第114回 運送業の「利益の見方」を変える~利益が残る会社は「売上」ではなく何を見ているのか~
前回は、「売上が増えるほど利益が減る会社の共通点」について整理しました。売上は伸びているのに資金が残らない、忙しくなっているのに利益が出ない。では逆に、利益がしっかり残る会社は何を見ているのか。今回はその違いを整理したいと思います。
運送業の「利益の見方」を変える~利益が残る会社は「売上」ではなく何を見ているのか~
前回は、「売上が増えるほど利益が減る会社の共通点」について整理しました。売上は伸びているのに資金が残らない、忙しくなっているのに利益が出ない。こうした状態は、珍しい話ではありません。では逆に、利益がしっかり残る会社は何を見ているのか。今回はその違いを整理したいと思います。
利益が出ない会社は「売上」だけを見ている
まず前提として、利益が出ない会社ほどシンプルにこうなっています。
- 売上=正義
- 台数=評価
- 稼働率=重要指標
もちろん、どれも大事です。ただし問題は、それだけで判断していることです。
例えば、
- 低単価の案件でも「空車よりマシ」と受ける
- 長時間拘束でも「売上が立つからOK」とする
- 無理な配車でも「台数が埋まるから良い」と判断する
結果として何が起きるか。
- 売上は増える
- しかし、コストはそれ以上に増える
これが前回で触れた構造です。
利益が残る会社は「1運行あたりの粗利」を見ている
一方で、利益が出る会社は見ているポイントが違います。結論から言うと、「1運行あたりの粗利」を必ず見ています。シンプルに言い換えると、こうです。
「この仕事はいくら売上になるか?」ではなく、「この仕事でいくら“残る”のか?」
ここに視点があります。
シンプルな1運行の見方
一つの運行をざっくり分解するとこうなります。
- 売上
- 燃料費
- 高速代
- 人件費(時間)
- 車両コスト(ざっくりでもOK)
これを引き算すると、「この運行でざっくりいくら残ったか」が見えます。
「もうからない仕事」を見抜けるかが分かれ道
この視点を持つと判断が変わります。例えば、同じ売上でも、
- ケースA
- 売上:50,000円
所要時間:5時間
粗利:そこそこ残る - ケースB
- 売上:50,000円
所要時間:10時間
粗利:ほぼ残らない
売上は同じでも、価値は全く違います。しかし、売上だけを見ていると両方「良い仕事」に見えてしまいます。これが怖いところです。
利益が残る会社は「やらない仕事」を決めている
もう一つ大きな違いがあります。それは、やらない仕事を決めていることです。
- 単価が一定以下の仕事は受けない
- 長時間拘束の案件は見直す
- 非効率なルートは改善する
こうした判断ができるのは、1運行ごとの利益が見えているからです。逆に言うと、見えていない会社は「全部受ける」しかなくなるということになります。
現場でよくあるズレ
現場のリアルなズレも触れておきます。よくあるのが、
- 配車は「回すこと」が評価される
- ドライバーは「件数」が評価される
- 営業は「売上」が評価される
つまり、全員が“売上を増やす方向”にしか動いていないことになり、この状態だと、利益が残る構造にはなりません。利益が出る会社と出ない会社の違いは、業種を問わず特別な考えではありません。見ているポイントが違います。
- 利益が出る会社
- 1運行の粗利を見る会社 → 無理なく利益が残る
- 利益が出ない会社
- 売上を見る会社 → 忙しくなるほど苦しくなる
という傾向が多いようです。
次回は4月24日(金)更新予定です。