第151回 「いつも機嫌の良い人」が得をするという話

職場で不機嫌な態度を示して周囲に精神的負担を与える「不機嫌ハラスメント」が問題視されるようになり、昨今では上司に必要な資質の一つに「いつも機嫌が良い」が挙げられることがあります。

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「いつも機嫌の良い人」が得をするという話

ずいぶん前からあった「不機嫌ハラスメント」

某警察で課長を務めていた男性が、職場で不機嫌な態度を取って部下の勤務環境を悪化させた、いわゆる「不機嫌ハラスメント(フキハラ)」が認定されて注意処分を受けたという話題がありました。

これは私のこれまでの経験ですが、昨今で「フキハラ」などといわれるずいぶん前から、上司の不機嫌な態度に対する部下からの不満や悩みを聞く機会が数多くありました。いまになって急に始まったわけではなく、これまでは表向きに問題視されることが少なかっただけなのだと思います。
出てきた話の例としては、

  • 上司の機嫌が悪そうなので、あまり良くない報告を後回しにする
  • 機嫌を損ねそうな内容の話を避ける
  • 忙しそうなときに話しかけると怒られるので、いつも様子をうかがっている
  • ご機嫌を様子見しなければならず、自分の仕事が進まない
  • その時の機嫌によって言うことが違う
  • できるだけ接する機会を減らそうと思う

など、ただ職場の雰囲気や環境を悪くするだけでなく、実務上でもいろいろ支障があるという話がたくさんありました。不機嫌な上司の下ではコミュニケーションが滞り、部下の仕事に非効率が生じ、お互いの信頼関係が作れず、当然ですが仕事の成果にも悪影響を及ぼすことになります。

なぜ不機嫌に見られてしまうのか

不機嫌と見られがちなリーダー、マネージャーたちに自分の態度について話を聞いたことがありますが、8割以上の人はある程度自覚があって「直さなければいけないと思う」と言っていました。
ただ、残りの人たちの中には「部下に迎合したくない」「甘やかしたくない」「威厳を保つため」「厳しさの表現」などと自分を正当化するような人たちもいました。しかし、そもそも「不機嫌」というのは、迎合でも厳しさでも威厳でもなく、本人の感情の問題でしかありません。こういう考えの人の中からフキハラと指摘されるような人が出てきてしまうのでしょう。

ある著名な大学教授の著書の中に、「男性は40歳過ぎたら、普通にしていても不機嫌に見えると思った方がいい」とありました。社会人男性の過半数以上が当てはまるわけですが、確かに自分でも「年を取るほど不機嫌そうに見える度合いが増していく」と感じます。
また、あるイメージコンサルタントのお話で、「1人で電車を待っているときの姿が、周りから見たあなたのイメージだ」と言われたことがあります。何も考えずにボーっとしている状態ということですが、やはり「不機嫌そうに見える度合い」が高い感じがします。

不機嫌そうな見た目を「威厳」や「貫禄」とする捉え方もありますが、前述の著書の中では「貫禄なんてない方が、相手にプレッシャーを与えずに良かったりする」という話もあり、話しかけやすさは仕事のスムーズさや組織のパフォーマンスに直結するため、「上司が機嫌よくいるのは、いまや職務だ」と書かれていました。

「いつも機嫌が良い」は上司に求められる資質の一つ

私がこれまでいろいろな組織を見てきた中でも、みんなが明るく穏やかで和気あいあいとしていながら、決して緩むことなく適度な緊張感を持った組織が最も高い成果を上げています。不機嫌な空気は伝染しやすく、それがメンバー同士の行動を萎縮させたり、コミュニケーションをちゅうちょさせたりして、良い影響は何もありません。不機嫌の元凶がマネージャーであれば、この伝染力はさらに強まって組織のパフォーマンスは低下していきます。

最近、リーダーやマネージャーに必要な資質の一つとして、「いつも機嫌が良い」が挙げられることがあります。話しかける際のハードルが低くて気軽に話しかけられ、そうすればコミュニケーションの量が増え、得られる情報量も増え、さまざまな判断決断をしていくうえで好都合だそうです。
「機嫌よくいるのが上司の職務」「年を取るほど不機嫌に見える」となれば、年長の上司ほどさらに機嫌よく見えるように意識しなければなりません。

一般的に不機嫌に見えるのは、喜怒哀楽の「怒」の感情ですので、それを抑えれば済むはずですが、「普通にしていても不機嫌に見える」となると、意識して「喜」と「楽」の感情に見えるように、自分の気持ちをコントロールしなければなりません。個人の性格もありますが、結局のところは自分がカリカリせず、怒らず、穏やかな感情でいられるようにセルフマネジメントすることでしょう。

仕事のうえでも、さらに日常生活においても、「いつも機嫌が良い人」の方が得することが多いのは間違いありません。特にミドル・シニア男性は、「普通のままでは不機嫌に見える」ということを認識しておく必要があると思います。

次回は4月28日(火)の更新予定です。

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この記事の著者

ユニティ・サポート 代表

小笠原 隆夫

IT業界の企業人事出身の人事コンサルタント。 2007年に独立し、以降システム開発のSE経験と豊富な人事実務経験を背景に、社風や一体感など組織が持っているムードを的確に捉えることを得意とし、自律・自発・自責の切り口で、組織風土を見据えた人事制度作り、採用活動支援、人材育成、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務を専門的に支援するなど、人事や組織の課題解決、改善に向けたコンサルティングを様々な規模の企業に対して行っている。
上から目線のコンサルティングではなく、パートナー、サポーターとして、顧客と協働することを信条とする。
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