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RPAとは? 先進導入企業の大塚商会が徹底解説
国が推進する働き方改革の流れを受けて業務効率化・生産性向上が求められる中、RPA(Robotic Process Automation)が注目されています。このページでは、日本国内でのRPA先進導入企業である大塚商会がRPAの概要や企業での具体的な活用例を自社での経験を交え、分かりやすくご紹介します。
監修
株式会社大塚商会 共通基盤Webサービスプロモーション部クラウドインフラプロモーション課
尾花 政一
RPAとは
RPAを簡単に説明すると「ブラウザーやメーラーを含めたアプリケーションを横断的にまたがるExcelのマクロのようなもの」といえます。2016年ごろから話題になり、昨今は実用例が増えて導入の検討を進める企業が増えています。
RPAがカバーする業務範囲
RPAは、画面上のアプリケーション・システム画面を識別し、人間と同じように操作を行うことができるようなソフトウェア(ソフトウェアロボット)によって実現しています。
ExcelのマクロはVBA(Visual Basic for Applications)というプログラミング言語で組まれていますが、RPAはそのような伝統的なプログラミング言語で構築されるわけではありません。事前に設定された実行手順に従って動作します。RPAが目指すのはIT・情報システム部門スタッフ向けのプログラミングベースの自動化ではなく、ITナレッジの少ない業務部門スタッフ向けの直感的な操作で構築可能な作業を自動化することです。
現状、企業におけるRPA活用の主なフィールドは、集計業務の自動化です。
ワンポイント
ExcelのマクロとRPAとの違い
Excel内での操作の自動化はマクロで可能ですが、Wordなどアプリケーションをまたがる自動化はプログラム言語のスキルが必要となります。RPAであればプログラム言語のスキルがなくても、アプリをまたがる自動化の設定も対応できます。また、マクロは人が手動で実行させる必要がありますが、RPAはマクロをロボットが指定して自動実行させることも可能です。
デジタルレイバーの登場
RPAは上述のとおりホワイトカラー業務を効率化・自動化する仕組みで、仮想知的労働者(Digital Labor)とも呼ばれます。RPA(ホワイトカラー自動化)マーケットは、2020年に$5billlion(約5000億円)に達するとの試算もあります。
生産工場の自動化(産業ロボットでの作業)は既に当たり前となっています。欧米では既に、AIを活用したRPAソリューションが導入されています。人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはそれより高度な作業を人間に代わって実施できます。
RPA導入のメリット
RPAの最大の特徴は、「決められた作業の中に人の作業が介在しない」ということです。そのことによって生じる代表的なメリットを三点ご紹介します。
コストメリット
人件費よりもRPAの導入・維持費が安価であれば、労働力不足に伴う雇用難・人件費の高騰といった課題の解決につながります。
生産性の向上
定型的な業務をロボットに任せることで、処理速度が上がります。夜間に動作させることもできます。
品質の向上
ロボットは人間のようなケアレスミスをしません。またRPA導入にあわせてビジネスのフローを見直すことで「ミス0」を目指せます。
RPA導入の流れ
RPAは、その特性から従来の情報システムの開発と異なる導入アプローチが必要です。大塚商会では下図の流れを推奨しています。
ワンポイント
一番の悩みどころは、ツール選定
大塚商会に頂戴しているご相談としては、多くのお客様が「どのツールを導入してよいか決められない」ということで悩まれています。ツールの決定にあたってはリスク軽減のため価格が安い製品を選び、まずは自社内でしばらく検証してみるという傾向が多く見られます。ただしプロダクト間の互換がありませんので、「誰が」「どの場面で」「どのように」使うかを検証対象とし、ロボット化の範囲を見極めての導入・選定が重要です。
RPAツール
ツールの種類
RPA関連ツールは、処理件数や稼働ロボット数に応じた運用規模と、ロボットの管理方法によって分類することができます。
狭義のRPA(サーバー上で実行)
後述のRDAと対比させた際の狭義のRPAツールは、サーバー上で実行するソフトウェアロボットを指します。1サーバー上で複数のジョブを同時実行することが可能で、動作は高速です。スケジュール管理機能など各種のマネジメント機能があり、自動実行も可能です。
RDA(デスクトップ上で実行)
RDA(Robotic Desktop Autiomation)はPC操作そのものを自動化する仕組みです。システム開発ではROIが出にくい狭間業務や、部門単位で発生する他品種・小ロットなホワイトカラー業務を得意としています。
大塚商会取り扱いRPAツール
大塚商会で販売するRPA・RDAツールについてご紹介します。
RPA
BizRobo!
