第28回 存在感がない総務

突然ですが、あなたの会社の総務部は存在感がありますか? 「ある」と思われた方は、どんなときにそれを感じるでしょうか? 今回は「総務の存在感」について考えていきましょう。

存在感がない総務

あなたの会社の総務部は存在感がありますか。もし、「ある」と思われるとしたら、どんなときにそれを感じるでしょうか?
今回は「総務の存在感」について考えていきましょう。

存在感とは?

今回のタイトルの「存在感がない総務」という言葉を見て、どのように感じましたか? 我々が「存在感がない」という言葉を使うとき、そこにはネガティブなニュアンスがあることが多いのではないでしょうか。存在感がない人、存在感がない役者、存在感がないサッカーチーム、等々。
では、総務の存在感とは何か。そもそも総務に存在感は必要なのか。最近、そのようなことを時々考えます。

「存在感」ということを、総務から離れて役所や鉄道会社を例にして考えてみましょう。
暮らしやすい街では、普段は市役所や役場について考えたり、気にしたりすることはありません。
時間どおり運行している電車に快適に乗っているときには鉄道会社の存在感を感じることはないでしょう。
反面、暮らしやすさが阻害されたり、事故や運行遅延があったりすると、途端に役所や鉄道会社の存在感は増します。
お役所や鉄道は生活のインフラ(注)です。

  • (注) インフラストラクチャー(infrastructure)の略で、もともとは「下部構造」という意味。これが転じて「産業や生活の基盤として整備されるもの」。

そして、総務は企業のインフラ機能を担っています。成果が目に見えやすい営業部門や研究開発部門は(良くも悪くも)存在感がありますが、総務は普段は存在感がありません。そのように考えると、総務には特別な存在感は必要ないのだと思います。生活でも企業活動でもインフラは問題なく機能しているときには存在感はないのですから。

優雅に浮かぶ白鳥はその水面下では必死に足を動かしている

“存在感がない”総務の仕事はとても多岐にわたり、一つひとつは目立たないものです。きちんと行われて当たり前、という印象があるでしょう。しかし、多様な仕事を「間違いなく」、「期限内に」、「コストを抑えて」進めるのは、とても難しいことです。
決められたルーチン業務を受け身の姿勢で粛々と行っているだけでは実現できません。
そこには、さまざまな情報収集、創意工夫、試行錯誤による取り組み、業務改善、コスト削減などの奮闘があるはずです。「優雅に浮かぶ白鳥はその水面下では必死に足を動かしている」という表現がありますが、まさにそのようなものでしょう。

特別なことをやろうと気負う必要はない

このように考えてみると、「戦略的総務」「攻めの総務」等の言葉を見聞きしますが、総務は新奇な特別な取り組みをしようと気負う必要はないと思うのです。存在感を示そう、感じてもらおうという必要もありません。
自社の経営戦略を理解し、現場に行って社員の業務の本質を把握し、総務としてやるべきことを行えば良いのでしょう。それこそが「会社のインフラ」、「縁の下の力持ち」としての総務の役割なのです。

おわりに ~私が「総務の存在感」を覚えた瞬間~

コラムのおわりに、私が過去に「総務の存在感」を感じた幾つかの場面の中から二つを紹介します。

一つは、勤務していた会社で、事業所の引っ越し(移転)があったときのことです。総務が、段取り良く計画、スケジュールを立て、外部業者を上手にコーディネートしてくれたので、社員の負担はとても小さかったです。私は金曜日の午後に引っ越し準備を終えて退社し、業者によって土日に引っ越し作業が行われました。そして、月曜日に出社したら、机の上にパソコンがセッティングされ、資料はキャビネットにきちんと収納されていて、午前中からほぼ通常どおりに仕事を始めることができました。そのときは、総務部の仕事に少し感動しました。
もう一つは、転職して別の会社で働いてしばらく経ったときのことです。「在籍していたときには気づかなかったけれど、あの会社の総務は当たり前のことをきちんと行っていたすごい総務だったんだなあ」と思い、感謝の気持ちを持ちました。

ここまで書いて、総務の存在感について最近考えることが多い理由が分かったような気がしました。
普段あまり目立つことがなく、感謝されることも少ない総務にエールを送りたかったのでしょう。

頑張れ総務!
普段、存在感がないとしても、誰かが見ていて、感謝してくれているはずです。

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この記事の著者

太期 健三郎

ワークデザイン研究所 代表
石山社会保険労務管理事務所 パートナー・コンサルタント

経営コンサルタント。
管理間接部門の業務改善、HRM(人材マネジメント)の二本の専門領域を持つことを強みとする。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)、株式会社ミスミ、株式会社グロービスに勤務後、2008年にワークデザイン研究所を設立。
MURCでは人事コンサルティング、ミスミではコールセンターの業務改善を行った後、三枝匡社長(当時)の直轄タスクフォースで営業改革を推進する。グロービスではコンプライアンスおよびリスクマネジメントを統括、推進。
また、2013年~2015年にはクライアント企業の食品メーカーの内部改革者として人事部長・経営改革室長を兼務する。
「患者様の声をよく聴き、丁寧に診断・治療する“中小企業のかかりつけ医”」を信条としている。
ワークデザイン研究所
石山社会保険労務管理事務所

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