第95回 体制や連携は、現場の問題でなく顧客視点のビジネスフローから考える

「仕事量が多い」「部内の共有ができていない」「他部署との連携がうまくいっていない」など、現場の問題を改善しようと体制を変更、しかし、うまくいかない……。そもそも、体制や連携は現場の問題でなく、会社のビジネスフローから考えるものです。そして、ビジネスフローは商品中心の視点から顧客中心の視点に変わってきています。今日の営業体制についてお話しします。

体制や連携は、現場の問題でなく顧客視点のビジネスフローから考える

営業部の体制、技術部や企画部との連携……、
期末が近づくと多くの経営者や営業責任者が来期の体制について悩んでいます。

来期の体制はいかがでしょうか?

正しい体制づくりや連携を構築しなければ効果は出ない

システム開発会社の営業部長Aさんが来期の体制を考えていました。

今期は提案が増えず売上目標を達成できなかった。
何とかしないと……。

今期の問題を振り返ってみると

  • 顧客への技術的な説明や設計、調整を技術部にお願いしているが、技術担当者の残業が問題になっている
  • 新商品を紹介しているようだが、あまり提案に進んでいない
  • 営業担当者の仕事は、営業活動以外にトラブル対応、会議、報告書、社内調整など多岐にわたり忙しい

そこで来期の方針として
「負担を減らしながら、商品や技術知識を強化し提案件数を増やす」

具体的には

  • 顧客への技術的な説明は営業が対応し、設計や調整を技術部が対応する
  • 営業担当者に新商品や技術知識を指導する新商品・技術促進チームを作る
  • 営業チームにアシスタントをつけ、報告書や社内調整は任せて負担を減らす

そして1年後……、
負担が減って、新商品や技術の知識もついたのに提案が増えない、売上が上がらない。

今度は、担当顧客が多すぎる、会議が多すぎる……。
いつになったら提案が増えるのだろう?

なぜ、負担が減って、新商品知識もついたのに提案が増えないのでしょうか?

営業部長Aさんは体制や連携を考える方法を間違えていたのです。

体制や連携を考えるための本質を忘れてしまっている……。
その本質とは何でしょう?

会社が実現したいこととは何かを考える

多くの会社で体制や連携を考えるときに、業務内容や管理方法、能力など現場の問題から考えようとしています。

商品紹介や技術的調整の内容や方法、提案書や見積書の作成や確認方法、個人や組織の能力や仕事量、他部門との調整方法……。
これらに対し、負担や非効率さ、精度の問題を考えて体制や連携を考えようとしています。

本来、体制や連携は、現場の問題から考えるものではなく、会社が実現したいこととそのフローから考えるものです。

  • 売上拡大、マーケット拡大(会社が実現したいこと)
  • 売上拡大やマーケット拡大に対するビジネスのフロー(どうやって実現するか)

そして……、

  • 営業部は何をするべきなのか?
  • 技術部は何をするべきなのか?
  • 営業部と技術部はどのように連携するべきなのか?

そして、どのような体制にするべきなのか?

ビジネスのフローは時代とともに大きく変わりました。

高度成長期の大量生産・大量消費時代は、多くの顧客が同じような商品を欲しがり、多くの顧客に商品を紹介するという自社・商品中心の視点による活動で成果を上げることができました。

そのため、より多くの商品を作り、より多くの顧客に紹介し、より多くの顧客に売るというフローで進め、体制や連携も自分の会社の商品や業務中心の視点で考えればよかったのです。

良い商品をたくさん作り、たくさん紹介すれば売れる……、これを実現する体制と連携。

しかし、今は顧客によって課題やニーズが異なり、顧客の課題やニーズからビジネスを組み立てないといけない時代です。
今日の顧客の課題やニーズから組み立てるビジネスは、顧客視点と自社(商品や技術)視点の融合で成り立ちます。

顧客視点の活動とは、顧客の戦略や事業、課題やメリット、予算や決裁者の視点で行う活動です。

顧客の立場で、顧客の戦略や事業から課題やメリットを考え、計画や組織から予算や決裁者の意向を考える。
そして、商品や技術の立場から、課題やメリットに対し、技術的に何が必要なのか、何を提供できるかを考える。
この二つの融合で成り立つのです。

売上に直結する顧客視点の活動

顧客視点と商品や技術視点の融合で成り立つビジネスにおいて、製造部が商品や技術視点の活動を担い、営業が顧客視点の活動を担うのです。

会社の中で顧客との接点が最も多い営業が顧客視点の活動を担わなければ、顧客の課題やニーズから組み立てるという今日のビジネスフローは進まないのです。

営業部長Aさんは、

  • 技術的な説明を営業が担当するのではなく、技術部の体制を強化させるべきだったのでは。
  • 営業担当者に新商品の知識を指導するのではなく、知識が足りなくてもサポートできる体制を考えるべきだったのでは。
  • 新商品の知識よりも、顧客の戦略や事業、組織の知識や情報を収集する力、課題やニーズを把握する力を強化する体制を考えるべきだったのでは。

業務内容や管理方法、能力や仕事量など現場の問題を考えることも必要です。
しかし、体制や連携は、会社の目的を実現するビジネスフローから考えるものです。
ビジネスフローから体制や連携を考えた後に、現場の問題を考えて調整するのです。

ビジネスを促進したい、売上を上げたいのであれば、まずは、営業として顧客視点の活動を強化する方法を考えましょう。
そして、営業の顧客視点の活動を促進する体制と自社(商品・技術)視点の活動を担う技術部との連携を考えましょう。

営業は、顧客の課題やニーズから組み立てるビジネスフローにおいて、最も重要で難しい顧客視点の活動を担っているのです。

営業部と技術部の連携を促進する方法は……、
「営業のアドバイス」個人・法人会員サービス

次回は4月19日(月)更新予定です。

今月のクイズ(営業のクイズ)

教育・指導
部下に「お客さんから予算を聞いてくるように」と指導したのに聞いてこない。
理由を聞くと「聞くタイミングがなかった」
……どうやって指導する?

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  • * セントリーディングHP>News>リリース情報 2020年5月18日

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
株式会社セントリーディング

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