第162回 事故ゼロへの1%の努力

「言われるからやる」「見られているからやる」のではなく、「車内や庫内で自分一人でもやる」ようになるためには、安全の取り組み方について理解以上の納得を得るための教育が必要です。

事故ゼロへの1%の努力

交通事故を起こさないことは、瞬間的や短期的にはそう難しいことではないと思います。

しかしながら、交通事故を起こさないことを「続ける」のは、とても難しいことです。

車の運転は基本の動作を数日間教習所で学んだうえ、道の上では法律が定められていてパトカーも巡回しています。

2日間の研修で「ほぼ合格」の後は免許更新の講習もなく、敷地内や庫内での一人作業も多いフォークリフト作業で無事故を「続ける」ことは、さらに難しいものです。

自身の安全は、自らがルールを守って自分の身を守ろうとすることから始まります。

「言われるからやる」「見られているからやる」のではなく、「一人の車内や庫内でもやる」ようになるためには、安全の取り組み方について理解以上の納得を得るための教育が必要です。

安全の「法律」は過去の交通事故事例に対する「原因」により生まれます。

安全の「教育」は過去の交通事故事例に対する「対策」により生まれます。

法律により交通事故は「削減」できますが、「ゼロ」を狙うには教育が必要です。

社内では交通事故や交通違反を未然に防止すべく教育を行う管理者がいます。

社外には交通事故や交通違反を発生後に対応してくれる警察官しかいません。

管理者は、ドライバーが事故や違反を未然に防止するためのルールを守らなかったときに指導すべきであり、事故が起こってから怒るのは以前のコラムでも掲載した「事故待ち指導」です。

第159回 事故待ち指導になっていませんか

安全を管理することとは、発生した事故の原因特定や事後処理をするだけではなく、事前に安全を教育することです。

法律を守るための運行管理者であるとともに、ドライバーを守るための運行管理者であるべきと考えます。

晴れや曇りなどで雨や雪が降らない日の方が多いことと同じく。

運送会社にとっては交通事故がない日の方が多いはずです。

たとえ年間に2回以上交通事故を起こすドライバーがいたとしても、年間に200日以上は無事故で帰庫しているはずです。

事故を繰り返す人であっても、過半数の日が完全無事故を達成できているはずです。

99%が成功(無事故)であるならば、1%の失敗(事故)を0%にする「1%の努力」により完全無事故を達成できます。

1%を0%にするには「後1%の努力」で達成できるはずです。

しかしながら、事故ゼロは安全への100%の熱意がなければ達成できる確率は0%です。

完全な安全には全員が安全を諦めない風土が必要です。

事故が発生した後に「あれをやっておけばよかった」や「やはり続けておけばよかった」と悔やまれる項目を、事故が発生する前に実践して継続しましょう。

「もしも明日事故が発生したら」

「明後日に行うであろうことを」

「今日やれば明日の事故はなし」

ありがとうございました。

次回は12月13日(金)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社プロデキューブ 代表取締役

高柳 勝二

運送会社の管理者育成と安全教育をサポートしている株式会社プロデキューブの代表取締役。
前職は中堅運送会社にドライバーとして入社し18年間勤務。
安全管理・品質管理・開発営業などの実務経験が豊富な物流インストラクター。
現在ではドライバーの交通事故防止による利益確保と輸送品質の向上による単価の向上で得た原資によって、働き方改革を実現するまでを事業領域として、現場を親身にサポートしている。
中小運送会社からの依頼が多い“提案型”研修は、受講されたドライバーや管理者からの「おもしろい・眠くならない・わかりやすい」との評判が口コミで広がり、各社内で開催される社員研修の外部講師として全国45都道府県で講演。
また、全日本トラック協会主催の「全国トラック運送事業者大会」における交通安全対策推進の分科会で、7年連続コーディネータを担当(2013年札幌開催:2014年福岡開催:2015年金沢開催:2016年度米子開催:2017年仙台開催:2018年高松開催:2019年千葉開催)。
2013年度:全日本トラック協会「トラック運送事業における運行管理者のあり方研究会」委員
2015年度:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会ワーキンググループ」委員
2016年度:「貸切バス運転者に対して行う指導及び監督の改正検討ワーキンググループ」委員
2016年度より現在:国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故対策検討会」委員
2017年度より現在:熊本県トラック協会 専門アドバイザー(企業経営・労務管理)
各都道府県のトラック協会や青年部会、支部や協同組合単位での各研修会で講演多数。
プロデキューブ
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