第19回 今こそ、一人ひとりが働き方改革を!

現在、多くの企業が「働き方改革」実現のためにさまざまな施策を進めています。そして、個としてのビジネスマンは自らの働き方改革に取り組む時なのではないか、と考える今日この頃なのです。

今こそ、一人ひとりが働き方改革を!

初めて「働き方改革」という言葉を目にしたときに、私は、ビジネスマンが自らの「働き方を見直す改革」と誤解しました。改革の主語はビジネスマン、つまり「個人としての働き方改革」だと思ったのです。若干の違和感を持ちながらも、政府が個人の働き方の見直しを推奨する時代なのだなあ、と思った記憶があります。その後、働き方改革の全貌を知り、それが長時間労働の解消、ワークライフバランス実現などを目的に企業が行う「働かせ方改革」(=人事管理など諸制度の見直し)だったのだと理解しました。改革の主語は企業でした。

今、多くの企業では働き方改革実現のためにさまざまな取り組みが行われています。それは大いに意義のあることであり、各企業で成果を出しいていくことを期待しています。
それと同時にもう一つ重要なことがあると最近考えます。それは私が最初に勘違いした、ビジネスマン一人ひとりの「個人としての働き方改革」です。
これは所属する企業の「働き方改革」のためというよりも自分自身のためです。個人の「働き方改革」は、仕事を含めた自分の生活の質を高めたり、自分の職業人生やキャリアを充実させたりすることにつながるからです。

では、個人として何に取り組むべきかなのか? 私は「スキルの向上」と「意識の変革」の二つだと考えます。言葉にすると身も蓋もないくらい当たり前のことです。しかし、その重要性を理解し、実際に行動を起こしている人はあまり多くはないかもしれません。
スキルを向上させると、仕事の効率、生産性が高まります。仕事の幅を広げたり、社内・社外労働市場での自分の価値を高めたりすることにもつながります。具体的なスキルの例を挙げてみます。計画、段取りから実行まで仕事を効率的に進める「ワークマネジメント」、ビジネスマンの最大の資産である時間を有効に使う「タイムマネジメント」、メール術から報告・連絡・相談、交渉術まで仕事の成果を大きく左右する「コミュニケーションスキル」、自分の体調・感情などコンディションを管理する「セルフマネジメント」のスキルなどです。
意識変革も大切です。外部環境の変化が激しい現在、我々は行動の変容が求められます。意識を変えれば、行動が変わります。従来の延長線上の行動ではない行動を選択することができるはずです。
具体的には、「時間重視から成果、生産性重視」「自分重視から顧客重視へ」「仕事優先からワークライフバランス(仕事と生活の両立)重視」「リアクティブからプロアクティブへ」などさまざまな意識のシフトがあるでしょう。

個人の働き方改革が行われれば、その結果として、企業の働き方改革実現にもつながるでしょう。しかし、今回は、今こそ自らのために「働き方改革」に取り組むべきではありませんか? と提案のような気持ちを込めて書きました。

次回は10月5日(木)更新予定です。

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この記事の著者

ワークデザイン研究所/石山社会保険労務管理事務所

太期 健三郎

ワークデザイン研究所 代表
石山社会保険労務管理事務所 パートナー・コンサルタント

経営コンサルタント。
管理間接部門の業務改善、HRM(人材マネジメント)の二本の専門領域を持つことを強みとする。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)、株式会社ミスミ、株式会社グロービスに勤務後、2008年にワークデザイン研究所を設立。
MURCでは人事コンサルティング、ミスミではコールセンターの業務改善を行った後、三枝匡社長(当時)の直轄タスクフォースで営業改革を推進する。グロービスではコンプライアンスおよびリスクマネジメントを統括、推進。
また、2013年~2015年にはクライアント企業の食品メーカーの内部改革者として人事部長・経営改革室長を兼務する。
「患者様の声をよく聴き、丁寧に診断・治療する“中小企業のかかりつけ医”」を信条としている。
ワークデザイン研究所
石山社会保険労務管理事務所

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