第113回 運送業の「利益の見方」を変える~売上が増えるほど利益が減る会社の共通点~

前回までのコラムでは、拠点ごとの業務や記録をそろえることで、現場と経営とのズレをなくす方法を整理しました。今回は運送会社の経営そのものの前提に切り込みます。テーマは「なぜこれだけ働いているのに、利益が残らないのか」。経営者が感じるこの違和感は、構造の問題です。

運送業の「利益の見方」を変える~売上が増えるほど利益が減る会社の共通点~

前回までのコラムでは、拠点ごとの業務や記録をそろえることで、現場と経営とのズレをなくす方法を整理しました。今回はそこから一段踏み込み、運送会社の経営そのものの前提に切り込みます。
テーマはシンプルです。「なぜこれだけ働いているのに、利益が残らないのか」。多くの経営者が感じているこの違和感は、気合や努力の問題ではありません。構造の問題です。

売上は伸びているのに利益が増えない理由

運送業では、次のような状態がよく見られます。

  • 売上は毎年伸びている
  • ドライバーも増えている
  • 車両も増えている
  • しかし利益は横ばい、もしくは減少している

このとき、多くの会社はこう考えます。

  • まだ規模が足りない
  • もっと案件を増やせば利益が出る
  • 稼働率を上げれば改善する

しかし、実際には逆です。仕事を増やすほど利益が悪化しているケースが多いのです。

原因は「仕事の中身を見ていないこと」

売上だけを見ている会社は、次の視点が抜けていることが多いようです。

  • その仕事はいくら利益を生んでいるのか
  • そのドライバーはどれだけ利益を作っているのか
  • その運行は本当に採算が合っているのか

つまり、売上の内訳を見ていない場合です。
例えば、

  • 長距離で売上が大きい案件
  • しかし、ドライバーが行う作業時間や待機時間が長く、実働効率が低い
  • 結果として、利益はほとんど出ていない

このような仕事が積み重なると、売上は増えているのに利益は増えないという状態になります。

「忙しい会社ほど、もうからない」構造

運送業では、忙しさと利益とが一致しません。
むしろ、

  • 長時間拘束
  • 待機時間増加
  • 低単価案件の積み重ね

によって、忙しいほど利益率が下がる構造が存在します。特に次のような仕事は要注意です。

  • 荷待ち時間が長い
  • 積み卸しはドライバーの担当
  • 貨物事故が起こる確率が高い
  • 指示変更が多い
  • 片道だけ高単価で往復効率が悪い
  • 突発対応が多い

これらは全て「売上にはなるが利益を削る仕事」です。

利益を壊しているのは“良さそうに見える仕事”

厄介なのは、こうした仕事ほど一見すると魅力的に見えることです。つまり、売上が大きく荷主との関係も強いため、継続案件としての安心感があり、経営判断として切りにくい。しかし実態は、「利益を圧迫し続ける“見えない赤字案件”」になっていることがあります。

なぜこの構造に気づけないのか

理由は明確です。多くの運送会社では、

  • 荷主別の利益
  • 運行別の利益
  • ドライバー別の利益

が見える形になっていないからです。つまり、「どこでもうかっていて、どこで損しているか分からない状態」で経営しているということなのです。

次回は4月10日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社AppLogi 代表取締役

廣田 幹浩

国内大手コンサルティング会社SCM&ロジスティクスソリューショングループ グループマネージャー職を経て現職。300社を超える荷主向け物流効率化、数100社超の運輸・配送関連経営コンサルティングの実績をベースとして、2018年に株式会社AppLogiを設立。最新の運輸・配送関連クラウドアプリケーションを提供する。
株式会社AppLogi

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