈川県横浜市出身。著書『ビジネス思考が身につく本』(明日香出版社)。
ワークデザイン研究所

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