第121回 運送会社が利益を増やすために「ドライバーの時間」を管理する理由

前回は、「車両を増やしても利益が増えない運送会社の共通点」というテーマでお話ししました。利益が出る会社は、今ある車両をどれだけ効率よく活用できるかを重視しています。今回は、利益を出している運送会社がなぜドライバーの時間を細かく管理しているのか考えてみたいと思います。

運送会社が利益を増やすために「ドライバーの時間」を管理する理由

前回は、「車両を増やしても利益が増えない運送会社の共通点」というテーマでお話ししました。利益が出る会社は、車両を増やすことよりも今ある車両をどれだけ効率よく活用できるかを重視しています。保有台数ではなく稼働率に目を向けることが、利益改善につながるというお話でした。しかし、車両以上に重要な経営資源があります。それが「ドライバーの時間」です。
以前は車両が不足することが経営課題でしたが、現在は人手不足や労働時間規制の影響により、「時間」が最も貴重な経営資源になっています。
今回は、利益を出している運送会社がなぜドライバーの時間を細かく管理しているのか、その理由について考えてみたいと思います。

売上ではなく時間が不足する時代になった

以前の運送業では、「あと1台あればもっと仕事が受けられる」と考える会社が多くありました。しかし、現在は車両があってもドライバーがいない、あるいは拘束時間の上限があるため仕事を受けられないというケースが増えています。
つまり、不足しているのは車両ではなく時間です。利益が出る会社は、この変化を早くから理解し、「時間をどう使うか」を経営課題として考える方向にシフトしています。

利益を減らしているのは「止まっている時間」

運送会社では、運転している時間ばかりに目が向きがちです。しかし、利益という視点で見ると、本当に把握すべきなのは車両が止まっている時間です。止まっている時間といっても、荷待ちだけではありません。
荷物の積み込みや荷降ろしに想定以上の時間がかかっていることもあります。伝票処理や受付の順番待ち、次の指示を待っている時間などもあります。また、運行記録を確認すると、理由がはっきりしない停止時間が見つかることもあります。もちろん休憩は必要です。しかし、問題なのはこうした停止時間が長く発生しているにもかかわらず、十分な休憩が取れていないケースです。
ドライバーは長時間拘束されているにもかかわらず、実際には売上につながる運行時間が少なくなってしまいます。これでは会社の利益も伸びませんし、ドライバーの負担も大きくなる一方です。

利益が出る会社は、単に「待機時間」を確認するのではなく、「車両が止まっている時間」を「見える化」しています。荷主ごと、納品先ごと、あるいは運行ルートごとに停止時間を分析することで、「どこで時間を失っているのか」が分かるようになります。その結果、荷主への改善提案や配車の見直し、運行ルートの変更など、具体的な改善策につなげることができます。
時間は、これからの運送会社にとって最も重要な経営資源です。車両が止まっている時間を減らすことは、利益を増やすだけではありません。ドライバーが本来取るべき休憩時間を確保し、安全で無理のない運行を実現することにもつながるのです。

拘束時間を「見える化」すると改善点が見えてくる

拘束時間は、法律を守るためだけに管理するものではありません。利益改善にも大きく関係しています。例えば、同じ売上でも拘束時間が短い仕事は利益が残りやすく、拘束時間が長い仕事は利益が残りにくくなります。利益が出る会社は、運行終了後に「売上」と「拘束時間」とをセットで確認しています。そうすることで、「売上は高いが利益は低い仕事」や、「短時間で効率よく利益が出ている仕事」が見えてきます。
こうした数字を確認する習慣が、配車や営業の判断を変えていくのです。

時間管理はドライバーを守ることにもつながる

時間管理という言葉を聞くと、「管理される」「監視される」という印象を持つ人もいるかもしれません。しかし、本来の目的は違います。拘束時間や休憩時間を把握することで、無理な運行を防ぎ、ドライバーの負担を減らすことができます。
働きやすい環境は定着率の向上にもつながり、人材不足への対策にもなります。利益改善と働きやすさとは決して相反するものではありません。むしろ、どちらも時間を適切に管理することで実現できるのです。

「時間」を意識する会社が選ばれる

荷主も物流会社を選ぶ時代になっています。
法令を守り、安定した輸送品質を維持できる会社ほど、長期的な取引につながりやすくなります。そのためには、ドライバーの時間を適切に管理し、無理のない運行体制を構築することが欠かせません。
時間を管理できる会社は、結果として品質も利益も安定していきます。これからの運送業では、「時間を管理すること」、そしてそれを「証明できること」が競争力の一つになるでしょう。

まとめ

利益が出る運送会社は、売上だけを見て経営しているわけではありません。車両、荷主、配車だけでなく、「時間」という経営資源を大切にしています。待機時間や拘束時間を「見える化」し、その数字を改善につなげることで利益も働きやすさも向上していきます。
これからの運送業では、「どれだけ働いたか」ではなく、「限られた時間でどれだけ価値を生み出せたか」が重要になります。
時間を管理することは、利益を管理することでもあるのです。

次回は8月7日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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