第103回 営業には商品力や価格以外に武器になる資産がたくさん隠れている

会社の中には人脈や人材、情報、資料やデータなど、営業活動で有効な資産がたくさん隠れています。しかし、現実は「商品が弱い、価格が高いから勝てない」とあまり使っていない……。
今回は戦略営業における商品力や価格以外の様々さまざまな武器についてご紹介します。

営業には商品力や価格以外に武器になる資産がたくさん隠れている

多くの会社で商品力を強化している今日、当然皆さんの競合他社も強化しています。
すると、商品力で差別化できない……と、苦労している営業の人が多いのではないでしょうか。

今回は、営業にとって商品力や価格以外に武器になるものについてお話しします。

製品の性能も提案内容もあまり変わらない場合

セント商事の営業担当Aさんがお客さんにセキュリティカメラを提案しました。

お客さんは多店舗展開しているスーパーマーケットを経営している会社。
提案相手は店舗管理部で、各店の設備全般の導入や設置、管理を担当しているとのこと。
今回検討しているセキュリティカメラは防犯のために使いたい。
競合のアドバイスコーポレーション(アドバイス社)とコンペになっている。

Aさんの提案内容はお客さんの要望に合わせて……

  • 防犯用に店頭と店内に設置するカメラ
  • パソコンにつないで映像を確認できる
  • 録画もできて後で確認できる
  • インターネットで接続して本部で全店舗の映像を確認できる

Aさんは会社に戻って上司に
「さっき提案してきたんですが、ちょっと厳しいかもしれません」

上司Bさん
「何が厳しいの?」

Aさん
「お客さんがうちの提案の方が少し高いって言っていました」

上司Bさん
「提案内容はアドバイス社と比べてどうなの?」

Aさん
「製品の性能も提案内容もあまり変わらないみたいです」

上司Bさん
「防犯だけじゃなくて来場者の分析にも使えるだろう。それは提案しなかったの?」
「カメラで来店者の顔の情報を収集して、性別や年齢とか来店者の傾向を把握できるからスーパーマーケットにはメリットがあるんじゃないの?」

Aさん
「提案前にお客さんに説明したんですけど、今回検討しているのは防犯用だから必要ないって言われてしまって」

上司Bさん
「そうか……、もうこれ以上値引きできないし『やれることはやった』から結果を待つしかないな」

Aさん
「厳しいと思いますよ。うちは差別化できませんし、価格も高いから売れないですよ」

1カ月後、お客さんから……
「申し訳ないのですが、今回はもう1社のアドバイス社に決まりました。
御社の提案内容も良かったのですが、ほかの部とも相談して最終的に決めました」

営業現場でよくあるシーンです。
皆さんの会社ではいかがでしょう?

上司Bさんが「『やれることはやった』から結果を待つしかないな」と言っていますが、本当にやれることをやったのでしょうか?

商品力と価格競争にプラスアルファの提案を

では、受注した競合のアドバイス社はどうしていたのでしょうか?

アドバイス社の営業担当Cさんは「今回は必要ない」と言われていましたけれど、来店者分析でも使えることを加えて提案していました。

Cさんは提案した後で会社に戻って上司に相談
「価格は若干うちの方が安いけど、セント商事は以前から取引しているのでうちの方が不利かもしれません」

Cさんの上司Dさん
「そっか、何か手を打っておいた方がいいな」
「何かできることはないか?」

Cさん
「そう思って調べてみたら、昨年の展示会でうちの企画課長Eさんがお客さんの販売促進部長と名刺交換して、その後に一度訪問しているみたいです」

Dさん
「Eさんの人脈は使えないか?」
「販売促進部だと来店者分析のニーズが考えられるだろう」

Cさん
「来店者分析も提案に加えたんですけど、やはり今回は必要ないって言われてしまって……検討していないみたいです」

Dさん
「そうなんだ……」

Cさんは、Dさんに相談した後でコンサルティング部のF部長に電話をしてみました。

Cさん
「今、スーパーマーケット向けに防犯用のセキュリティカメラを提案しているんですけど、何か使えそうな情報はないですか?」

Fさん
「防犯用ではないけど、一昨年に大手ドラッグストアに来店者分析用のカメラを導入したよ」
「導入後にうちが効果検証をしたんだけど、そのときのデータがあるよ」
「仕入れと陳列が改善できて客単価が上がったっていう結果も出ているし、スーパーマーケットなら興味があるんじゃないか?」

Cさん
「そうですね、そのままのデータを出すことはできないけど、加工してまとめたら興味を持ってもらえるかもしれません」

Fさん
「必要だったら加工した資料を作るよ」

Cさん
「お願いします」
「私が提案しているのは店舗管理部なので興味を持ってもらえなかったんですが、企画課長のEさんがマーケティングを担当している販売促進部と面識があるみたいなので、アポイントを取ってもらいます」

CさんはすぐにEさんにお願いして販売促進部長のアポイントを取ってもらいました。
そして、Fさんに来店者分析の効果検証資料を作ってもらいEさんと一緒に訪問。

Cさんが説明すると販売促進部長が
「今期は予算がないから検討していないんだけど、来期は考えないといけないと思っていたんですよ」
「店舗管理部で防犯用のセキュリティカメラを検討しているんですね、知らなかった。情報ありがとう」
「来期また検討する予定だから、来店者分析にも使えるものにしてもらえるように社内で話してみるよ」

そして、1カ月後にお客さんから
「御社に決めさせていただきました」
「若干安かったこともあるけど、販売促進部から防犯用で導入するなら来店者分析にも使えるものにしてほしいって言われて」

社内で営業に使える武器(資産)を探す

セント社のAさんが使った武器は、商品力と価格だけ。
そして「うちは差別化できないし、価格も高いから売れないですよ」

対して、アドバイス社のCさんが使った武器は、商品力と価格のほかに販売促進部長との人脈と大手ドラッグストアの効果検証データ。

会社の中には営業が使える武器(資産)がたくさんあります。

社長や部長、ほかの営業、他部門の人が会っている人、会ったことがある人
……どれだけいるでしょう?

社長や部長、ほかの営業、他部門の人が持っている知識や情報
……どれだけあるでしょう?

多くのさまざまな取引の中で作った資料やデータ
……どれだけあるでしょう?

競争が激しい今日、商品力や価格だけではなかなか勝てません。
なぜなら、皆さんの会社の競合他社も同じように商品力や価格力を強化しているのですから。

売り上げを上げたいのなら、営業活動を有利に進めたいのなら、会社にあるさまざまな資産の中から武器になるものを探しましょう。
そして、その武器を使ってどうしたら勝てるかを考えましょう。

それが今日の戦略営業にとって必要な力です。

Aさんは、商品力と価格で勝負。
Cさんは、商品力と価格のほかに、販売促進部長との人脈と大手ドラッグストアでの効果検証データを使って勝負。

どちらが有利でしょうか?

営業における武器の見つけ方と使い方は……
「営業のアドバイス」個人・法人会員サービス

次回は12月20日(月)更新予定です。

今月のクイズ(営業のクイズ)

顧客との関係
あなたはWebサイトの営業です。
お客さんから「依頼したデザインと違うじゃないか」とクレームメール。でも制作部の担当者が休んでいる。
……どうしよう?

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

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