第82回 クロージング力は自分の会社でなく顧客を攻略する力

「うちの営業は交渉できない」「クロージングが弱い」とよく耳にします。「価格が高い」とお客さんに言われたら、値引きできないかと社内で交渉。顧客と交渉せず、自分の会社と交渉しようとしていませんか? クロージング力は顧客を説得しよう、交渉しようとするから身に付く力です。今回は、クロージング力を強化するために必要なことについてお話しします。

クロージング力は自分の会社でなく顧客を攻略する力

提案をしても受注できない……。

  • 競合他社に負けた
  • 予算と価格が合わなかった
  • 決裁者や関係者に反対されて失注

クロージング力を強化しなければいけないと思い、営業チームで競合や予算、決裁者をチェックし営業活動を進めよう。
でも、受注率が上がらない、クロージング力を強化できない……。

クロージング力で悩んでいるマネージャーや営業部は、多いのではないでしょうか。

営業のクロージング力に悩むとある会社の例

ある会社の営業部長Cさんから相談を受けました。
「うちの会社の営業は案件は取れるんだけど、クロージングが弱い。どうしたらクロージング力を強化できるのでしょうか?」

その会社の営業担当者Aさんが、広告会社○○社への提案を終えて上司に相談していました。

Aさん
「先方の予算に合わせて定価120万円を100万円に値引きして提案したのですが、もう少し価格を下げないと難しそうです」

上司Bさん
「何で? 理由は聞いた?」

Aさん
「ほかの検討事項で思ったより費用がかかり、そっちに予算を回さないといけなくなったらしくて」

Bさん
「既に値引きして出した価格じゃないか。どのくらい下げれば買ってくれるの?」

Aさん
「お客さんは、あと10万円ぐらい下げないと難しいと言っています」

Bさん
「10万円下げたら買ってくれるの? しょうがないな。部長と商品企画部に掛け合ってみるよ」

そして、上司のBさんは営業部長Cさんに相談。

Bさん
「○○社の件ですが、この案件が決まると今期の売上予算を達成できるので何とか取りたいんですけど、価格をあと10万円下げて90万円にしないと難しいようなんです。何とかあと10万円の値引きをお願いできませんか?」

営業部長Cさん
「何で? 100万円なら大丈夫って言っていたじゃないか」

Bさん
「○○社の状況が変わって、ほかに予算を回さなくちゃいけなくなったみたいで」

Cさん
「しょうがないな。粗利が下がるから俺が商品企画部を説得しておくよ。90万円で再度提案して、受注するようにAさんに伝えておいてくれ」

そして、○○社から90万円で受注を獲得し、今期の売り上げ目標を達成しました。

しかし……。

「どうしたらクロージング力を強化できるのでしょうか」
と営業部長Cさんは悩んでいましたが、果たしてこの会社はクロージング力を強化できるでしょうか?

答え……「できません」。

クロージング力とは

そもそもクロージング力とは、どのような力なのでしょうか?

営業活動におけるクロージング=受注の獲得は、顧客が発注を決めること。

つまり、クロージングとは顧客に発注を決めさせること(購入を判断させること)。

顧客はさまざまな要因に影響され、調整しながら購入を判断します。
課題や効果に対する理解、決裁者や関係者の意向、予算や時期……。

とすると、クロージング力とは顧客を説得し、さまざまな要因に対して調整するよう促し、顧客に購入を判断させる力です。

クロージング力を身に付けるには

では、AさんやBさん、Cさんは誰を説得し、調整しているのでしょうか?
皆さんも一緒に考えてみてください。

提案の前に○○社から「予算は100万円」と聞いて、100万円に値引きして提案。
そして、提案時に「10万円下げないと難しい」と言われ、90万円に値引きして再度提案。

その反面、
120万円という定価に対し、社内を調整して100万円に値引き。
そして、
Aさんは上司のBさんを説得して値引きできるよう調整しようとし、
Bさんは営業部長Cさんと商品企画部を説得して調整しようとし、
Cさんは商品企画部を説得して調整しようとしています。

つまり、AさんもBさんもCさんも顧客を説得し、調整を促そうという考えや行動を全くせず、全て自分の会社を説得し調整しようと考え、行動しています。

クロージング活動の対象は、自分の会社ではありません。顧客です。

クロージングにおける営業の役割は、自分の会社を説得し調整するという「自社攻略」ではなく、顧客に対して説得し、調整を促し、購入を判断させるという「顧客攻略」です。

  • 顧客から予算を聞いて値引きする
  • 顧客担当者が決裁者や関係者を説得してくれるのをただ待つ
  • 自分の会社の商品を説明し、顧客に選んでもらうのを待つ

というのであれば、クロージング力は必要ありません。商品力や運で受注を獲得するということです。

「商品が良ければ買ってくれる」という時代であればよいのですが、今日の営業はそう簡単ではありません。
顧客の戦略や課題も複雑で変化し、計画や予算もさまざまな検討事項を考慮しながら、さまざまな人(決裁者や関係者)が関わり判断する。そして競争も激しく、単純な商品の差(強み)だけで勝てるわけでもありません。

売上を上げるためには、自分の会社ではなく顧客を説得し、調整を促し、顧客に購入を判断させるという顧客を攻略する力が必要です。

「営業は社内営業が大切」という言葉をよく聞きます。
確かに売上を上げるために社内営業(調整)も必要ですが、その前に顧客を説得し、調整を促さなければなりません。
営業の仕事の本分は自社攻略ではなく、顧客攻略です。

この顧客を攻略する力がクロージング力であり、顧客を攻略しようとする努力によりクロージング力が身に付くのです。自社を攻略しようとしても、クロージング力は強化できません。

顧客を説得し調整を促すクロージング力を強化する方法は……、

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次回は3月16日(月)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
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