第119回 利益が出る運送会社が実践している配車の考え方
前回は、「運送会社が値上げできる会社とできない会社との決定的な違い」というテーマでお話ししました。同じ運賃水準、同じ車両台数、同じドライバー数であっても、利益が出る会社と出ない会社があります。今回は、「利益が出る運送会社が実践している配車の考え方」について考えていきます。
利益が出る運送会社が実践している配車の考え方
前回は、「運送会社が値上げできる会社とできない会社との決定的な違い」というテーマでお話ししました。値上げに成功する会社は、単に交渉がうまいわけではありません。日ごろから数字を把握し、荷主との信頼関係を築き、自社の状況を客観的に説明できる会社です。
しかし、仮に適正な運賃を確保できたとしても、それだけで利益が残るとは限りません。同じ運賃水準、同じ車両台数、同じドライバー数であっても、利益が出る会社と出ない会社が存在します。
その差を生み出しているのが、日々の配車です。
今回は、「利益が出る運送会社が実践している配車の考え方」について考えてみたいと思います。
配車は車両を埋める仕事ではない
運送会社の現場において、配車担当者は常に忙しく動いています。
荷主からの依頼に対応し、ドライバーの予定を確認し、車両を割り当てる。毎日発生する変化に対応しながら業務を進めています。そのため、多くの会社では配車の目的がいつの間にか「車両を遊ばせないこと」になっています。
もちろん車両の空きを減らすことは重要です。しかし、それだけを目標にすると利益は残りません。利益が出る会社は、配車を「売上を作る仕事」ではなく、「利益を残す仕事」として考えています。
この違いは想像以上に大きな差を生みます。
売上よりも拘束時間を見る
例えば、同じ5万円の売上がある案件でも、拘束時間が5時間の案件と10時間の案件とでは価値が全く違います。売上だけを見れば同じです。しかし、利益という視点で見ると結果は変わります。
10時間拘束される仕事を1件受けるよりも、5時間で終わる仕事を2件受けた方が利益が残る場合があります。利益が出る会社は、売上だけで判断しません。その仕事がどれだけの時間を消費するのかを必ず確認しています。
今後さらにドライバー不足が進む中で、本当に不足するのは車両ではなく「時間」です。だからこそ、利益が出る会社ほど時間という資源を重視しています。
空車より怖いのは低効率
配車担当者にとって空車は気になります。しかし、利益という視点で見ると、空車よりも怖いものがあります。それは低効率な運行です。
長距離輸送の帰り便が見つからず、大きく空車回送する。待機時間が長い案件を何となく受け続ける。積載率が低い運行を繰り返す。こうした状態は売上が立っているため問題が見えにくくなります。
しかし、実際には利益を削り続けています。利益が出る会社は、空車率だけではなく、拘束時間当たりの売上や実車率なども確認しながら配車を組んでいます。
優先順位を決めている
利益が出ない会社ほど、全ての依頼に応えようとします。しかし現実には、全ての仕事が同じ価値を持っているわけではありません。
利益が出る会社は、仕事に優先順位をつけています。採算が良い荷主、将来的に成長が期待できる案件、自社の強みが生かせる輸送。そうした仕事を優先的に確保します。
一方で、利益が出ない案件については改善交渉を行い、それでも改善できない場合は見直しを検討します。
限られた車両とドライバーをどこに使うのか。この判断が会社の利益を大きく左右します。
配車担当者が利益を理解している
利益が出る会社では、配車担当者が採算を理解しています。単に車両を割り当てるだけではありません。この仕事は利益が出るのか。このルートは効率が良いのか。この組み合わせは利益改善につながるのか。そうした視点を持ちながら日々の判断を行っています。
逆に利益情報が経営者だけにとどまっている会社では、現場が利益を意識した行動を取ることができません。利益改善は、経営者だけでは実現できません。現場の判断基準と会社の目標とが一致して、初めて成果につながります。
配車は利益構造そのものである
多くの会社では、利益改善というと営業や値上げ交渉を思い浮かべます。もちろんそれも重要です。しかし、日々の利益を決めているのは、実は配車の積み重ねです。どの車両を使うのか。どのドライバーを配置するのか。どの案件を優先するのか。その一つ一つの判断が利益を作り、あるいは失わせています。
利益が出る会社は、この事実を理解しています。だからこそ、配車を単なる運行管理業務ではなく、利益を生み出す経営活動として位置付けているのです。
まとめ
同じ荷主、同じ車両台数、同じドライバー数であっても、会社によって利益に差が生まれます。
その理由の一つが配車です。
利益が出る会社は、車両を埋めることではなく、限られた時間と経営資源を最も効率よく活用することを考えています。配車は現場業務であると同時に、利益構造を作る重要な経営機能でもあります。今後、人手不足がさらに進む中で、その重要性はますます高まっていくでしょう。
次回は7月10日(金)更新予定です。