第96回 話す順番を変えることで説得力の論理性を強化する

提案、交渉、トラブル対応……説得力があればうまくいくし、短い時間で終わらせられる。逆に、なければうまくいかない、時間がかかる。営業は説得力で成果が変わる仕事です。しかし、ほとんどの人が改善や強化しようとしていません……。今回は、営業にとって必要な説得力の中にある論理性についてお話しします。

話す順番を変えることで説得力の論理性を強化する

予算や人間関係、提案内容や競合、そしてこれらの背景……。
営業で説得したいこと、理解してほしいことは、いろんな情報が関係し複雑に絡み合っている……理解させるのも説得するのも難しいことが多い仕事です。

ある営業会議での一場面

ある会社の営業会議でのマネージャーと営業担当者とのやりとりです。
少々長くなりますがお付き合いください。

マネージャーBさん
「Aさん、セント商事のWeb会議システムの案件はどうするの?」

営業担当Aさん
「昨日に訪問した時に情報システム部の○○課長とお会いできたんですが、費用をおさえないといけないので価格の安い方を選ぶって言われてしまいました」
「競合商品の方が安いみたいです」
「ただ、現場ではコメント機能を重視しているようで、コメント機能は競合よりうちのWeb会議システムの方が優れていて……」

マネージャーBさん
「でも、○○課長は安い方を選ぶって言っているんだろう?」

営業担当Aさん
「そうなんですけど、○○課長は上司の△△部長に相談しているらしいんですが、△△部長は、以前商品企画部にいて現場のことをよく知っているらしいです」
「今でも商品企画部の部長と飲みに行っているみたいで」
「現場のことをよく知っていて社内でも力がある人みたいです」
「その△△部長がこれから各現場でテレワークを進めていかないといけないんだから価格よりも使いやすさや現場に合ったものにした方がいいと言っていたらしいです」

マネージャーBさん
「そうしたら、コメント機能が充実しているうちの方が有利なの?」

営業担当Aさん
「ただ、△△部長は○○課長の意見を聞いてくれるらしくて」
「○○課長は情報システム部以外の経験がないから現場のことが分からないんですよ」
「現場の商品企画部や設計部では図面に書き込みながら打ち合わせするので、コメント機能が充実している方がいいって言っているのに」
「会社の方針で今期は予算をおさえろって言われているので、予算のことしか考えないんですよ」

マネージャーBさん
「そしたら、セント商事の案件は失注するの?」

営業担当Aさん
「うーーーん、でも失注すると目標を達成できなくなるので何とかしないといけないんですが」

マネージャーBさん
「それは、値引きしたいってこと?」

営業担当Aさん
「いや、値引きが無理なのは分かっているので」
「ちょっとお願いがあるんですが……」
「Bさんは△△部長に会ったことがありますよね?」
「できたら△△部長に会って説得したいので、アポをとってほしいんですけど」

マネージャーBさん
「でも、○○課長が価格の安い方を選ぶって言っているんだし、△△部長に会っても説得するのは難しいだろう」

説得力のある説明に変換する方法

理解してもらえない、説得できない……。
さまざまな会社の営業会議に参加していると、このようなシーンにしょっちゅう出くわします。
皆さんの営業会議ではいかがでしょうか?

営業会議以外に顧客との商談でも、説明がよく分からない、言いたいことが伝わらない、その結果、説得できず失注したり、交渉事がうまくいかなかったり……というシーンが山ほどあります。

ここで皆さんも考えてみてください。
Aさんの説明はどのように修正したら、分かりやすく、説得力のある説明になるでしょうか?
どうしたらマネージャーBさんを説得できるでしょうか?

Aさんは「△△部長のアポをとってほしい」という一番言いたかった結論を最後に言っています。
言いたいこと(結論)を明確にしないまま長々と説明していることは問題です。

その他にも、Aさんの説明が分かりにくくなる原因が二つ考えられます。

一つ目は、情報が整理されていないこと。
○○課長から聞いた情報が整理されていないため、頭の中にある情報を思いつく順番で話し、説明する順番がぐちゃぐちゃになってしまいます。

二つ目は、お客さんから聞いた順番で説明していること。
普段の会話は、ストーリーや論理性を意識せずに自由に話しているため、脱線したり、飛んだり、戻ったりしながら進めています。
お客さんとの会話のシーンを思い出しながら聞いた順番で説明すると、当然、脱線したり、飛んだり、戻ったりしながら説明することになります。

他人を説得するためには、結論を明確にする(言いたいことを明確に伝える)と同時に論理的に説明することが必要です。

根拠など情報の関係性を明確にして全体的に筋が通るように行う論理的な説明です。

  • * 論理:考えや議論などを進めていく筋道。思考や論証の組み立て。思考の妥当性が保証される法則や形式。 事物の間にある法則的な連関。(大辞泉より引用)

もし、AさんのBさんへの説明が変わっていたら……。

「△△部長に会って説得したいので、会ったことのあるBさんからアポをとってほしいのですが」

「というのは、この案件を失注すると目標を達成できなくなるので、値引きができない状況で何とかしないといけないんです」

「セント商事の案件は、○○課長と△△部長の意見が分かれていて」
「○○課長は価格の安い方を選ぶと言っていて、競合の方が安い」
「反対に、△△部長は現場に合ったものを重視していて、現場が重視しているコメント機能は競合よりうちの方が充実しているんです」

「○○課長は会社の方針で今期は予算をおさえろと言われているから予算のことしか考えない」
「逆に、△△部長は以前商品企画部にいて現場のことをよく知っているようで、これから各現場でテレワークを進めていかないといけないことも踏まえて考えているみたいです」
「それに、以前いた商品企画部や設計部では図面に書き込みながら打ち合わせするからコメント機能を重視しているみたいです」

「ただ、このままでは価格の安い競合を選んでしまいそうなんです」
「というのは、○○課長は上司の△△部長に相談しているようですけど、△△部長は○○課長の意見を聞いてくれるようなので……」

「△△部長は現場のことをよく知っていて社内でも力がある人らしいので、△△部長を説得して案件を受注したいんです」
「今でも△△部長はコメント機能を重視している商品企画部の部長と飲みに行っているようですし、○○課長を説得する方法があるかもしれません」

筋道をたてて順番を組み立てる

はじめのAさんの説明と比べてみてください。

実は、少し文言を加えていますが、はじめのAさんの説明から順番を変えているだけです。
説明している根拠など情報の関係性を考えて順番を入れ替えたのです。

同じことを言っているのに、言いたいことも分かりやすく、理由や根拠も明確で、これならBさんも説得されて△△部長にアポをとろうとするかもしれません。

これが、顧客への商品説明や提案であれば、案件の獲得や受注など営業の成果も変わっているでしょう。
トラブルや交渉事であれば短時間で有利に進めることができるでしょう。

営業は、説得力で成果が大きく変わる仕事です。

営業組織や営業マネージャー、営業担当者……。
ほとんどの人が話し方や説得力の強化に取り組んでいないのですが、受注を獲得したい、売上を上げたい、トラブルを短期間で解決したいのであれば、説得力を強化しましょう。

説得力の6つの要件「論理性」を強化する方法は……
「営業のアドバイス」個人・法人会員サービス

  • * 説得力強化シート「明確さ」「論理性」編付き

次回は5月17日(月)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
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