第112回 うまくいかない運送業のDX(4) ルールを作っても現場が戻る理由
前回のコラムでは、営業所ごとにバラバラになった記録や業務のやり方をそろえる方法について説明してきました。しかし、ルールを決めても元のやり方に戻ってしまう会社が少なくありません。最終回では、営業所のやり方をそろえた状態を維持するための考え方を整理します。
うまくいかない運送業のDX(4) ルールを作っても現場が戻る理由
前回のコラムでは、営業所ごとにバラバラになった記録や業務のやり方をそろえる方法について説明してきました。しかし実際には、ルールを決めても数カ月後には元のやり方に戻ってしまう会社が少なくありません。これは現場の問題ではなく、仕組みの問題です。
最終回では、営業所のやり方をそろえた状態を維持するための考え方を整理します。
なぜルールはすぐに崩れるのか
多くの会社で起きているのは次のような流れです。
- 本社がルールを決める
- 最初は営業所も守る
- 忙しい日が続く
- 一部の例外が発生する
- 例外が習慣になる
- 元のやり方に戻る
つまり問題は、ルールが守れないことではなく、例外が管理されていないことです。
そろった状態を保つ会社の共通点
営業所が増えてもやり方が崩れない会社には共通点があります。それは、ルールを守ることを個人の努力に任せていないことです。具体的には次の三つの仕組みを必ず備えています。
| 仕組み | 内容 |
|---|---|
| 定期チェック | 本社が営業所の記録を定期的に確認する |
| 例外管理 | 例外が発生した理由を必ず残す |
| ルール更新 | 現場の実態に合わせてルールを修正する |
これにより、やり方が自然にそろった状態が維持されます。
本社がやるべき仕事は「監視」ではない
営業所の記録をチェックすると聞くと、「本社が現場を監視する」という印象を持たれることがあります。しかし本来の目的は違います。
本社の役割は、
- 記録のズレを早く見つける
- ズレの原因を把握する
- 必要ならルールを改善する
ことです。つまり、現場を管理するのではなく、仕組みを管理することです。
そろったやり方は「会社の資産」になる
営業所ごとにやり方が違う会社は、拠点が増えるほど管理が難しくなります。
一方で、やり方がそろっている会社は、
- 新しい営業所を作りやすい
- 管理者が変わっても業務が安定する
- 経営数字を正しく比較できる
という強みを持ちます。つまり、やり方をそろえることはDXでもITでもなく、会社の基礎体力を作ることです。
システムではなく「動き方」をそろえる
このシリーズでは、
- システムを入れても現場が変わらない理由
- 拠点のやり方をそろえる方法
- そろえる順番
- そろった状態を維持する仕組み
を解説してきました。DXという言葉が使われることが増えましたが、本質はシンプルです。重要なのはシステムではなく、全ての営業所が同じ動きをすることです。それができて初めて、データが経営に役立つようになります。
次回は3月27日(金)更新予定です。