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第10回 発注支援システムを構築することで、「在庫の適正化」と「発注時間の短縮」を実現します
短時間の発注作業で、在庫を適正化するためには「発注支援システム」の構築が必要です。在庫保有日数の昇順に表示される「発注勧告リスト」を作成し、発注数を入力するだけで発注データが作成されるような仕組みを構築しましょう。
発注支援システムを構築することで、「在庫の適正化」と「発注時間の短縮」を実現します
適正在庫を実現する発注
適正在庫を実現するためには、日々タイムリーな発注をする必要があります。
しかし、発注担当者は多忙を極めている場合が多く、短時間の判断で異常値を見極めなければなりません。
そこでコンピューターシステムの出番になります。
特売データ(過剰在庫の販売推進も含む)等は、異常値になりますので省いた形で、通常売上分のデータで下図のような「発注勧告リスト」を作成し、発注の検討に入ります。
まず発注担当者は、自分の担当の仕入先(製造業の場合は工場に該当)を指定し、「発注勧告リスト(Excel)」を抽出します。
抽出条件では、商品の分類を指定できるようにしておき、「通常発注ができない商品」を対象外としてはずす運用をします。
「通常発注ができない商品」の例は、新製品、オフシーズン商品、売り切り品等があります。
これらの商品は発注時に検討する内容が違うため、混在すると作業効率が悪くなります。
商品マスターに商品分類を登録することで、自動除外ができるようにしておきましょう。
第4回 的確に在庫改革を推進するために商品マスターを工夫する
この「発注勧告リスト」は、在庫保有日数(今の出荷でいくと在庫が何日分ある)の昇順に出力されるようにします。
つまり在庫の少ない商品順に出力しますので、上位だけを発注対象として見ればいいことになります。
常に全アイテムを検証する必要はありません。
上位から順番に1アイテムずつ発注数の検討を行います。
発注する際に、直近3カ月の出荷状況を見て、大幅な変動が無いかをチェックします。
在庫保有日数は、過去数カ月の出荷数平均(平均出荷数の算出方法は企業により変わります)から算出しますので、大幅な減少傾向が見ることができれば、発注数を抑えなければ過剰在庫になります。
逆に大幅な増加傾向があれば、欠品になる恐れがあります。
発注が必要な商品は、発注ロットを参考にしたうえで、発注数を検討します。
Excelシート上では発注数を入力すると、即時に発注後の在庫保有日数が計算されるようにしておきます。
この時、大きな在庫保有日数になる場合がありますが、そのような商品については、発注ロット数の変更を仕入先と交渉しましょう。
当面はExcelを使用して運用しますが、運用上支障がある部分をつぶしていけば、プログラムを組んで発注支援システムを作っていくことができます。
海外工場で商品を作っている製造業の場合は、コンテナの積載率も算出する必要がありますので、商品マスターに商品容積を登録し、発注データ入力後のコンテナ積載率が自動計算され、発注作業時間が短縮できた事例もあります。
今回の執筆で、「在庫」に関する内容は終了します。次回から「物流作業」に関する内容で進めてまいります。お楽しみに!
次回は7月11日(火)の更新予定です。