第57回 アメリカと日本のドライバーの時間管理の違い（2）

アメリカの車両装着機器の内容

アメリカの事業用トラックには運行管理システム（日本でいうところのデジタコ）の装着が義務付けられています（日本では車両総重量7トン以上、または最大積載量4トン以上のトラックに装着の義務がある）。そのアメリカの運行管理システムは、トラックに搭載されているECU（車両の動きを制御するコンピューター）に直結されており、全てのトラックは運行状況・安全運転・労働時間管理がデジタル管理されていると思っていただければよいでしょう。

「運行状況」については、画面上で「走行」「積込」「荷降」「休憩」のボタンを押すことにより、管理することができます。これは日本の運行管理と同様ですね。
「安全運転・違反管理」については、日本のデジタコメーカーがリリースしているものと同様、

• スピード違反
• 急発進
• 急制動
• エンジン回転数オーバー

などが管理できるようになっています。また他にも、トップギアに入れて走行している時間、クルーズコントロールを設定して運行している時間など、どのような運転環境にあるか、管理者が把握できるようになっている機能があります。

そして、「労務時間管理」機能が車両に搭載されています。ドライバーが現時点で何時間、運行しているのかをドライバー・事務所の双方で管理できる体制ができています。

あと何時間、運行することができるのか？

アメリカのデジタコ（運行コンピューター）には、四つの時計があります。

1日がスタートすると、この時計の目盛りがどんどん減っていくイメージです。

日本では、1日の業務の流れはドライバーに任せられているという感想を持っています（主観ですので、もちろんそうでない運送会社さんも多くあります）。しかし、1日の時間の管理をするツールはドライバーには与えられていません。2024年問題を受け、これからの運送業のDXはここの解消がポイントになるのではないかと感じています。