日本国内での実績No.1のRPAツールです。サーバーでロボットを動作させる場合に、複数のロボットを同時実行することができます。負荷分散など高度な管理機能をご提供。フロー形式でシナリオを作成するタイプです。最新バージョンで自動記録によるシナリオ作成もサポートしました。
RDA
Autoジョブ名人
毎日繰り返される手作業によるパソコン操作を自動化するツールです。ブラウザー操作やWindowsアプリケーションの操作を安定して自動化でき、貴重な人材の有効活用、業務品質の向上を実現します。
WinActor
Windows上で動くあらゆるソフトに対応します。自動記録・GUI機能でシナリオ作成が可能です。日本国内での導入実績が多数あります。
大塚商会の人材育成サービスご紹介
大塚商会では「WinActor」習得のための講座をご用意しています。時間がとれない方用の「速習コース」、基本操作をじっくりと学べる「標準コース」などご都合に合わせて受講スタイルをお選びいただけます。
メール業務
Autoメール名人
メールの送受信、添付ファイルの操作、本文からのテキスト抽出など、メールを伴う業務を自動化するツールです。データ変換やスケジュール機能も備えています。
RPA導入での課題と解決ポイント
導入前は「RPAで効率化できる」と思っている業務も、実際に分析してみると難しいケースがあります。よくある課題と解決のポイントをご紹介します。
ツール操作
導入前に描くイメージ
誰でもすぐに操作できる。
導入時に直面する課題
慣れるまでの時間が必要。
課題解決のポイント
習熟度や導入時の体制に適した研修を実施。
業務のロボット化
導入前に描くイメージ
全行程を自動化できる。
導入時に直面する課題
RPA化する業務範囲を絞り込めない。
課題解決のポイント
導入支援サービスを利用して事前準備を実施。
定着化・習慣化
導入前に描くイメージ
ツールを導入すれば、すぐに効果が出る。
導入時に直面する課題
日々の業務が優先されてしまい、定着しない。働きかけや仕組み化が必要。
課題解決のポイント
RPA化の効果が分かりやすい業務を対象とする。また、定着する仕組みを作る。
ワンポイント
メンテナンスが鍵を握る
ロボットは参照先のWebサイトのデザインが変更されたなど、ちょっとした変化にも対応することができません。あたかも人材を育てるようにメンテナンスを行い、ロボットを常に動かし続けることが重要です。また、人間が業務を行うよりもメンテナンスの工数がかさんでしまわないか、などの検証も常に行い、ロボットに則した業務への改善などを行うことが成功の秘けつです。
大塚商会のRPA導入支援サービス
RPA導入に失敗しないためには、ツールを導入する前にさまざまな事前検討が必要です。その検討をお手伝いする、大塚商会の導入支援サービスをご紹介します。
まずは、どの業務をRPA化する?「簡易導入支援コンサルティング」
お客様の業務プロセスの確認を行い、自動化可能な業務の有無を提示します。
- 対象RPAツール
- WinActor、Autoブラウザ名人
- 価格
- 100,000円
お試し業務ロボット化「RPA PoCサービス」
簡易的なロボットを数体作成し、ロボットの働き方を体感していただけます。
- 対象RPAツール
- BizRobo!、WinActor
- 価格
- 1,200,000円
スペシャルインタビュー
RPA導入成功の秘けつに迫る
RPAの最新動向、成功事例、導入時の注意点、今後の展望について、一般社団法人日本RPA協会の理事である、ワークスアイディ株式会社 代表取締役社長 池邉 竜一氏にお伺いしました。
- * 「キューアンドエーワークス株式会社」は2020年7月1日に「ワークスアイディ株式会社」に社名が変更されました。
大塚商会での稼働事例と成果
大塚商会ではサポートセンターの業務効率化を図るためにRPAツールを導入し、大きな成果を上げています。具体的な取り組みについて、利用部署に聞きました。
フェア・セミナー
開催予定のフェア・セミナー情報を一覧でご紹介します。