第152回 「一体感」と「同調圧力」との違いという話

良いチームには「一体感」があるといわれる一方で、「同調圧力」という言葉もあります。「一体感」と「同調圧力」には大きな違いがあると思う反面、実は紙一重の差かもしれないとも思います。

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「一体感」と「同調圧力」との違いという話

良い組織や強いチームは、多くの場合で「まとまりがある」「一体感がある」などといわれます。理念や方針が示され、目標や目的が共有され、それに基づいて全員が同じ方向を向いて進むのが良いこととされます。「チーム一丸」という言葉が悪い意味で使われることはまずないでしょう。

その一方、社会、企業、学校、その他のチーム、グループ、人の集まりを表現する中で、よく使われる言葉に「同調圧力」というものがあります。意味を調べると、「特定の集団において、少数意見を持つものに暗黙のうちに多数派意見を強制すること」とあります。少し言い換えると「みんなと同じように感じて、同じような価値観で動くことの強制」となります。こういわれると、多くの人はネガティブにとらえるでしょうし、私自身も一番苦手で嫌いな環境です。

「同調圧力」が与える影響

「同調圧力」が強い組織の典型として挙げられるのは軍隊です。原則として上官の命令は絶対で、異論反論は許さず、ボトムアップの意見具申は受け入れられません。実際にはそこまで絶対服従ではないという話も聞きますが、基本的には個人の意思や意向に関係なく、組織の論理が優先します。

他に「同調圧力」が強い組織やコミュニティーとして、例えば学校や古い体質の部活動、地縁が強い地域コミュニティーなどが挙げられます。企業の場合は、特に最近ダイバーシティ(多様性)がいわれ、「同調圧力」は以前ほどではなくなりつつありますが、それでも社歴の長い会社やオーナーシップが強い会社などでは、今もそういう体質をひきずっているところがあります。

スポーツの競技団体などで起こるパワハラ問題、ブラック校則といわれるような理不尽な学校規則、村八分のような地域内での嫌がらせなど、多かれ少なかれこの「同調圧力」が悪い影響を及ぼしている例といえます。「同調圧力」が強まると、“同じでない人”の差別や排除が始まるということで、これは決して好ましいことではありません。

「一体感」も「同調圧力」も実は紙一重

良い組織やチームにあるといわれる「チームのまとまり」や「一体感」も“同調”といわれればそのとおりです。圧力をかけたり強制したりしていないかもしれませんが、リーダーの立場でチームをまとめるためには、メンバーに対して何らかの働きかけをするはずで、やり方によってはそれが「圧力」や「強制」になることもありえます。

この「同調圧力」といわれるものと、良い意味での「一体感」といわれるものとの間には、何かしらの違いがあるはずです。例えば、「強制の有無」が考えられますが、感じ方は個人の主観であり、この境界線を明確に説明することには難しさがあります。「共感や納得感の存在」も考えられますが、中には暗黙の圧力で思考停止に陥って、表面的に従っているだけのような場合もあります。本心から共感、納得しているかは何ともいえません。

そんな中で、あえて違いとして感じた点は次の二つです。
まず一つ目として、組織の「一体感」で共有しているのは、共感や納得を前提とした全体の目標や目的であるのに対し、「同調圧力」の組織は共感や納得を軽視して、さらに全体目標だけでなく、その行動の仕方など細部まで同じものを求めて強制していることです。
試合に勝つ目的とはつながらないのに、例えば、髪型や服装を個人の意思に反して統一したりするのは、行動や価値観の強制であり、「同調圧力」の一種といえるのではないでしょうか。

そしてもう一つは、良い組織やチームでは「一体感」のよりどころであるチームの目的がおおむね一貫していることです。それに対して「同調圧力」の組織では、目的自体が曖昧であったりなかったり、いつの間にか他の違う何かに置き換わっていたりしがちです。同じでいること自体が目的化して、例えば、目的を達成するために設けたルールが、いつの間にかメンバーをコントロールするための口実に使われていたりします。

このように「一体感」と「同調圧力」との間には大きな違いがあるように見える一方で、その差は実は紙一重のようにも思えます。「同調圧力」が強いといわれる日本社会では、この違いは特に意識しておかなければならないと強く思います。組織やチームを運営するうえで、「同調圧力」といわれない正しい「一体感」を生み出す工夫が必要だと思います。

次回は5月26日(火)の更新予定です。

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この記事の著者

ユニティ・サポート 代表

小笠原 隆夫

IT業界の企業人事出身の人事コンサルタント。 2007年に独立し、以降システム開発のSE経験と豊富な人事実務経験を背景に、社風や一体感など組織が持っているムードを的確に捉えることを得意とし、自律・自発・自責の切り口で、組織風土を見据えた人事制度作り、採用活動支援、人材育成、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務を専門的に支援するなど、人事や組織の課題解決、改善に向けたコンサルティングを様々な規模の企業に対して行っている。
上から目線のコンサルティングではなく、パートナー、サポーターとして、顧客と協働することを信条とする。
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