第120回 車両を増やしても利益が増えない運送会社の共通点
前回は、「利益が出る運送会社が実践している配車の考え方」というテーマでお話ししました。実際、多くの運送会社では売上を伸ばすために増車を行います。しかし、車両を増やしたにもかかわらず、利益が思ったほど増えない会社も少なくありません。今回は、その理由について考えてみたいと思います。
車両を増やしても利益が増えない運送会社の共通点
前回は、「利益が出る運送会社が実践している配車の考え方」というテーマでお話ししました。利益が出る会社は、配車を単に車両を割り当てる業務ではなく、利益を生み出す経営活動として考えています。売上だけではなく拘束時間や効率を意識しながら配車を行うことで、限られた経営資源を最大限に活用しています。
ところが、配車を見直した会社でも、次のような悩みを抱えることがあります。
「仕事は増えてきた。そろそろ車両を増やした方がいいのではないか」
実際、多くの運送会社では売上を伸ばすために増車を行います。しかし、車両を増やしたにもかかわらず、利益が思ったほど増えない会社も少なくありません。
今回は、その理由について考えてみたいと思います。
車両は増やした瞬間から固定費になる
新しい車両を導入すれば、より多くの仕事を受けられるようになります。しかし、その一方で車両には毎月必ず発生する費用があります。車両代、保険料、自動車税、車検費用、整備費用など、仕事があってもなくても発生するコストです。
つまり、車両は導入した瞬間から利益を生み出す資産であると同時に、固定費を生み出す存在にもなります。仕事量が十分に増えなければ、その固定費が利益を圧迫することになります。
稼働率が利益を左右する
利益が出る会社は、「何台保有しているか」ではなく、「何台が利益を生み出しているか」を見ています。例えば10台保有していても、実際によく稼働しているのが7台であれば、残り3台は利益に貢献していない可能性があります。逆に8台しか保有していなくても、高い稼働率を維持できていれば、10台保有している会社より利益が残ることもあります。
重要なのは台数ではなく、車両をどれだけ効率よく活用できているかです。
「忙しい」と「利益が出る」とは違う
現場では、「最近、忙しいから増車しよう」という判断が行われることがあります。もちろん仕事が増えることは喜ばしいことです。しかし、その忙しさが利益につながっているとは限りません。忙しさだけを基準に増車すると、売上は伸びても利益は思うように増えないことがあります。利益が出る会社は、「忙しいかどうか」ではなく、「利益が残っているかどうか」で判断します。
増車の前に確認すべきこと
利益が出る会社は、増車を検討する前に現在の車両の使い方を見直します。空車回送を減らせないか。同じルートをまとめられないか。配車方法を改善できないか。拘束時間を短縮できないか。こうした改善を積み重ねることで、新たな車両を購入しなくても対応できるケースは少なくありません。
設備投資を行う前に、今ある経営資源を最大限活用することが利益改善への近道になります。
車両を増やすことが目的ではない
会社の成長を考えると、「保有台数を増やしたい」という気持ちは自然なことです。しかし、本当に目指すべきなのは車両台数ではありません。目指すべきなのは利益です。利益が伴わない増車は、会社の負担を増やすだけになってしまいます。
一方で、今ある車両で利益を最大化できる会社は、経営基盤が安定し、その後の投資にも余裕が生まれます。
まとめ
車両は会社にとって重要な経営資源です。しかし、保有台数が多いことと利益が出ることとは同じではありません。
利益が出る会社は、増車を急ぎません。まず現在の稼働率や配車方法、拘束時間を見直し、今ある車両を最大限活用することを考えます。その結果として、本当に必要なタイミングで増車を行うため、設備投資が利益につながります。
これからの運送業では、「何台持っているか」ではなく、「何台を利益につなげられるか」という視点が、ますます重要になっていくでしょう。
次回は7月24日(金)更新予定です。
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